麻生副総理の親ナチ発言の詳細
麻生太郎副総理が29日、東京都内でのシンポジウムでナチス政権を引き合いにした発言は次の通り。
僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。
そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。
私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。
この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。
しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。
そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。
ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。
靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。
何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。
僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。
昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。
2013年7月30日 朝日新聞デジタル
なるほど始めは「3分の2という話」の話をしていて、それを「ヒトラー出てきた」ことと比較しています。すなわちヴァイマール憲法体制下でヒトラーが「選挙で選ばれた」ことを指摘し、「憲法はよくても、そういうことはありうる」ことに注意を喚起している様なのですが、これだと「3分の2」議席を獲得して改憲することをヒトラーと同じだ、と言っていることになります。
これはいくらなんでもちょっと具合が悪い様です。そこで麻生さんあわてて、改憲はすべきだが「どう運営していくかは」「議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そうしたものが最終的に決めていく」などと、かなりいい加減なことを言い出します。つまりそういった要因によって、改憲の結果がヒトラーと同じようになるとは限らない、というようなことを言って難を逃れたつもりのようですが、早くもグダグダです。
これは要するに解釈でどうにでもなるというような意味ですから、わざわざ改憲する意味がわからないことになってしまうんですが、そうこうするうちにもう一つの難点が生じていることに気がつかざるを得ません。「3分の2」と「ヒトラー」を絡めてしゃべっちゃったので、現日本国憲法はヴァイマール憲法と比較されることになってしまうんですが、それを「憲法はよくても」なんて言っちゃったもんですから大変です。これではまるで日本国憲法が「よい憲法」みたいではないですか。それならどうして改憲するのか、ますます分からなくなって来ました。
そこで「周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっている」とか言っているのは、これはどうやら改憲の必要性を言っているものと思われますが、あまりハッキリしません。極めて厳しい、てゆーか極めて漠然とした話で、どうも困ったもんですが、それに続いて「若い人の意識」について言っているのは、「世論調査」で改憲に賛成する「若い人」の割合が多いという事なんでしょうが、しかし、そんなことは改憲する理由にはなり難い様です。ここではむしろ日本国憲法が「よい憲法」ではないと主張しなければならないところ、そこらへんについてはフニャフニャになってしまいました。
「若い人」が「記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況」である、だから改憲だ、というのでは「ヒトラー」とあまり言っていることが変わらないのですが、若くもないのに記憶がある時から何を言っているのかよく分からない麻生さんは、引き続いて自民党の改憲草案がいかに優れているか、てゆーかまあ一生懸命作ったんだとか、若い奴の意見も聞いたんだとかという話であって、草案の内容が良いとか言っているわけではないんですが、そんなことを言って、そのような「草案」と比較して、日本国憲法はダメだとか言いたいものと思われます。
そこでイキナリ、「狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない」と言うんですが、ここで話は急に靖国神社に飛びます。意外な展開といえば意外な展開なんですが、麻生さんの中ではつながっています。麻生さんにとっては靖国神社は「狂騒」と切っても切れない関係にあるようなのです。なるほど、日によってはその通りなんですが、しかし、麻生さんの言う「狂騒」は街宣車とかそういうものではありません。
「狂騒」というのは「マスコミですよ」なんだそうですよ。報道が行われることが「狂騒」だというわけです。ですから麻生さんは「静かにやろうや」と囁きかけるわけですが、その相手は一緒に靖国神社に行く連中でもなければ国民でもないのです。麻生さんは「マスコミ」に対して「静かにやろうや」と言っています。つまるところ靖国神社に参拝しても報道するなよな、ということが言いたいらしい。
そしてここのところで麻生さんは再び憲法問題に帰って来ます。これが話の筋道になっていると言われれば、これは極めて難解なスピーチであるとしか言いようがないんですが、要するに改憲も報道しないで「静かにやろうや」マスコミの諸君。そうすれば「ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた」ときのように「だれも気づかない」うちに改憲できるでしょう。
というのは麻生さんの独特の見解でありまして、ナチスは改憲などはしていません。ここで麻生さんの無知を詳らかに論じて「あほやなあ」ですませたい向きもおありかも知れませんが、そうはセメント屋が卸しません。麻生さんだってそれほどバカではありません。てゆーか日本国のために是非ともバカであってはならないのですが、世の中は上手くいかないものであります。それはともかく、確かに世の中に「ナチス憲法」はありません。しかしながら、ナチスがヴァイマール憲法を死文化した体制を比喩的に「ナチス憲法」と言うことが出来るのではないでしょうか。
