2009年10月17日

三丁目の夕日が丘の暴利大尽

三丁目食堂「元経営者の不起訴不当」 札幌の支援団体代表ら審査申し立てへ

 札幌市白石区の「三丁目食堂」で働いていた知的障害者4人が過酷な労働を強いられ、障害年金を受け取れなかったとされる問題で、詐欺や監禁の容疑で告発された食堂の元経営者(80)を不起訴とした札幌地検の処分は不当だとして、札幌の障害者支援団体の代表ら22人の告発人が20日、札幌検察審査会に審査を申し立てる。
 検察審査会は、検察の不起訴処分の妥当性を市民が判断する制度で、選挙人名簿から無作為に選ばれた11人が審査員を務める。
 申し立てなどによると、元経営者は1994年から2007年にかけて、4人が食堂と寮から逃げられないよう監禁し、賃金計約350万円を支払わなかったほか、障害年金約1500万円を詐取した疑いがあると主張している。
 札幌地検は8月、被害者の当時の記憶が明確でなく被害の認識も不十分で、監禁容疑については「嫌疑なし」、詐欺容疑も「嫌疑不十分」とし、元経営者を不起訴とした。しかし、支援者側は、真実を聞き出すのに時間を要する知的障害者の特性に十分配慮した聴取が行われておらず、十分な捜査が尽くされたとはいえないとしている。
 「三丁目食堂」は07年10月に閉店したが、住み込みで働いていた知的障害者の男女4人が昨年2月、食堂の運営会社などに計約4500万円の損害賠償を求めて提訴し、過酷な労働実態や詐取疑惑が浮上。4人は1日12時間以上働き、休日は月に2日程度だったとされる。損害賠償請求訴訟は札幌地裁で係争中。

2009年1月14日 北海道新聞


これが起訴されないんですから世の中は広いてゆーか北海道でっかいど〜。地検によれば障害者がスーパーとか銭湯に外出していたこと、慰安旅行に行っていたことをもって監禁罪について嫌疑を否定しているわけですが、なんですかその「スーパーに外出」ってのは。普通スーパーには「買い物」に行くのであって、単に「スーパーに外出」しているのであればそれは「買い物」ではないのでしょう。なぜ「買い物」ではないのかというと、それはお金を持っていなかったのではないか。

まあ、多分買い物に行ったんでしょうけど、おそらく購入に必要なだけのお金を与えられていたんでしょう。余計なお金を持たせると逃げてしまう虞れがあります。こういうのは「自由な外出」ではなくて「お使い」です。確かに物理的に拘束されていませんから監禁罪での立憲は難しいかも知れませんが、長期にわたって自由を拘束されていた事例では、ちょっとした外出を許されても心理的な拘束によって逃亡が不可能であったものが存在します。ここで「犯罪」とそうでないものの分かれ目になるのは被害者と加害者の関係だけであるような気もします。つまりその関係が「雇用関係」や「家族関係」などである場合、相当程度の侵害が「犯罪」とみなされないようです。

詐欺罪については地検は経営者側の主張を全面的に受け入れることにしました。すなわち障害者年金および給与について、本人の「同意」「了解」に基づいて「管理」していたんだそうです。その使途については「生活費」であるとされているようですが、誰の「生活費」なのか分ったものではありません。少なくとも4人の障害者は毎日下着を替えて身ぎれいにし、ちゃんとした食事をとって歯もきちんと磨いて毎日入浴して清潔にしていたそうですから、ほとんど全てが経営者の「生活費」であったものと思われます。

労基法違反についてはどうなっているのでしょうか。報道によれば4人は給料を全く受け取っておらず、1989年からの20年間の未払い賃金は約6600万円に達するとされています。4人の勤続年数は13〜30年とされていますから、この20年間についてここで仮に2人を13年、2人を20年とすると、これは(20×2+13×2)×12=792カ月分の賃金ということになります。そこでこの4人の1カ月の平均賃金は約83,000円です。

