2009年01月30日

オリムピック吊り具

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委員長、東京五輪招致へ国会決議採択を要請

 小坂憲次衆院議院運営委員長は29日の議運委理事会で、2016年夏季五輪の東京招致を求める国会決議を早期に採択するよう与野党の筆頭理事に要請した。
 東京五輪の招致委員会は2月12日までに国際オリンピック委員会(IOC)に詳細な開催計画を提出する予定で、小坂氏は「国会決議はできるだけ早い方がいい。速やかに決議が行われる環境を整えたい」と各党内の調整を急ぐよう求めた。
 国会では、昨年12月に超党派の「2016年オリンピック日本招致推進議員連盟」が設立され、今国会での決議を目指す運動を展開している。(共同)

2009年1月29日 日刊スポーツ


オリンピックとか言っている場合かどうか知りませんが、かなり暢気な話しであるとは言えるでしょう。小坂さんがそんなことを「要請」しているその時に、一方ではぶらぶらぶらぶら4つも吊るされちゃいましたですよ。

4人の死刑執行  麻生内閣で2回目

 森英介法相は29日、東京、名古屋、福岡の各拘置所で死刑囚計4人の刑を執行したと発表した。死刑執行は昨年10月28日以来約3カ月ぶりで、麻生内閣、森法相の下で2回目。鳩山邦夫元法相時代から2−3カ月に1回のペースを維持した格好だ。確定死刑囚は95人となった。
 執行されたのは、愛知、長野両県で4人を殺害した西本正二郎死刑囚(32)=東京拘置所=のほか、殺人事件の再犯で3人を殺傷した牧野正死刑囚(58)=福岡拘置所、共謀して2人を焼殺した川村幸也(44)=名古屋拘置所、佐藤(旧姓野村)哲也(39)=同=の両死刑囚。
 森法相は同日、会見を開き「事実関係を精査した上で(執行を)判断した。国会の日程や時期はまったく念頭にない」と述べた。
 法務省などによると、確定から執行までの期間は、牧野死刑囚が15年2カ月、川村、佐藤両死刑囚が2年6カ月、西本死刑囚が2年だった。
 確定判決によると、西本死刑囚は04年1月、愛知県春日井市でタクシー運転手=当時(59)=を刺殺。4−9月には、いずれも1人暮らしだった長野県内のお年寄りら3人をロープやナイフで殺害し、計約30万円を奪った。
 牧野死刑囚は仮出所中の1990年3月、北九州市門司区の民家に侵入し女性=当時(25)=を刺殺。さらに帰宅した女性の母親と通りがかりの別の女性に重軽傷を負わせるなどした。
 川村、佐藤両死刑囚は2000年4月、約束手形の債権回収トラブルから名古屋市の路上で喫茶店経営者を暴行、その妻=当時(64)=ら2人を拉致し現金を強奪。愛知県瀬戸市の山林で2人をドラム缶に入れ、ガソリン混合油をかけて火を付け殺害するなどした。

2009年1月29日 共同


最近じゃ月末近くにやるようです。しかし「正月」というのは1月の別名でもあります。ですから29日でも「正月早々」と言えば言えるわけですが、前回から間があき過ぎるのを嫌ったようです。「3カ月ぶり」ではありますが、正確には3カ月を超えていますから急がないといけない。

とはいえ今のところは、やはり「当たり障りのない」死刑囚が選択されています。先ずは犯行の様態が凄まじい例で、名古屋の河村幸也さんと佐藤哲也さんがその例です。なにしろ女性を生きたままドラム缶に詰めてガソリンをかけて焼き殺すのですから、確かに尋常ではありません。佐藤さんは金融業者である父親から被害者の一方の夫である喫茶店経営者に対する債権回収を任されたのですが、6人で押し掛けていって結局回収出来たのは1%の24,000円。最高裁第2小法廷今井功裁判長は「計画的犯行」と評価しましたが、大の男が6人がかりで債権の回収に行って、やってきたのは焼死体をそこらにバラまくだけというていたらく、殺害の計画があったのだとすれば債権回収の計画はこれっぽちもなかったということになるようです。しかも債務者は逃げているのに妻とその妹を拉致して殺害してしまったので、当然債務者は警察に届けます。実際に届けたので直ぐに捕まってしまいます。一方で債務者もそんな金融業者のご利用は計画的ではなかったようですし、全体として人間の「計画性」というものを改めて考え直させる事件です。

