2008年05月11日

血まみれ母の日

第1回ベストマザー賞に黒木瞳さん
「働いていて、キレイだけど強そうな女性」が理想
軸丸 靖子

 5月11日の母の日を前に、憧れや目標となるお母さんを選ぶ「第1回ベストマザー賞2008」(NPO法人ひまわりの会主催)が9日、発表された。個人賞5部門のうち、芸能部門で選ばれたのは女優の黒木瞳さん。政治部門では自民党衆院議員として初めて出産した小渕優子議員が選ばれた。
 賞は、母子手帳配布窓口にハガキつきリーフレットを置き、出産を控えた女性に「こんな母親になりたい」と憧れる有名人を聞き、ハガキで投票してもらった。芸能、政治、学術、経済、文化の各分野から「ベストマザー」を選出したほか、出産育児支援に顕著な取り組みのあった自治体や企業も選んだ。
 個人賞でベストマザーに選ばれたのは、黒木さん、小渕さんのほか、昭和女子大学学長で「女性の品格」著者の坂東眞理子さん(学術部門)、公認会計士で「お金は銀行に預けるな」の著者・勝間和代さん(経済部門)、料理研究家の栗原はるみさん(文化部門)。
 特別賞としては、自治体部門で福岡県、東京都世田谷区、埼玉県さいたま市が、企業部門ではジョンソン・エンド・ジョンソン、NEC、カスミの3社と、水産物市場改善協会が選ばれた。
 東京都内のホテルで9日あった授賞式では、受賞者らに100本の赤いカーネーションの花束を贈呈。登壇した黒木さんは、
 「10歳になった娘に10年分ありがとうと言われたようで嬉しい。同時に身が引き締まる思い。これからお母さんになる若い女性たちに、頼もしい存在と思われるよう頑張らなきゃと思う」(黒木さん)
と喜びを語った。
 一方、出産してまだ7カ月という小渕さんは、
 「正直、私はまだお母さんとしては不十分。勉強しながらやらせていただいている。頑張れと言う意味で頂いたんだと思う。これから産もうかという人に相談を受けることもあるが、大変なこともあるけれど、自信を持ってチャレンジして、といいたい」
と抱負を語った。
 高校3年、中学3年、小学4年の3人の子どもを育てている勝間さんは、
 「娘たちには受賞するといったら『ベストワーカーだけどベストマザーではないよね』『でもベストな子どもを育てたマザーという意味もあるからいいんじゃない』といわれたので、謹んで賞をお受けしようと思った」
と会場の笑いを誘った。
 すでに子育てを終えた坂東さんと栗原さんは、
 「働いていたから、子どもと過ごせる時間は少なかったが、その中でベストを尽くそうとはしてきた。そういう意味でのベストマザーかと思う。いまの若い人たちに、本当に頑張ってね、という応援の気持ちでいる」(坂東さん)
 「家族が幸せでいることが私の幸せという気持ちでやってきた。(若いお母さんに選ばれた理由は)子育てでも仕事でも『どうせやるなら楽しくやりましょう』という姿勢が届いたのだと思う」(栗原さん)
と、次世代へのエールを込めた感謝を述べた。
 日本マザーズ・デイ委員会の会長・野田聖子衆議院議員は、第1回の受賞者について
 「いまの妊婦さんたちにとって、憧れる対象は働いていることが前提のよう。受賞者はみなさん強そうですよね。キレイだけど強さを感じる、そういうイメージが(憧れる母親像に)求められているのだと思う」
と語った。

2008年5月9日 オーマイニュース


「芸能、政治、学術、経済、文化の各分野から」選んだんだから「働いていること」は「いまの妊婦さんたちにとって、憧れる対象」の条件でもなんでもなくて、この「ベストマザー」に選出されるための必要最低条件になっているだけでしょう。さすがは野田聖子さん、さっぱりわけがわかりません。とはいうものの、「芸能、政治、学術、経済、文化」という「分野」が、比較的子育てがしやすい「分野」として「妊婦」の「憧れ」になっているのかもしれません。「比較的」というのは「農業」とか「会社員」、「店員」や「パートタイマー」、「店舗経営」、「ソープランド勤務」、「看護婦」などの「各分野」と比べて、ということですが。

したがってそれらの「各分野」から誰が選出されているかということはどうでもいいことです。しかし実際に「妊婦」の「投票」によるものだとすると、ここに「妊婦」における興味・関心の傾向が垣間見れるのかもしれません。なにしろ僕などは外見はともかくとして実際には「妊婦」ではないので、黒木瞳に10歳の娘がいることも知りません。「黒木香」に名前が似た人、くらいの認識しかなかったので仕方ありませんが、「子どものいる女優」といわれて急に思いつくのは三田佳子だけです。「芸能」だとスザンヌの母のキャサリンが思い当たります。しかし黒木瞳さんは「理想の上司」とかそういうのによく名前が挙がっています。そこらへんのからくりはよくわかりませんが、世の中では黒木さんはそういうことになっているようです。