僕は今、麻生さんを精一杯擁護しているつもりです。したがって大変苦しい立場に追い込まれています。そんな意味で「ナチス憲法」という言葉を使った人などいないのです。しかしここで僕たちは、人生最大の譲歩が求められています。ここは百歩でも百万歩でも譲って、いわゆる全権委任法、1933年の「民族および国家の危難を除去するための法律」もしくはその法律による体制を「ナチス憲法」と呼んであげることにしてもよいことにしてあげようではありませんか。
そうすると、麻生さんが前に言った言葉が生きて来る、という利点もあります。これは専ら麻生さんに取っての利点なんですが、つまり「周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっている」というのが、ドイツ語で言うと「民族および国家の危難」という風になりますよ、ということになり得る時に、僕たちは麻生さんは意外と終始一貫した話をしていたんだなあ、なんてちょっと見直してみたり、ヤクザのカッコも悪くないなあなんて思ったりしてみたり、しません。
この要に解釈するならば、改憲ということになれば報道しないわけにもいかないし何より国民投票をしなければならないのに「静かにやろうや」と言われても困る、ということはありません。改憲などしなくても、「議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そうしたもの」によって「だれも気づかないで」事実上憲法が「変わったんだ」、体制を変えることが出来たという、そのような「手口」が実際に存在したのであり、それに「学んだらどうかね」というのが麻生さんのお話の要点です。
なお、この『朝日新聞』の記事は、事実と違うところがあるんだそうですから、僕が発表されている録音から後半の部分を聴き取ったところ、
僕は、4月28日、忘れもしません4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからといって、日曜日だったかなあ、靖国神社に連れて行かれましたよ。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、まあ、こんな歳食ってからも毎年1回、必ず行っているところですけど、そういったようなもんで行ったときに、わーわーわーわー騒ぎになったのは、いつからですかこりゃ。昔は静かに行っておられましたよ。各総理大臣も皆行っておられたんですよこりゃ。いつから騒ぎにしたんです。マスコミですよ。(拍手)いつのときからか、騒ぎになった、と私は、騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうや(くすくす笑い)、というんでね、憲法もある日気づいたら、ドイツの環境の話ししましたけども、ワイマール憲法がいつの間にか変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わったんだ。あの手口学んだらどうかね(爆笑)。もうちょっと、わーわーわーわー騒がれてる。本当にみんないい憲法、これは、と言って、そうみんな納得して、あの憲法変わってるからね。だから、ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんし、しかし、私どもはこういうとこで重ねて言いますが、喧噪のなかで決めないでほしい。
やはり『朝日新聞』は捏造です。麻生さんは「わーわー」などとは言っていません。極めて丁寧な言い方で、「わーわーわーわー」と繰り返しておられるのです。これを省略してしまうのは礼を失すると言うべきでしょう。しかし最大の問題は最後の重要な一文です。麻生さんは「喧噪のなかで決めないでほしい」とおっしゃっているのに、こともあろうに『朝日新聞』は「喧噪のなかで決めてほしくない」などと書いています。まさにこれは事実を歪めた報道であり、何らかの意図を持った捏造記事であるといい切ることが出来ます。
というわけで要するに別段どこも違っていないようなんですが、一部の人は橋下さんが自分の発言が報道された記事を「誤報」と言い張ったのを見習っているようです。あれはしかし、橋下さんの今までの発言というか失言というか言い訳というか生まれてこのかた口を開けば出て来る例のヤツの中で、特に上手いとか、上手くいったとか、そんなモンでもないようなんですが、どうしてマネをするのかは不明です。
尚、最後の方の「本当にみんないい憲法、これは、と言って、そうみんな納得して、あの憲法変わってるからね」という部分は、解釈不能です。「全権委任法によってヴァイマール憲法が死文化された体制」を「ナチス憲法」と呼ぶという解釈に立つ以上、みんなが納得して憲法が変わったとかいうのは何の話だか分かりません。この解釈ではこの部分は意味をなさず、この部分に拘ると、麻生さんがナチス政権下でヴァイマール憲法が「ナチス憲法」に改憲されたと考えている、ということになってしまうのですが、その場合は麻生さんは単に無知であるということになります。その無知は「ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯」(撤回コメント)に止まらず、肝心の日本の憲法についての無知でもあります。日本国憲法は「ある日気づいたら」、「だれも気づかないで」改憲されることは、規定上あり得ないのです。
それはともかく、このようにいわば「憲法解釈」によって改憲の先取りのようなことをコッソリやってしまおうという「手口」は、自民党によって現在行われていることでしかありません。実際、麻生さんはあるいは改憲に積極的ではないのかも知れませんが、ナチスには親和的である可能性が高いといえるでしょう。てゆーか、自民党がそうではないと言い張ってもナチスの方でラヴコールを送ってくるんですから仕方がありません。何だかんだ言ってる様ですが結局は自民党のために働いてくれる人です。
http://matome.naver.jp/odai/2136878460795536101この雷韻出版さん、1998年頃に例の「河上イチロー」の本を出したりしてまして、河上イチローさんという人は「Der Angriff」などというゲッベルスの新聞にちなんだ物騒極まる名前のサイトをやっていたオウム真理教の人です。もちろん麻原彰晃さんもナチスには多大な関心を寄せていたわけですが、そこら辺の流れと、山田一成さんの周辺の右翼系の「ネットワーカー」とか、ハッカーとかクラッカー系で電脳無政府主義から電脳無政府資本主義的に寄ってった人たちとか、この辺の流れが現在のネット右翼の一部の源流である可能性もあるのではないかと思うと中々馬鹿に出来ないんですが、その末裔と思われる人たちが現在、トゥイッターや掲示板で麻生さんを無理矢理擁護する書き込みを盛んに行ったり、『朝日新聞』に広告出している企業に電凸したりメル凸したりして大活躍しているようなんですから自民党としちゃナチでもナスでも仲良くして置くに越したことはないってなもんでしょう。