2008年07月03日

死刑は陽気にスウィングで

「朝日は旧態依然」 サリン事件遺族が「死に神」問題で抗議

 朝日新聞夕刊1面コラム「素粒子」で、計13人の死刑執行を指揮した鳩山邦夫法相を「死に神」と表記したことに抗議、質問した「全国犯罪被害者の会」(あすの会)への朝日新聞社の回答を不満として、「地下鉄サリン事件被害者の会」代表世話人の高橋シズヱさん(61)が3日、同社に抗議文を送付した。
 抗議文では、あすの会の「被害者遺族にどんな気持ちを起こさせるか考えなかったのか」との質問に同社が「気持ちに思いが至らなかった」と回答したことに触れ、「犯罪被害者へのさまざまな二次被害防止の取り組みがなされている中、(朝日新聞社は)旧態依然と言わざるを得ない」と批判している。
 鳩山法相については「現行法に従って粛々と(死刑執行を)実行した。何ら非難、中傷を受けるようなことではない」と擁護した。

2008年7月3日 産経ニュース


「抗議文」は高橋さんのブログに来週載るそうです。「地下鉄サリン事件被害者の会」は「地下鉄サリン事件の遺族と被害者とその家族による自助グループ」であって、主な活動は「被害者救済を目的とした活動」、「「オウム真理教犯罪被害者支援機構」の機能促進協力」「テロ事件の被害者の経済的支援組織設立のための活動」であるとされています。「活動分野」は「地下鉄サリン事件」に止まらず「犯罪被害者全般」に広がっており。「殺人、暴行・傷害、交通被害、性的被害、少年事件、児童虐待、DV・ストーカー、その他」の「被害者」の「救済」を目的としているのです。
http://www8.cao.go.jp/hanzai/dantai/shosai1/j-15.html

例えば「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」の成立などはこの会の活動の主要な成果です。

オウム事件:被害者救済法が成立 高橋シズヱさん「苦労報われた」

 オウム真理教事件の被害者救済法が11日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。坂本堤弁護士一家殺害事件から19年、地下鉄サリン事件から13年を経て、ようやく国による被害者救済が前進する。
 霞ケ関駅助役だった夫一正さん(当時50歳)を亡くした「地下鉄サリン事件被害者の会」代表世話人、高橋シズヱさん(61)は、本会議場の傍聴席で見守った。賛成234、反対0で可決されると、控えめな笑みを浮かべ、大きくうなずいた。「13年の苦労が報われた。成し遂げた充実感がある」と話した。
 一連の事件被害者への公的補償はほとんどない。教団の破産手続きは3月に事実上終了し、被害者への配当は債権額の約4割にとどまる。高橋さんは議員と面談し、寝たきりの被害者を支える家族や後遺症に苦しむ被害者の声を届けてきた。「そういう方たちを思い浮かべ、犠牲者の無念を訴えないといけないとの思いでここまでこられた」と振り返った。
 同法では、国が賠償金をいったん支払い、教団に求償する。対象は地下鉄・松本両サリンや坂本弁護士一家殺害など8事件の約4000人。被害を6段階に分け、要介護の後遺障害に3000万円▽死亡と重度障害に2000万円▽その他の被害に500万〜10万円−−を支払う。【銭場裕司、北村和巳】

2008年6月11日 毎日新聞


この法律では国は被害者に賠償金を支払うのですが、それは要するに立て替えただけであり、後で教団に請求が行くようになっています。つまり建前上は国は一銭も支出しないんですが、それは「加害者」に相当の資力があることを前提にしています。その名称が示すように、これは「オウム真理教事件」のみを対象とする法律であって、その他一般の「犯罪被害者全般」の「救済」の原則となりうるものではありません。

現在の「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」による「犯罪被害者等給付金」では遺族給付金の最高額が1573万円、傷害給付金の最高額は1849万円にしか過ぎません。本来であればこの金額を引き上げる事が出来れば良かったのですが、「オウム真理教事件」のみの「特例」として最高3000万円まで認められたものです。

したがって「地下鉄サリン事件被害者の会」としては「苦労が報われた」ことになるかも知れませんが、犯罪被害者救済をより高度にする点においては、国に巧くかわされた格好です。

しかしながらこの法律に示された手順、つまり国が立て替えておいて「加害者」に払わせるという方法は、「加害者」にある程度の資力があるかまたは労働によって最低限度以上の賃金を獲得出来る場合には一応考慮に入れて良いものではないかと思われます。実際問題としてそんな「加害者」がどのくらいいるかという問題もありますが、世間で言う「生きて償う」とはまさにこのような事なのではないでしょうか。

このやり方を受け入れるのであれば、これは「更生」の問題に関係してきます。たとえば高橋シズヱさんのブログでは「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律」が衆院内閣委員会で可決された日に、現状の「更生」システムに疑問を投げかけるエントリが上がっています。

更生って何やってるの?
2008/6/4(水)

YUWママのお怒りはごもっとも!

