2008年03月07日

9人のイカレタ男

<裁判員法>死刑廃止議連「死刑は全員一致が条件」

 市民の裁判員と裁判官計9人が多数決で決める量刑について、超党派の国会議員でつくる「死刑廃止を推進する議員連盟」(会長・亀井静香衆院議員)は4日、死刑判決の場合に限って全員一致を条件とすることを柱とする裁判員法改正案を作成する方針を明らかにした。仮釈放のない終身刑を創設する刑法改正案と併せ、今国会に提出する意向だ。
 裁判員裁判では、3人の裁判官と6人の裁判員が評議し、最低1人の裁判官を含む計5人の賛成で量刑が決まる。
 これに対し、議連は「死刑という重い判断はより慎重に決定されるべきだ」として、裁判員法に「全員一致」の特例を盛り込む案を検討している。死刑賛成の意見が過半数に達したが、全員一致とならない場合、終身刑とする仕組みだ。議連事務局長の保坂展人衆院議員は「来春始まる裁判員制度まで残り少ない。迅速に改正案を取りまとめ、提出したい」と話した。【坂本高志】

2008年3月4日 毎日jp


アメリカのニューヨーク州にもほぼ同様の規定があり、これは陪審評決において全員一致でなければ死刑および終身刑の評決が出せないというものですが、これについては2004年に控訴裁判所において違憲判決が出ています。この規定はむしろ陪審員に死刑への反対意見を述べにくくして死刑評決を強いる結果になるというのがその理由です。死刑廃止議連の案においても全く同様の問題が指摘出来るはずです。特に専門家である裁判官を含む合議体で実施される裁判員においては、少数意見への圧力はより強いものと考えられます。「裁判員裁判において、死刑判決を出す場合にのみ、全会一致を条件とする」というルールは、おそらく死刑判決を抑制せず、逆に少数意見を抑制するおそれがあるのです。

また、「死刑か、無期か」という落差は「重無期刑」の創設によって埋まるものではありません。冤罪の可能性が別段例外的なものではないことを考えると、再審の可能性がある限り、殺されないことは極めて重要です。しかしながら同様の理由から「重無期刑」は割と気軽に選択出来る便利なシロモノとなり得ます。「疑わしい」事例がどんどん「重無期刑」になっていくのかもしれません。

しかしながら「重無期刑」は洗練された「死刑」に他ならないという側面も持ちます。それは犯罪者の社会からの隔離という死刑の効果をそのまま受け継いでいます。ただ単に現存する死刑囚から血腥い殺害の手間を省いたのと変わりません。死刑判決の根拠として、よく「矯正不能」という断定が行なわれます。たとえ刑務所に入ったことがあっても、「矯正」のための試みなど碌に行なわれていないにも関わらず簡単に行なわれるこのような断定はそれ自体根拠不明なものですが、「重無期刑」は同様の「根拠」によって言い渡すことが出来ます。

これは刑罰の目的についての議論を混乱させる点において死刑と変わるところがありません。死刑は特別予防論と矛盾を来たし、これが結果として「矯正」もせずにただ単に一定期間虐待しただけのものを社会に放り出して再犯するに任せるという、どう考えても最悪の現状を作り出しているといえるのではないでしょうか。「重無期刑」も同様の難点を持ちます。死刑を廃止したい人は、「世論」の支持を得たいのであれば刑罰システムの全体を教育刑の考え方に基づいて組織し直すことによって治安の改善されることを訴えるべきなのであって、一部の政治的に先鋭化した「スーパー遺族」におもねって現状の混乱した刑罰システムに中途半端な要素を加えても何の役にも立たないでしょう。

そのほか、終身刑については生涯に渡って最低限の生存が保障されることから、一部の人々にとっては重大犯罪を犯して楽して暮らそうということで犯罪を誘発する危険があるという批判があります。死刑制度を利用して自殺に代える人もいるくらいですから、そういうこともあるでしょう。しかし、そういう人が問題になるくらい多数にのぼるとすれば、娑婆はよっぽど暮らしにくいということになります。僕としては一生ムショ暮らしの方が好ましいと感じられる程に人を追い込むような社会を犯罪から守ってあげる理由などいささかも見つかりません。


posted by 珍風 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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