小渕さんは最近子どもを産んだ議員として知られていますし、「学術」などは一般の「妊婦」が必ずしも詳しくない分野ですから、坂東眞理子さんになっちゃうのも仕方ないでしょう。本が書店で平積みにされているのが一つの指標となります。勝間和代さんも同様です。「文化」というと素人はすぐに「作家」とか「声楽家」とかを思い浮かべてしまうところですが、「妊婦」にとって「文化」とは「文化包丁」ですから、栗原はるみさんということになります。さすがは「妊婦」、よく「食育(笑)」の藤野真紀子のことを思い出さなかったものです。といっても藤野さんのことを思い出すのは、今では誰にとっても大変困難なことなのです。

このところマスコミなどで「母の日の起源」の話しを紹介しているようですが、この元ネタが「ひまわりの会」です。この法人のHPによると

起源は17世紀のイギリスで復活祭(イースター)の40日前の日曜日を 「Mothering Sunday」として奉公中の子供達が年に一度、里帰りをする日としたのが始まりです。 その後、1900年代アメリカ・ウェストバージニア州で教師のアンナ・ジャービスという人の母親が亡くなりました。 やがて、彼女がフィラデルフィアの教会で記念会を持ち白いカーネーションを贈ったのが一般的になる始まりと言われています。
http://www.best-mother.jp/about_md/index.html


というのが今日流布されている母の日の起源に関する話しの内容ですが、これはかなり極端に端折ってしまっているので、なんだかわかりません。何故アンナ・ジャービスの母親を偲ぶことがそんな影響力があったのでしょうか。何よりも西洋の「薮入り」みたいなものとの関係がよくわかりません。実は彼女の母親アン・ジャービスは、当時「アンナ・ジャービスという人」よりもよほど有名であったのです。

ウェストヴァージニア州の小さな教会の牧師の妻であるアン・ジャービスは色々な社会活動をしていて、1858年に「Mother's Day Work Club」を結成して病人のための募金活動や公衆衛生のための活動を展開しました。南北戦争の時にはこのクラブは中立を宣言して南北双方の傷病兵の看護に当たります。さらには「Mother's Friendship Day」というイベントを企画し、双方の兵士や住民を招いて和解を促進しました。敵同士を一堂に会するこのイベントは、しかし混乱に陥ることなく大成功を納めたといいます。

このような活動を通じて、アン・ジャービスは大きな影響力を持っていたようです。たとえば南北戦争終結後、女性参政権運動家のジュリア・ワード・ホウが、おそらくアン・ジャービスの「Mother's Day」にヒントを受けて「Mother's Day Proclamation」を発表し、毎年「Mother's Day for Peace」を行なうことを提案します。「proclamation」といのは「宣言」というか「布告」、「宣戦布告」の「布告」に当たります。これはいわば「宣戦布告」のカウンターとしての「布告」といった意味合いでしょう。夫や子どもたちを戦場に送ることを拒否する「布告」なのです。

私たちの夫は、虐殺の血の臭いに満ちて帰って来るべきではない。

私たちの子供は、今まで私たちが教えてきた慈悲、寛容、忍耐を忘れるために、戦争に連れて行かれるべきではない。

私たち、この国の母親は、どこまで優しくなっていくのでしょう。

自分たちの子供が、相手の国の母親の子供を殺すのをだまって見過ごすほどに優しくなってしまうのでしょうか。

http://www.ochanoma.info/sc_mothersday.html


アン・ジャービスはいわば平和運動や福祉活動における名士なわけで、そうでなければ単なる田舎の女教師の母親の追悼式が隣の州の都会で行なわれるはずがありません。「母の日」とはアン・ジャービスを記念する日だったのであり、彼女の思いを受け継ごうというのが主旨なのです。その影響は「母の日」を通じて今日の極東の島国にまで及んでいるわけですが、「ひまわりの会」は大切なところを削除しています。アン・ジャービスの事績を紹介しない「母の日」の解説は、その起源における平和志向を隠蔽しようとしてるかのようです。

ちなみに「ひまわりの会」の主立ったメンバーはこんな人たちです。

会長
野田 聖子 ( 衆議院議員 )
理事
加藤 登紀子 ( 歌手、UNEP国連環境計画日本親善大使 )
アグネス・チャン ( 日本ユニセフ協会大使 )
南 裕子 ( 国際看護師協会 会長 )
東郷 良尚 ( 財団法人 日本ユニセフ協会副会長 )
奥 貴敏 ( NPO法人ひまわりの会 創設者 )