コメントに書かれている
「どんなに泣ける論告かいてくれても、有罪とって満足で、
そのあとの更生施設、プログラムなどなにも確立されてないやん」
って、ホント被害者の心からの叫びですよね。

これって、
司法制度と矯正関係者による二次被害ってことになるんじゃないの?

だって、被害者って何にもできないんだから、悔しいよね。

それと、被告人の権利とか、加害者の権利とか言うけど、
少年事件を含めてもね、
そもそも犯罪者ではない矯正関係者が、
矯正関係者の常識をもって矯正すること自体、
矯正した方が良いんじゃないかと思う。

私の友人がよく言っているけど、
凶悪犯罪の服役囚には、
死刑囚自らに体験談を話させるとかしたらどうなんだろうね。

そうすれば、死を直前にして自分の犯した罪を見つめて何を考えたか、
それこそが服役囚の心に素直に響き、真の反省悔悟に繋がるだろうし、

あるいは反省もなく死にゆく死刑囚であれば、その哀れさから、
そうなってはいけないというい服役囚の改心につながるか、

それなりの効果はあるのではないかと思う。

服役囚でも、保護観察になったらその時だっていい。

どのように人生をやり直すのか、
宣誓の意味でも服役囚の前で講演させたらいいんじゃないの?

被害者遺族の講演もその一環のプログラムに入っていれば、なおよいと思う。

http://blogs.yahoo.co.jp/whitecat12browncat12/23654069.html


「そもそも犯罪者ではない矯正関係者が、矯正関係者の常識をもって矯正すること自体、矯正した方が良い」のかどうかはちょっと分かりませんが、「死刑囚」にお話をさせるというのも、ちょっと考えるとヘンなようです。おそらく執行の延期を希望する確定死刑囚が心にもない「反省の弁」を述べたりするんでしょうし、「模範囚」を演じて「保護観察」を獲得した奴が偽善の総仕上げとして「講演」をするんでしょう。そんなことにどんな「効果」があると思っているのでしょうか。

こんな思いつきは服役者が置かれている強固な権力関係が全然見えていないお人よしの夢物語です。てゆうか「更生」というのが「奴隷」の生産のことなのであれば、悪いことは言わないからそんなことは止めておく事です。誇りを失った人間はまたヤルに決まっています。文字通り「命」を握られた「死刑囚」を「更生」の「道具」として使おうというのも随分と人が悪いようですが、相手がどれだけプライドを捨てて「奴隷」になり切ったかを見極めにくる「被害者遺族」もステキです。

しかしながらこの点から見ると、「死刑」は「死刑囚」自身の「更生」とは矛盾するばかりではなく、「被害者」が「賠償」を受ける機会を奪う可能性があるのです。死体がいくらで売れる事でしょう。たかが知れています。そんなことよりも「更生」してもらって、ちょっとでもお金を出させるのが「被害者」の「救済」に寄与するのではないでしょうか。

ところで「オウム真理教事件」という、「加害者」が組織体であることによって「死刑」と「更生」と「賠償」をその構成員に配分する事が出来る特殊事例に従事する高橋シズヱさんの死刑一般に関する考え方は次のような通り一遍のもののようです。

死刑というのは、今の日本の法律に基づいて、
裁判の結果下された適切な裁き、犯した罪に対する正当な処罰、遺族はこう受けとめます.
死刑に値する犯罪をおこなったら、死刑判決が下るし、死刑が執行される、
と信じています.

冤罪事件の家族の苦しみ 2008/7/1(火)
http://blogs.yahoo.co.jp/whitecat12browncat12/24193226.html


「死刑に値する犯罪」とは何か、てゆうかそれがいかに恣意的に変遷するか、なんて事はともかく、「処罰」と「更生」の間に横たわる矛盾、「処罰」と「賠償」の間のそれ、そして「更生」が「賠償」を保証するような関係を考えるときに、死刑にしろ懲役にしろ単に「今の日本の法律」に基づいて「適切」だったり「正当」だったりすることに果たしてどれだけの意味があるのか、はなはだ疑問とせざるを得ません。高橋さんの「個人的な意見」としては朝日の「気軽さ」が気になるようですが、高橋さんの死刑支持も実は相当に「気軽」なようです。


posted by 珍風 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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