2007年09月26日

最期の土俵は頸に横綱

<時津風親方>「通常のけいこ」一転 遺族に暴行認める

 「通常のけいこ」のウラには部屋ぐるみのリンチが隠されていた。大相撲時津風部屋の序口力士、斉藤俊さん(当時17歳)=時太山(ときたいざん)、新潟県出身=の急死は、親方がビール瓶で殴り、兄弟子が集団暴行した傷害致死事件に発展する見通しとなった。名横綱・双葉山が興した名門部屋で何があったのか。朝青龍問題で揺れていた角界に前代未聞の不祥事が追い打ちをかけた。
 「『通常のけいこ』と説明していたのに……。全く信用できない」――。死亡した斉藤さんの父正人さん(50)は26日、新潟市の自宅で悔しさに唇をかんだ。
 今年6月26日深夜、亡くなった愛知県犬山市のけいこ場から自宅に運ばれた斉藤さんの遺体の傷を目にして、遺族は言葉を失った。割れた額、腫れ上がった顔、全身に無数のあざ、足にたばこを押しつけたような複数の跡――。
 無残な遺体を前に、時津風親方は「通常のけいこだった」と遺族に説明した。正人さんは「普通のけいこじゃないと思った。あれじゃ幕内力士でも死んでしまう。相撲のけいこの名の下に殺されたんだ」。抗議したが、親方の説明は変わらなかった。
 しかし8月6日、時津風親方は斉藤家を訪れ、一転して正人さんら遺族に自分や弟子の暴行を認めたという。
 亡くなる前日の6月25日夜、酒席で親方自身がビール瓶で斉藤さんの額を殴ったこと。その後、弟子3、4人がけいこ場の調理室裏で、斉藤さんに殴るけるの集団リンチを加えたこと。親方はそれらを警察に話したと遺族に報告したが「死亡はあくまでけいこ中だった」と釈明したという。正人さんは「親方はリンチを知っていたようで、あきれて言葉を失った。最初は全く認めていなかったのに」と悔しさをにじませた。
 さらに正人さんは「相撲界ではこういうことが許されてきたのだろうが、立件されれば体質も変わる。もう息子は帰ってこないが、力士を目指す若い人のためにも真実を明らかにして、2度と同じことが起こらないようにしてほしい」と話した。【岡田英】

 ◇シャッター閉じ裏口に「準備中」…両国・時津風部屋
 東京都墨田区両国の時津風部屋には、26日早朝から報道陣が詰めかけたが、力士らの出入りはほとんどなかった。
 同部屋は10階建てマンションの1、2階にあり、3階に時津風親方の住居がある。相撲部屋の玄関には「双葉山相撲道場」と「時津風部屋」の看板が掛けられ、シャッターは閉じられたまま。裏口の力士玄関には「準備中」の札があった。
 午前7時45分、部屋を出た若い力士を記者、カメラマンが取り囲んだ。「親方は?」の質問に浴衣姿の力士は「部屋にはいないんじゃないですか」と答え、足早にタクシーに乗り込んだ。秋場所が終わったばかりでけいこは休みだという。【佐藤賢二郎】

 ◇温厚な性格で知られる…時津風親方
 時津風親方は、63年秋場所、第35代横綱・双葉山の指導する部屋で初土俵。現役時は双津竜のしこ名で72年春に入幕。幕内に定着したのは70年代後半で、北の湖より大きく、高見山に次ぐ170キロの巨体を生かした相撲に特色があった。幕内は29場所務め、最高位は79年名古屋の小結1場所。幕内通算186勝226敗23休。82年九州場所で引退後は年寄「錦島」を襲名し、審判委員などを務めた。02年に時津風部屋を継承した。
 温厚な性格で知られており、今年夏場所前には、弟子の豊ノ島が出げいこに来た朝青龍とのけいこで右ひざを負傷。この時には「相手を受けて立つのがけいこの常道なのに、負傷させては相手に恐怖感を植え付けるだけ。こうしたけいこはいかがなものか」と語り、高砂親方に電話で抗議したこともあった。【上鵜瀬浄】

 ◇完全な暴力だ
 スポーツジャーナリストの二宮清純さんの話 相撲界には昔から「しごき」がある。多くは力をつけさせるために「もう少し」と鍛える愛のムチのようなものだが、仮にビール瓶で殴ったりしていたとしたら完全な暴力だ。力士が1人死亡するほどの重大事なのに、相撲協会の調査などの動きは鈍く、真相究明に熱心とは思えなかった。協会は相撲や力士の品格を強調する前に、親方の質を問うべきだろう。力士を目指す若者が減っているだけに、こうしたことが起きるのは非常に遺憾だ。

