2007年11月28日

え、あの人が? で、あの人は?

「あの人が?」と驚きの声=川崎容疑者知る住民ら−祖母孫不明事件・香川

 「あの人が?えーっという感じ」。香川県坂出市のパート従業員三浦啓子さん(58)と孫娘2人が行方不明になった事件で、死体遺棄容疑で川崎政則容疑者(61)が逮捕された27日、同容疑者を知る住民は驚きを隠さなかった。
 ごみ捨て場などで、川崎容疑者とよく会うという男性は「朗らかな人。あいさつもきちんとするし、信じられん。何かの間違いでないか。よほどのことがあったんじゃろか」と話した。
 3人の殺害と遺体の遺棄を認めた同容疑者。髪の毛を切りに来ていたという理容室に勤務する女性は「あの人が?えーっという感じ。色の白い優しい人。みんなええ人だと言いよる」と信じられない様子だった。

2007年11月27日 時事


これはもうステレオタイプといえないこともありませんが、てゆうか時事さんも21世紀にもなって「あの人が?」なんて見出しをつけるのは、よほど勇気があるか、照れ隠しのつもりなのか、本当に脳味噌がどっかに逝ってしまったのかよくわかりません。

「ごみ捨て場などで、よく会う」人って、要するに近所に住んでる人でしょ。近所の人というのは「ごみ捨て場で会う」人のことなのです。なるほどそう言われてみれば確かにごみ捨て場では近所の人に会うことがよくあります。他県からごみを捨てに来る人と会うことは、まあ滅多にないでしょう。ここら辺がごみ捨て場の大きな特徴なのではないでしょうか。商店や公共施設には色々なところから人が集まってきますし、駅や港なら尚更です。しかしごみ捨て場には近所の人しか来ないのです。

こういうご近所感覚では「あいさつもきちんとする」ことが大切です。挨拶をする人は人を殺さないものだと思われています。そういえば人を殺したすぐ後など、死体の始末の心配などで頭が一杯ですから、なかなか挨拶まで気が回りません。ともすると血のしたたる凶器を握りしめたままあたふたとかけずり回ったりするうちにご近所への礼儀に欠くこともあるでしょう。しかし人を殺す前であれば話しは別です。人を殺してある程度時間が経って落ち着いてからも話しは別です。そう言う場合であれば挨拶くらい可能でしょう。「あいさつをきちんとする」人は、まだ人を殺していないか、人を殺してから時間が経っているかのどちらかです。

「じゃろか」がこのあたりの老人の語尾表現として適確なのかは不明ですが、いい雰囲気を醸し出しています。いかにも善良なご近所さん、まるで昔話に出て来るような「良いお爺さん」といった感じです。ほとんど昔話から飛び出て来たようだ、言ってもいいかも知れません。全く現実感がない、と言っても過言ではありませんが、ごみを捨てる以外に何をやっているのかよくわかりません。山へ柴刈りに行っている可能性もありますが、ごみ捨て場に行くと正直な人にだけ姿が見えるのかも知れません。

「理容室」に「髪の毛を切りに来ていた」人がいる模様です。理容室が髪の毛を切りに来る所であるところから見て、かなり信頼できる情報だといっていいでしょう。もちろん、「髪の毛を切りに来ていた」のは「理容室に勤務する女性」に他なりません。理容室で働いている人は誰かの髪の毛を切るために理容室にやって来るのです。するとどこからか髪の毛を切られたい人が訪れて来ます。「理容室に勤務する女性」はこのような人の「髪の毛を切り」ます。理容室というものは概ねこんな風にして運営されているものなのです。

「理容室に勤務する女性」は「あの人が?えーっという感じ」だと言っています。その理由は容疑者が「色の白い優しい人」であるからというものです。補足として「みんなええ人だと言いよる」ということを挙げていますが、要するに色白の優男が殺人を犯すことは想像し難いと言っているようです。

しかしこれは極めて気マズい状況です。読んでいてもいたたまれなくなってしまいます。こんな風に書かれればイヤでも「色の黒い恐い人」のことを考えざるを得ません。別に誰がどうだというわけではないのですが、それにしても「色の黒い恐い人」なら殺人犯として申し分ない、というのでしょうか。というのです。それはそれで、そう見える、ということならそれは致し方ありませんが、「ワルそうに見えるから悪い人」という小学生並みの判断をしておきながら、今になって床屋のおねえちゃんのせいにして言い訳をするのはあまりみっともいい話しではありません。

もちろん、警察は複数犯の可能性を残しているようですし、「早よせんか」などと言われている景色を想像すると、なるほど「画伯」はそんな風に注意されがちなキャラのようにも見えないでもありません。もっとも容疑者と「画伯」の間に共通の利害はおろか顔見知り以上の関係を想定するのはちょっと困難ですけど。

とはいうものの、やはりミテクレの悪い人はどうしても不利です。何もしていないのに犯罪者扱いされてしまいます。特に「防犯」ということを考えると、「ワルそう」に見える人はとりあえず追い出したり、場合によっては殺してしまったりしがちです。「防犯」ということには犯罪が起きる前にこれから犯罪者となる人を発見することが含まれますが、実のところまだ犯罪を犯していない人がこれから犯罪を犯すかどうかという点については、顔を見た感じで判断するくらいしか手段がありません。もちろんそんなことで正確な判断など出来るわけはありませんが、それで結果として犯罪が発生しなければ、誰がどうなろうとめでたしめでたしというわけです。

また、「画伯」が疑われるに至ったのには、彼が「犯罪被害者遺族」としての「正しい」振る舞い方をしていなかったということも指摘されています。もっともどのように行動すれば疑われずに済んだのか、よくわかりません。怒ったり、説明的な対応をするのは良くないようです。いきなり散髪に行くのも考えものです。しかし死体が発見されるまでは殺されたという確信がないはずですから、泣いたりすればそれはそれでオカシイ、ということになりかねません。かといってゲラゲラ笑っているのも不適当かと思われます。とかく人の世は住みにくい。そこで「全国犯罪被害者の会」などは、このような場合に現地に急行し、疑われないための被害者の心得みたいなものを経験者の立場から指導してあげる必要があるでしょう。これはとりわけ顔のワルい人には欠かすことが出来ません。僕なんかもイザというときにはお願いしたいもんですが、そこで他人事みたいな顔をしているあなたも相当ヤバいですよ。


posted by 珍風 at 21:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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