2008年03月27日

無根拠な春

もうすぐ春です。心がなぜかクルクルパー。

<メタボ健診>開始直前、自治体の理解進まず 本紙調査 

 新年度から始まる特定健診・保健指導(メタボ健診)について、科学的根拠が十分と考える自治体は1割に満たないことが、全国806市区を対象にした毎日新聞の調査で分かった。約4分の1は効果確認後に導入すべきだと答えた。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)患者数を減らせない場合などに自治体に科せられるペナルティーには約6割が反対し、開始直前の国の制度に自治体から異論が噴出した形だ。
 メタボ健診は保険者(健保組合など)に実施が義務づけられる。国民健康保険加入者には保険者である各自治体などが実施。40〜74歳が対象で、腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上など一定の条件を満たした場合は、生活習慣改善を指導する。
 調査は今月、全国783市と東京23区に実施。開始時期や自己負担の有無などを尋ね、562市区(69.7%)から回答を得た。
 メタボ基準値や指導の効果に専門家から批判がある中で導入することの是非を尋ねたところ、「科学的根拠は十分で導入に問題はない」と答えたのは51市区(9.1%)のみ。207市区(36.8%)は「根拠は不十分だが、導入に問題はない」と答えたが、132市区(23.5%)は「基準値や指導内容を検証し、効果が確認されてから導入すべきだ」と回答。「分からない」が148市区(26.3%)で、3市(0.5%)は「導入すべきでない」と答えた。
 健診実施率やメタボ患者・予備群の減少率が国の目標に達しない場合、国はペナルティーとして、保険者に後期高齢者医療制度への拠出金増額を求める。357市区(63.5%)が反対し、「ペナルティーは当然」は23市(4.1%)だった。
 健診受診に自己負担が必要なのは353市区(62.8%)。負担額は300〜3200円(減免措置対象者を除く)で、自治体間の格差が大きい。
 健診の開始時期(予定も含む)は6月が239市区(42.5%)で最も多く、75%以上は6月までに開始予定だった。保健指導は78市区(13.9%)が10月以降の開始で、09年1月も6市(1.1%)あった。【まとめ・大場あい】

2008年3月25日 毎日新聞


こういう「調査」の場合、市役所や区役所の誰が答えるんでしょうか。結果はかなり杜撰です。しかし杜撰なのは「調査」それ自体というよりも回答が杜撰で恐れ入ります。科学的な「根拠は不十分だが、導入に問題はない」と答えた自治体が36.8%であって、このように答えた自治体がいちばん多いのですから、かなりクルクルパーです。何故科学的な根拠が不十分なものを導入することに「問題がない」のか、全く解りません。

この場合、質問票がわからないので何とも言いかねますが、選択式であるならば、このような選択肢の存在が僕なんかの理解をほとんど超越しています。しかしこの件についてはお金がかかっているのですから、もうちょっと真面目に考えたいものです。「不十分」な「根拠」によって「拠出金」を余計に取られることについては63.5%が反対していますが、この中には「基準値や指導内容を検証し、効果が確認されてから導入すべきだ」とした23.5%の全てと「導入すべきでない」と答えた0.5%の全てが含まれていると仮定することが出来ます。さらに導入の是非について「分からない」26.3%を加えても50.3%にしかなりませんから、あとの13.2%は「根拠は不十分だが、導入に問題はない」と回答した36.8%の自治体のうちのいずれかが含まれる可能性は極めて高いと思われます。「導入」するのは良いが拠出金の増額には反対であるということですが、「導入」の中には「増額」も入っているのですからこういう回答の仕方は矛盾していますが、それを1割以上の自治体がやっているわけです。

どうしてこんないい加減な事を言っていられるかというと、どうも素敵なウラがあるようです。

メタボ健診:おなか見せたくないなら着衣OK 測定正確?