実際のところ債権回収に行くまでは佐藤さんの仕事であるはずですが、一方で川村さんは佐藤さんの雇用主でもあったわけで、関係は複雑です。佐藤さんは多分、回収に行くつもりだったんでしょうけど、いつもお父さんの仕事ぶりを見ていると、どうも回収というのは相手をボコボコにすることに他ならないと思ってしまったのかもしれません。そこで応援を頼んだという点では確かに他の人たちは佐藤さんの手伝いにいったわけです。実際、川村さんは自分のそのような立場を主張していますが、名古屋地裁片山敏男裁判長は、他の4人に対して生命保険をかけているとか殺し屋を差し向けるとか脅かして強引に犯行に巻き込んだりした点で、その果たした役割を重く見ています。控訴審名古屋高裁の川原誠裁判長も同様の意見であり、まあこれは共犯の4人というのは川村さんの同業者であったりして、雇用者に過ぎない佐藤さんが頼んでも動いてくれない人たちではなかったかと思われますが、しかし川村さんとしては佐藤さんに頼まれてひと肌もふた肌も脱いだという自覚がありますから、「主犯」と同じ量刑ではよろしくないとして、死刑執行時点で第二次再審請求の準備中であったようです。

もっとも、佐藤さんの方は「死刑を受け入れる」として控訴審には出廷しませんでしたし、確定後に再審請求を出しましたが後で取り下げています。自分が債権回収ひとつ満足に出来ないバカ息子であることに絶望したのかもしれませんが、ここらへんが今回の執行における「当たり障りのなさ」のもうひとつのポイントです。つまり死刑囚が自らその刑を認めているものです。

だからといって「殺していいよ」という人を殺しても良いのであれば警察は要らないとか申しますが、後の2人がその例です。西本正二郎さんは強盗殺人で4人殺しています。ひとつはタクシー強盗で、運転手を殺して18,000円を強奪。その次が一人暮らしの老女を襲っています。その次に爺さんを殺して26万円。次いでパートで働いている婆さんを殺して6千円。長野地裁土屋靖之裁判長は「被害者遺族の処罰感情が峻烈で、財産的被害も甚大」であるとしていますが、遺族の感情を引き合いに出すのもどうかと思いますが「財産的被害も甚大」というのも少しおかしいようです。実は西本さんは、その次に空き巣を狙って1020万円の収穫がありました。その他10件前後の窃盗があるようです。いずれも誰も殺していないのですが、「被害者遺族の処罰感情が峻烈」なのと「財産的被害も甚大」なのは別々の事件なのですから、この書き方は少しおかしいようです。

西本さんは「死を持って償いたい」と言ったものの、「別の殺人をおかした」として控訴しますが、結局はその件はウソであったとして控訴を取り下げ、死刑が確定しました。なお、この事件では2つ目の事件で被害者の長女が警察に疑われ、毎週呼ばれては長い時で午前9時から24時までの「事情聴取」、ポリグラフの針が動かないと「無意識に殺したんじゃないか」とまで言われたばかりか、この長女のそのまた娘が隣町の駐在所に拉致され、閉じ込められて「お母さんに自首を勧めてくれ」などと言われています。このような経緯が「被害者遺族の処罰感情」を「峻烈」ならしむるについて関係があったのかどうか、判決では明らかではありません。

一方の牧野正さんは、通行中の女性の頭を鉈で斬りつけて重傷を負わせ500円を奪ったあと、会社員女性宅に侵入、室内を物色中を女性の長女に見つかってこれを殺害、2,300円入りの財布を奪って逃げるところで帰宅してきた会社員女性と遭遇して重傷を負わせて逃走、逃げる道すがら通りすがりの看護婦見習い女性をバールで殴って10日のケガそさせ2,000円くらいを盗みました。随分と効率の悪い人です。