 ◇指導いきすぎた
 元NHKアナウンサーで相撲ジャーナリストの杉山邦博さんの話 極めて残念だ。相撲の世界は厳しさの中にも師弟関係を大事にし、激しい稽古の中で時に良かれと思って厳しく指導することは過去にもあった。まれに竹刀などを使って厳しく指導した場合もあったが、当然、度を超してはいけない。今回はその範囲を超えて、ある種の制裁的なこともあったやに聞いている。厳しさが求められる勝負の世界で、過保護の時代を反映してややもすると指導が甘すぎるという批判もあるが、だからといって今回のようなことは決してあってはならない。協会も大切な子どもさんを預かっているのだから、配慮の行き届いた指導が望まれる。

2007年9月26日 毎日新聞


まず注目されるのが「相撲ジャーナリスト」の杉山邦博さんのコメントでしょう。「相撲ジャーナリスト」なるものがどういうものなのか、皆さんとっくにご存知です。滅多なことは言ってはいけません。出来れば何も言わない方がいい。「そーっすね」しか言わないくらいが適当です。しかし「元NHKアナウンサー」という肩書きではそうもいきません。そこは高度なテクニックが要求されます。

なんでも「時に良かれと思って厳しく指導することは過去にもあった」んだそうで、あたかも今回の件が「過去」における「良かれと思って厳しく指導すること」と同じようなことだと言っています。杉山さんの知る「過去」において闇から闇に葬られた力士の死体はどこに埋まっているんでしょうか。「まれに竹刀などを使って厳しく指導した場合もあった」ようですが、更に頻度の低い事例として「ビール瓶」などを使って「厳しく指導」したこともあるに違いない。いや全くの話し冗談ではなくて、親方が弟子に対してする行為は全て「指導」、酷い行為は「厳しい指導」と言うんですよ、専門用語で。

「度を超してはいけない」という御意見には全く賛成ですが、要するに「死なない程度に」ということのようです。今回は「度を超して」しまったわけですが、普段は「度を超」さない程度にビール瓶で頭部を殴打したりタバコの火を押し付けたりという「厳しい指導」が行われていることが明らかになりました。お相撲さんが太っているのは皮下出血のせいらしいです。あの中には腐った血がたまっていて、ちょっと切るとそれが出てきますので丁重に扱いましょう。

この次にご注目いただきたいのが「や」です。「ある種の制裁的なこともあった」の次ぎにくる「や」です。この「や」は、「も知れない」を続ける形で「軽い疑い」を示す副助詞ですが、ここでは「に聞いている」を続けることによって、もともと「軽い」ものにすぎない「疑い」という自己の判断を、伝聞に託すことでさらに弱めています。つまり「ある種の制裁的なこともあった」ことに関する自己の判断を明示しないようにしていることがわかります。別の読み方をすれば、「ある種の制裁的なこともあった」ことを婉曲に否定していることにもなります。これが「相撲ジャーナリスト」の「相撲ジャーナリスト」たるゆえんです。土俵の上をちょこちょこと逃げまわるようです。もっとも相手が北の湖ですから、そりゃまともに組んだら勝ち目はありませんが。

もちろん杉山さんは北の湖とがっぷり四つに組もうなんて度胸も体力もありません。むしろ杉山さんによれば「過保護の時代を反映してややもすると指導が甘すぎるという批判もある」んだそうです。誰ですかそんなことを言っているのは。もしかすると杉山さんの脳内の「一般論」ではないでしょうか。でも、まあ、誰かが言いそうなことです。そこらへんのオヤジがいかにも言いそうなことではあるわけで、てゆうか杉山さんがこのように言うことによって、そこらへんのオヤジが「そう言えばそうだよな」と思ってしまうのかも知れませんが、もしそうなれば時津風親方は半分勝ったも同然です。だって今回はたまたま偶発的に「度を超して」しまっただけじゃん。いつもやってることじゃん。今まで誰も死ななかったじゃん。それに「温厚な性格で知られて」るじゃん。朝青龍のことで「高砂親方に電話で抗議」したけど、朝青龍は今や悪役じゃん。じゃあ親方って「良い方」じゃん。

あとはこの「傷害致死」犯を死刑にするかどうかが問題になるはずです。もっとも頼りにすべき親方がほとんど致命的とも思われる傷を負わせ、兄弟子たちが集団で暴行するという事件です。しかも全員が力士であり、被害者は一応力士とはいえ2ヶ月の経験しかない。さらには「師弟関係」のなかで被害者は予め抵抗を封じられたような状態にあったわけです。「遺族」はとんでもない世界に息子を放り込んだことでちょっと負い目を感じていますが、だからといって「残虐性」ということでいえばこれはこれでなかなかのもんじゃないかと思われます。傷害致死罪は有期刑ですが、「世論」はそんなこと構ってくれません。まず死刑はまぬかれますまい。そうだろ?死刑を妨げるものがあるとすればそれはただひとつ、ロープが相撲取りたちの荷重に耐えられるかということだけです。ロープが切れた場合は刑務官が柔道の絞め技で絶命させるという噂がありますが、もしそれが本当だとしても、相手は力士ですから。ビール瓶で頭殴っても死なない(ということのようですよ〜)んですよ。まあせいぜい「かわいがって」やってくださいな。
posted by 珍風 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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