 4月に始まる「特定健診・保健指導」(メタボ健診)の一環で、企業が実施する職場健診での腹囲測定について、厚生労働省は着衣のままの測定や健診会場での自己測定を認めることを決め、都道府県に通知した。腹部を出すことへの抵抗感による受診拒否を避けるためというが、専門家からは「正しく測定できるはずがない」との声が上がっている。【下桐実雅子、大場あい】
 メタボ健診は40〜74歳が対象。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策として計画され、男性85センチ以上、女性90センチ以上という腹囲の基準が注目を集めた。国民健康保険加入者には自治体などが実施し、健康保険の場合は職場健診に含められる。
 4月以降の職場健診について同省は今年1月、労働基準局長名で「腹部の露出など労働者のプライバシーに配慮が必要で、簡易な測定方法を導入する」と通知した。着衣の上からの場合は、実測値から1.5センチ差し引く。同省労働衛生課は「着衣といっても肌着1枚程度。受診拒否されると困るという事業者からの声もあり、より受けやすい体制を考えた」と説明する。
 一方、自治体などが実施する健診については、同省生活習慣病対策室は「着衣の上からの測定は想定していなかった。通知を準備中で、腹囲の測定方法を含め整理中だ」と説明。同じ制度の健診が違う測定法で行われる可能性がある。
 自己測定の精度にも疑問がある。北里研究所病院(東京都港区)が英医学誌「ランセット」に発表した論文によると、測定法を学んだ医師や看護師が同じ人の腹囲を測っても、測定者によって最大7.8センチもずれた。
 メタボに詳しい大櫛(おおぐし)陽一・東海大教授(医療統計学)は「メタボ基準はそもそも科学的根拠がなく、専門家の批判や受診者の抵抗もある中、厚労省はどうしても健診を進めるために精度を自ら捨てているのではないか」と批判している。

2008年3月2日 毎日新聞


職場検診では着衣の上からの測定や、あろうことか「自己測定」まで認めようとしてます。多分、「科学的根拠が不十分」なのに「導入に問題はない」と言っていられる自治体は、「自己測定」をやろうとしているのではないでしょうか。測定値の基準はみんな知っていますし、この基準を超える場合に色々面倒な目に遭うことも知っているでしょう。自分で測定した結果として「適当な」数値を出す動機は対象者全員に共有されています。「自己測定」が職場や郷土を救います。

そもそもが「測定法を学んだ医師や看護師が同じ人の腹囲を測っても、測定者によって最大7.8センチもずれた」という世界の話しですから、ある一点を超えたかどうかということで「ペナルティ」を課すというやり方自体が相当に非科学的なんですが、であるからこそごり押し的に「導入」をはかるのが政府というものであるならば、その一方では出来る限りそれに従う振りをしながらそれを骨抜きにするという動きが既に始まっているようです。制度は導入前に早くもクルクルパー。