こんなところで何やってんだか知りませんが、加藤登紀子って反帝学連の藤本敏夫と結婚した歌手ですな。藤本敏夫はその後「自然」とかそっちの方に行って成功した人で、「大地を守る会」って有機栽培の野菜売ってるでしょう。あれを始めた人です。「大地」っていうと「血と大地」の「大地」ですか。違いますか。そうですか。ほー。パール・バックの方ですか。あの「大地」は喰えるんですよ。「鴨川シーワールド」で知られる千葉県の鴨川という所に「鴨川自然王国」という農場があって、彼が死んだ後も加藤登紀子はそこの理事とかやってるはずです。この人の「UNEP国連環境計画日本親善大使」というのはいわば「本物」でして、これとならべておくと「日本ユニセフ協会大使」もなんだかエラそうに見えるのかもしれませんが、「ひまわりの会」のHPの中には「ユニセフの親善大使」と書いちゃってるところもありますからhttp://www.npohimawari.or.jp/conversation/05/、くれぐれも油断は禁物であります。

ところで「ひまわりの会」の創設者というのも加藤さんのご同業のようで、「地産地消・食育のショッピングサイト」HAI!HAI!というのを運営している株式会社ハイハイの奥貴敏さんであります。やっぱり農産品などを販売しています。全国津々浦々の「地産地消」を東京でコントロールするのは大変そうですが、よく見ると「自分の出身地」の産品を買うことが出来るのだそうですから、「地産地消」とはちょっと違うんじゃないかという気がしますが、ああいいう業界のことはよくわかりません。この会社も「ひまわりの会」も東京都千代田区三番町30番8号第2生光ビルにあるわけですが、ここにはもう一つ特定非営利活動法人がありまして、それは「日本食育士協会」というのです。「この法人は、国民全体に対して、食育全般に関する啓蒙のための事業を行い、人々の暮らしの安全と健康に寄与することを目的とする」のだそうであります。

「食育指導士」とか「食育インストラクター」とか、各社が色々な口座を設けてそれぞれに資格を発行しているわけですが、これもその一つです。ここでは基礎コース(2.5ヶ月)、中級コース(約3ヶ月×2)、上級コース(3ヶ月+集合研修)とあって、それらのコースを修了して試験に合格すると「食育士」というありがたい「称号」が「授与」されるという仕組みのようです。「基礎コース」だけは無料なのだそうですからそこから上は有料なんですが、いくらかかるのかはわかりません。喰うに困らない程度の料金だと助かりますね。世の中は喰ったり喰われたりです。

「ひまわりの会」の理事は有名な順に並んでいるようですが、「日本ユニセフ協会」との親密な関係は「大使」に留まりません。副会長の東郷良尚さんも理事の1人です。5人の理事のうち2人が八百屋で2人が「日本ユニセフ協会」なのです。東郷平八郎の親類で元日本航空の東郷さんは募金集めに辣腕を振るい、信販会社や『地球の歩きかた』読者名簿など、明らかにされていない様々なリストをどこからか入手してダイレクトメールを送付、今では150億円以上の募金を集めるようになり、港区高輪に「ユニセフハウス」なる建物まで所有するまでになりました。

ちなみに南裕子さんは「少子化への対応を推進する国民会議」などというものに参加していましたから、多少は「母の日」ともつながりがありそうです。もっともこの「国民会議」には、なぜか引越社の赤井英和がいたり、長女を出産する前の早見優がいたりして何だかわからないんですが。

まあ、ざっとこんな人たちが「母の日」の「非平和利用」に躍起となっているようなのですが、なにしろトップページから挨拶代わりに「出産、育児を支援し、そして子どもたちを守ることこそ、この国を守ることにほかなりません。」と言い出す始末です。なんであれ何かの意味を「この国を守る」ことに求めているくらいですから、順序としては「この国を守ること」のほうが「出産、育児を支援し、そして子どもたちを守ること」に優先することになっております。事と次第によっては「この国を守る」ために「出産、育児」や「子どもたち」のほうを犠牲にするそうですから、どこまで優しくないんだか知れたものではありません。自分の母親がこんな風だと息子としては大変不安になりますな。

ちなみに僕の「ベストマザー」はケイト・「マー」・バーカー。名高いバーカー・ファミリーのお母さんですよ。この伝説的な猛女と狂った息子たちの実話は、「血まみれギャングママ」(1970年、ロジャー・コーマン)の他にも「ビッグ・バッド・ママ」(1974年、スティーヴ・カーヴァー)、「クレイジー・ママ」(1975年、ジョナサン・デミ)と3度にわたってロジャー・コーマンの手によって映画化されている他、最近でも「FBIファイル第一級指定/パブリック・エネミー」(1995年、マーク・L・レスター)において扱われています。


posted by 珍風 at 11:57| Comment(0) | TrackBack(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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