2009年10月14日

お出かけ前の電波シャワー

「テレビがないと困る」半数 16〜24歳調査

 NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会は、16〜24歳の若者とテレビに関する調査の結果を9日に発表した。アンケートに「テレビがないと困る」と答えた人は49.5%にとどまった。「大切だと思うメディア」では、テレビは携帯電話、パソコンに次いで3位だった。
 東京都内で無作為に選んだ男女311人を調べた。子どものころからパソコンやインターネットがあり、「デジタルネーティブ」と呼ばれている世代だ。
 テレビを見るのと同時に「携帯電話でメールやサイトを閲覧する」と答えた人は、「よくする」「時々する」を合わせて64.9%。「ながら視聴」の多さも目立つ結果となった。(松田史朗)

2009年10月13日 asahi.com


「ながら視聴」が多いからどうだというのか。BPOでは視聴者が何かしながらではなくて、もっと真面目にTVを視聴することを期待しているようですが、どうかしています。今どきTVの前にかしこまって一瞬たりとも見逃すまいとしているような人がいるとはちょっと考えられません。

実際のところ「ないと困る」かというとTVはなくても困りません。多くの携帯電話がワンセグを搭載しています。それからPCを情報媒体として考えた場合、電子メールとかインターネットの利用が考えられますが、これも携帯電話で可能です。要するに「大切だと思うメディア」の1位である携帯電話は2位のPCと3位のTVを統合しているわけです。携帯電話があれば、ネットもテレビもあることになります。

したがって「テレビがないと困る」人が半数以下だからといって、これは必ずしもテレビ放送がなくても困らない人が半分以上だ、ということにはならないようですし、若い人がテレビを見ていないというわけでもないようです。それに携帯電話の他にもTV受像機がないと「ながら視聴」が出来ません。

この記事はいわゆる「若者のテレビ離れ」とかいうもんについての記事のようでもありますが、まあ若者がTVをあまり重視していないようだ、ということでしょうか。しかし軽視していても、とりあえずは「視て」いることには変わりがないのですから、別にどうでも良いような気もしますが。

博報堂グループのメディア環境研究所が出している「2009年メディア定点調査」
http://www.media-kankyo.jp/upload/files/news_25/teiten09.pdf
によると東京地区の15歳から69歳までの人は1日平均163.5分もTVを見ているそうですが、性・年齢別に見ると確かに20代男性のテレビ視聴時間はもっとも短くなっています。といっても110.9分もあるのですから、まあよく観ているといって良いのではないか。一方20代女性は、女性の中では一番TV視聴時間が少ない層であるとはいえ、169.3分と平均以上です。

ちなみに20代男性においてはラジオ聴取時間、新聞雑誌閲読時間とも少なくなっている一方でPCからのインターネット接続時間は最も長くなっていますから、既存マスメディアがインターネットにお客さんを取られたような気になるのももっともです。じっさいのところ、この調査ではTV、ラジオ、新聞、雑誌、PCからのインターネット接続、携帯電話からのインターネット接続の6メディアについてそれぞれの接触時間を調べているんですが、性・年齢別にみるとTV視聴時間が増えるとラジオ、新聞、雑誌の時間も増え、インターネットの時間が減る傾向にあるようです。

同調査ではそれぞれのメディアの「イメージ」調査を行っており、これは23の「イメージ文」を用意して、それとメディアを対応させるというやり方ですが、それによると

TVに結びつけられることの多かった「イメージ」は
 情報が早くて新しい 
 分かりやすく伝えてくれる 
 仲間との話題に必要 
 自分にとってなくてはならない 
 おもしろい 
 楽しい情報が多い

ラジオ
 情報が早くて新しい
 情報が信頼できる
 最近元気がない感じがする
 身近な内容の情報が多い

新聞
 情報が信頼できる
 情報が幅広い
 身近な内容の情報が多い
 役立つ情報が多い
 自分にとってなくてはならない
 ポリシーやメッセージを感じる

雑誌
 楽しい情報が多い
 役立つ情報が多い
 知りたい情報が詳しく分かる
 おもしろい
 明確な個性や特徴を持つ

PCからのインターネット
 情報が早くて新しい
 知りたい情報が詳しく分かる
 役立つ情報が多い
 情報が幅広い
 時代を切り開いていく感じがする
 自分にとってなくてはならない

携帯電話からのインターネット
 情報が早くて新しい
 役立つ情報が多い
 時代を切り開いていく感じがする

いまだに新聞は信頼されているようですが、TVだって新聞に次いで信頼されているのですから世間は広いわけですが、さすがにインターネットの信頼性はやっぱり低いものです。ちなみにTVとインターネットで「イメージ」が相反しているのは

分かりやすく伝えてくれる TV>ネット
知りたい情報が詳しく分る TV<ネット
感動や興奮を覚える情報が多い TV>ネット
仲間との話題に必要 TV>ネット
時代を切り開いていく感じがする TV<ネット

というあたりですから、TVは色々なことを単純化して「分かりやすく」、てゆーか余計分りにくくなるような気もしますが、とにかく「分かりやすく伝えてくれる」ものの、それは別に「知りたい情報」ではないようです。したがってインターネットはより「役に立つ情報が多い」ように感じられるのですが、しかしTVは「仲間との話題に必要」なのですから観ないわけにはいかないのです。

つまり人には自分の情報ニーズと無関係な情報ニーズをもった「仲間」というものがいて、その「仲間」とのコミュニケーションのために観なくても良いTVを観ているということでしょう。実際にTVにおいて「イメージ」されることが少ないのは

知りたい情報が詳しく分る
斬新な情報が多い
気持ちが落ち着く情報が多い
ポリシーやメッセージを感じる
明確な個性や特徴を持つ
センスがいい・カッコいい

というあたりです。いわばTVは「無難な」ものであると思われているのであって、人はTVを見ることによって人格を「無難」に整えて「仲間」の中に入ってゆくのです。それは「ヘン」なことを話題にしたりしないで、「感動」とか「興奮」というような内臓感覚に近いようなところを共有する「仲間」です。

この「仲間」というのがあまり明確ではないのですが、「社会」が生身の自分に対して開かれた部分としての幾人かの人々であるとすればそれはまさに「社会の窓」ですが、「仲間」に対応するために情報環境を整備するとすれば、それは「社会化」というものなんでしょう。

そしてそのような「仲間」との「話題」を離れたときには、それとは別の「知りたい情報」が存在するのであり、したがってそれは「仲間との話題」すなわちメジャーな情報ではないという限りにおいて周縁化された興味であると言って良いと思われます。逆に言えば人はマイナーな情報を求めてネットに接続するのです。

したがってネット上において周縁的な議論が盛り上がっているように見えるのはむしろ当然なのであって、南京大虐殺がなかったりフリーメーソンがユダヤの陰謀で金正日が創価学会で衛星からの毒電波でお腹が痛くなったりするのは不思議でもなんでもありません。

ちなみに昔のTVではこのようなネタを盛んに放送していたもので、矢追純一さんなんかが一生懸命やっていたわけですが、最近やりませんねUFO。嫌いじゃなかったんだが。TVは信頼性を追求することによって人々の「よそ行き」でないニーズに応えられなくなったようで、それが相対的な地位低下をもたらしているのかも知れませんが、BPOもそのような傾向に責任がないというわけでもないでしょう。どうでもいいですがTVなんて。でもお出かけ前にちょっと浴びてから出たほうがいいかも知んない。


posted by 珍風 at 11:50| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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