同様に例の煙草自動販売機の成人識別システムにも春が来ています。

日本禁煙学会から疑問の声 タスポ導入の効果あるのか

   未成年者の喫煙防止を目的として、全国のたばこ自動販売機に成人識別ICカード「taspo(タスポ)」が段階的に導入されている。しかし、喫煙者からも小売店からも大不評で、効果についても日本禁煙学会から疑問の声が上がっている。いったい何のための制度なのか。
「無駄なシステム」と回答した人が55.8%
「taspo」の導入がたばこ自販機で進んでいる
   たばこ自動販売機に導入される成人識別ICカード「タスポ」の申込み受付が、2008年2月1日から全国で始まった。「タスポ」は顔写真入りのカードで、ICチップ(集積回路)を内蔵。未成年の喫煙を防止するのが目的で、他人への譲渡や貸与も禁止されている。申込みには、運転免許証などの本人確認書類のコピーと顔写真が必要で、運営主体である日本たばこ協会まで郵送する必要がある。
   08年3月から8月までに順次、全国のたばこ自動販売機で導入される予定で、「タスポ」がなければ自販機でたばこを購入できなくなる。
   財務省などによれば、高校生の喫煙経験者の約8割がたばこを自動販売機で買ったとする調査をもとにした取り組み。しかし、これが全くもって大不評なのだ。
   ニュースサイトBNNが3月17日から行っているアンケート調査では、「たばこ自販機にtaspo導入、あなたの考えは?」との問いに、「無駄なシステム」と回答した人が55.8%で最も多く、次いで「未成年の喫煙防止はあまり望めない」が18.2%で、「未成年の喫煙に効果大」とした人は15.8%だった。(3月19日夕現在)
   実際に「タスポ」の効果には、首を傾げたくなるデータもある。
   日本たばこ協会は、2004年春から種子島で「タスポ」を試験導入した。しかし、鹿児島県警によれば、種子島署での未成年者の喫煙による補導人数は、導入翌年の05年で10件と導入前年から4分の1に激減したものの、06年は84件に上り、かえって補導人数が増えてしまった。
   こうなったのは、親のカードを勝手に持ち出したり、成人から借りたりしためだという指摘もあるが、日本たばこ協会の未成年者喫煙防止対策室は、
「タスポを不正に借りるなどして未成年者がタバコを自販機で購入したのは06年でたったの7件。翌年にいたっては0件になっている。効果はあると思っている」
と述べている。
「タバコ自販機を長生きさせようという策略」
   しかし、日本禁煙学会は違った見解を持っているようだ。2008年2月19日の発表によると、種子島での試験導入で、逆に補導件数が増えてしまったことを挙げて「タスポというカードシステムでこどもが自販機からタバコを買うことを防ぐことはできません」とまで酷評している。
   同学会の作田学理事長はJ-CASTニュースに対し、
「タスポは結局、タバコ自販機を長生きさせようという策略で、全て対面販売にして、成人か分からない時に身分証明書の提示を求めるようにしなければ意味がない」
と話す。
   その一方でたばこ自販機をかかえる小売店にとってもタスポは大不評だ。
「買うのが楽なコンビニにお客さんが流れるのは分かりきっている。この店も続けられるかどうか」
と話すのは東京千代田区にあるたばこ店の店主だ。この店では自販機をリースしているため、1台に10万円前後かかる「タスポ」の認識装置の設置費用はかかっていないものの、売上がタスポ導入で減少するとみていて、店の存続についても心配している。
   コンビニエンスストアでのタバコ販売は対面販売であるため、「タスポ」提示の必要がなく、実際に喫煙者に聞いても「コンビニで買うから、タスポの申込みはしない」という人が圧倒的に多い。すでに「タスポ」の導入がすすんでいる地域についての報道のなかには、廃業するたばこ店の声が報じられていたりもする。
   日本たばこ協会は「種子島でもカードが普及するにつれて自販機での販売が増えており、対面と自販機の販売比率は元に戻る傾向があった。ただ、購買チャネルの変化が少なからずあることは予想している」と述べている。
   前出のたばこ店の店主は、「タスポは結局コンビニばかりを優遇した差別だよ」と皮肉混じりに漏らしている。

2008年3月22日 J-CASTニュース


もちろん日本禁煙学会は煙草自動販売機の廃止を主張していますから、死んでもタスポに肯定的な評価を下すことはないのでありまして、あまり参考にはなりません。しかし種子島署管内における未成年者喫煙補導数の推移と「タスポを不正に借りるなどして未成年者がタバコを自販機で購入したの」とは直接関係がありませんから、一方の数値が上昇して他方の数値が下降しても何の問題もないのです。これは未成年者が煙草を入手するルートが自販機ではなくなったというだけのことです。実はタスポを導入すると煙草をカートンで買って家に置いておく人が増えると思われますが、これによって買い置きの煙草を家の餓鬼に盗まれる可能性は高くなるのではないか。餓鬼どもは今までお金を出して買っていた煙草をタダで手に入れるようになるわけです。僕だったら自分の餓鬼とはいえキチンと対価を取りますが。

もちろん煙草屋さんとかコンビニでも買えます。未成年者の喫煙の禁止が身体的成熟との関係で言われるのであれば、「20歳」というポイントで区切る「根拠」はありませんし、まして買いに来た時に「成人か分からない」程度に成長した人間の年齢にことさら拘る「科学的な根拠」は全くありません。それどころかこのポイントは「改憲」などの政治的な思惑によって変動するようなのですから、無意味であることは明らかでしょう。実際のところ、大学生であったり就職していたりする18歳や19歳の人間の喫煙については、世間様ではとやかく言わないようなのです。