この賃金で1日12時間以上働き、休みは月に2日だったというのですから、1カ月の稼動時間は最低でも336時間になります。これは法定労働時間のほぼ倍になりますから、その分割増を計算に入れると、1時間あたりの賃金は170円くらいです。北海道の最低賃金は現在678円ですが、昔は随分低かったようです。

てゆーか昔は、っても平成19年12月ですからつい一昨年までですが、最低賃金法には適用除外規定がありまして、障害者を雇用する場合は最低賃金法の適用を受けなかったので、もしかすると170円でも問題なかったのかも知れません。とんでもない話しのようですが、件の「三丁目食堂」が平成19年の11月に閉店したというのは直接にこの法改正の影響なのかも知れません。

もっとも現行の最低賃金法第7条では「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については「労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額」することが出来ることになっています。障害者は安くこき使って良い、という大変にありがたい法律があるのですから、たしかに障害者を雇用するのは経営者に取って有利な面があります。

ちなみにその「減額率」については、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については「同一又は類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、最低位の能力を有するもの」の「労働能率の程度に対する当該労働者の労働能率の程度の応じた率」ということになっていますが、食堂のようなサービス業において「労働能率」を計量化する方法はよく分かりません。

ちなみのちなみに同条第2号「試の使用期間中の者」は20%の減額が可能。

第3号「基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者」は所定労働時間のうち職業訓練の1日あたり平均時間数の割合だけ減額可能。すなわち訓練は無給ということです。

第4号「軽易な業務に従事する者」は、「異なる業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の額の賃金が支払われているもののうち、業務の負担の程度が最も軽易なもの」における「業務負担」の程度に対する「当該対象労働者の業務の負担の程度に応じた率」。「業務の負担」の計量化は不明。ついでに「軽易な業務」とは「業務の進行や能率においてほとんど規制を受けない物の片付け、清掃当の所属事業場本来の業務には属さず、当該事業場に同種の労働者がほとんどいない例外的なもの」であって、特に「楽な業務」のことではないので注意が必要です。ほとんどの場合においてこれはキツい肉体労働です。

第5号「断続的労働に従事する者」は「対象労働者の1日当たりの所定労働時間数から1日当たりの実作業時間数を控除して得た時間数に100分の40を乗じて得た時間数を当該所定労働時間で除して得た率」というのはつまり作業中断時間の割合の4割ということになります。

信じられないような長時間労働ですが、外食系なんかだとこれに近いような所はいくつもあるようです。いくら最賃適用除外でも170円はないんじゃないかと思いますが、相手が障害者だとそれもアリなんでしょうか。そして相手の障害に乗じて「同意を得た」と言い張って金を巻き上げる経営者も鬼畜のような人でなしですが、それで不起訴にしちゃう札幌地検は鬼の子分に当たるもんでしょう。

しかしこの件、実は結構有名なんですがね。最近でも、極めて卑近な所ですと例の「のりしお」事件のときに「ナックルズBOOKS」の『日本のタブー バカは知らない真相報道』という、コンビニで500円で売る本が結構一般書店でも山積みになっていたりしたことがありました。「芸能界麻薬常習者リスト」なんて記事がありまして、その中で「元アイドルの女優S・Y」のことが書いてあったせいですが、表紙も類書と比べてちょっと上品だ。がセンスがない。

これは『実話ナックルズ』などの記事をまとめたもののようですが、実はこの本の中で本田信一郎さんが「三丁目食堂事件」について書いているんで、読んだ人も多いのではないか。本田さんは「犯罪被害者」側で本を出していたりもするので、この件に関しても「被害者」側に立って頂けると思います。地検による不起訴決定の裏には、同種案件が多数存在することを伺わせるのであり、ことは一食堂に留まるものではないと思われますので、本を出すのもよいでしょう。まあミリオン出版からは出さないほうが良いとは思いますが。


posted by 珍風 at 11:25| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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