裁判では牧野さんは「被害者の遺族が自分の別れた妻に恨みを持っていると聞き、本当のことを話す気持ちになった」として殺害を否認しましたが、次の公判で「別れた妻が被害者の遺族から仕返しをされると思って否認したが、本当はやった」と言い出します。わけが分りませんが、弁護側によれば牧野さんはその「別れた妻」に家出されるなど色々大変で、多量の鎮痛剤を服用していたようです。精神鑑定によると脳に器質的な障害があり「人格障害」が認められるとのことですが、責任能力はあったとされました。福岡地裁の森田富人裁判長の判決では、牧野さんが20年前の強盗殺人等により無期懲役を受け、17年後に仮釈放されて保護観察中の事件であったことから「犯罪性向は強固であり、現行の矯正方法では改善不可能」として死刑判決を出しました。

弁護人は控訴しましたが牧野さんはこれを自ら取り下げて刑が確定しました。しかし半年後になって新たに控訴審の弁護人を選任し、控訴取り下げの無効を争うことにしました。例によって落ち着きませんが、これは控訴の取り下げが弁護人不在で行われたためです。あまり知られていないことかもしれませんが、国選弁護人は上訴手続までを担当してその後は弁護人がいない状態になります。控訴審においてはまた新たに弁護人をつけてもらわなければなりません。牧野さんの例だと弁護人は上訴手続を行っているのですが、そこまでで国選弁護人の仕事はおしまいであり、その後で弁護人によるサポートを受けることなく取り下げることが出来てしまうことになっています。

脳の器質的障害および薬剤の連用の影響によって判断力が低下している可能性があり、尚かつ「別れた妻」がどーのこーのという不明瞭な理由で犯行を否認したり認めたり、というところをみると、失礼ながら牧野さんの能力はちょっとアヤシイのではないかと思われ、控訴の取り下げ自体の有効性もアヤシゲであります。そういう人にとっては特に弁護人の「空白」はちょっと問題があるのですが、福岡高裁八束和広裁判長は憲法37条における刑事裁判被告人に弁護人をつける権利の保障について「起訴から判決確定まで間断なく弁護人がつくことを保障したものではない」という判断を示しました。最高裁においても島田仁郎裁判長によって同様の判断が示され、ビンボー人にとっては唯一の頼みの綱である国選弁護人制度には大きな落し穴が口を開けてあまり利口でない人を飲み込もうとしている状態が続いています。

同様の理由から以前の無期懲役の判決を受けた事件において控訴を取り下げた件についても、現在福岡高裁で係争中でした。八束和広さんはその後一度家裁の所長になって、それから横浜の家裁に異動して4年前に依願退官していますから、高裁ではまた別の判断が示される可能性があったのかもしれません。なかったのかも知れませんが、分ったものではありません。牧野さんの刑が執行されてしまった今となってはもはや知る術はありません。

何が「当たり障りのない」だかよく分からなくなってきましたが、そりゃ死刑ですから当たりや障りはあるものです。ところで正月早々の執行といっても、これは何も「ペースを維持」することが目的ではないでしょう。おそらく数をこなすのが目的であって、そのためには一定のペースを維持することが必要です。正月ですから連中の「一年の計」を出してみましょう。今年は20人台に乗せるつもりではないでしょうか。2カ月毎に4人ずつで1年に24人。これは2006年から2007年における年間死刑確定件数と同レベルの数字であり、このくらい片付けていかないと溜まる一方になることは間違いありません。昨年の確定は10人くらいでしたが、これは執行の方が間に合わないからちょっとセーブするようにしたんでしょう。4年経ったら100人くらい殺してる、かたい約束夢じゃない。オリンピックまでに150人くらい吊るしますのでウェルカムようこそ日本へ僕らは生きてるけど誰かは殺されることに決まってる時代へ。人殺しが「事件」じゃなくて「粛々と」行われる国へ。"Bless you!"


posted by 珍風 at 05:57| Comment(15) | TrackBack(16) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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