ちなみに、日本たばこ協会はタスポ発行申請時に取得した個人情報の管理については保護するんだとか言っていますが、タスポ使用時に発生する個人の購買情報については何もうたっていません。ところがタスポは貸し借りしてはいけないことになっています。餓鬼に貸しちゃいけないのです。「不正な貸し借り」があった場合は、そのカードの利用を停止すると言っています。しかしながら不正な貸し借りがあったかどうかを知るには、個々のカードの購買履歴を検索するしかありません。日本たばこ協会はタスポカードごとの購買履歴を取得しているのであり、その情報についてどのように管理し、いかに利用されるかについては何の声明も行なわれていないのです。そして不正な貸し借りさえ行なわれていなければ、カードの購買履歴は個人の購買行動そのものなのです。

そういうわけで、「根拠」が薄弱は割には「ペナルティ」が高すぎるという気がしますが、こんな風にして人は無意味なことを強制されることに馴れてゆくものなのです。

教員指示か 卒業生、国歌斉唱起立せず

 大阪府門真市の市立第三中学校で今月13日に行われた卒業式で、約170人の卒業生のうち男子生徒1人を除く全員が、国歌斉唱時に起立せず、その多くが斉唱もしなかったことが26日、分かった。式に出席していた3学年の担任、副担任計11人のうち9人も起立せずに斉唱もしなかったという。学校側は事前に教員が卒業生に不起立を促した可能性があるとみて担任らから事情を聴いており、事態を重くみた府教育委員会も調査に乗り出した。
 式の後、一部保護者から事態を問題視する声が寄せられ、学校側は市教委に報告。府教委によると、学校の調査に対し一部の教員は「生徒に国歌の意義について説明し、『式で歌うかどうかは自分で判断しなさい』と指導した」と話しているという。
 瀬戸和夫校長は「事前に不起立を指導していたのであれば、生徒の内心の自由を侵す行為で明らかに行き過ぎ」と話している。

2008年3月27日 産經新聞


さすがに産經新聞はいつもながら巧まざるユーモアというか、単なるポカというか、やっぱり春ですねえというか、娯楽的要素の強いクルクルパー記事を配信してくれています。府教委は事前に教員が卒業生に不起立を促した可能性が高いとニラんでいるらしいのですが、校長によると「事前に不起立を指導していたのであれば、生徒の内心の自由を侵す行為で明らかに行き過ぎ」なんだそうです。そんなら同様に「事前に起立を指導していたのであれば、生徒の内心の自由を侵す行為で明らかに行き過ぎ」になるでしょう。一字違いで大違いであります。こんなこと書いてて大丈夫か。

しかし府教委によれば「不起立を促した」ところの「一部の教員」は「生徒に国歌の意義について説明し」たんだそうです。おそらく「不起立を促す」のに有効な「説明」というものがあるわけです。しかしそれならば逆に、それ以外の教師は「起立を強制する」のに有効な「国歌の意義についての説明」が出来ていたのかどうか、甚だ疑問であります。「自分で判断しなさい」という余地を与えないだけの立派な「説明」をしていなければならないはずですが。もっともこれが出来ればノーベル賞ものですが、出来ないのであれば「説明」は「不起立」につながる、ということを認めざるを得ません。そして同意を得られるような「根拠」がないからこそ行なわれる「強制」に服するかどうかは「内心の自由」だ〜。Kimigayo is freedom、Kimigayo is freedom、でも教師は「厳正に処分」されちゃうらしいから、人質みたいなもんやね。「この先生のクビが惜しかったら起立して斉唱せえ!」って、そんなこと言われてもどうせ式が終わったらぶん殴ろう思うとる相手やし。それはともかく犬井ヒロシっておもろない思うで。いつまで出てくるんやろ。


posted by 珍風 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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