2009年11月16日

包丁一代

東京・足立の白血病長女殺害:治療に金かかる 将来悲観 母自身も乳がん手術の二重苦

 ◇特効薬グリベック、1錠3200円
 東京都足立区で先月、白血病の長女(当時53)を乳がんの母親(77)が殺害した事件で、長女は慢性骨髄性白血病(CML)にかかり、高額な特効薬「グリベック」を使っていたことが、警視庁竹の塚署への取材で分かった。グリベックの医療費を負担に感じる患者は7割に達することが最近の調査で判明、母親は「(自分も含め)治療に金がかかる」と将来を悲観する供述をしている。高額治療薬の負担の重さが事件の背景にあったようだ。【河内敏康】
 起訴状によると、母親は10月21日、自宅で長女の首をペティナイフで刺し失血死させたとしている。
 同署によると、長女は07年2月、めまいなどから都内の病院を受診、CMLと診断された。同10月に骨髄移植手術を受けたが、約1年後に再発。1錠約3200円のグリベックを1日1〜6錠、体調に合わせて服用するようになった。通院は月に1回、手術代を含め約200万円の医療費がかかっていた。病気のため勤めていたデパートを退職し、当時は無職だったという。
 母親も今年4月に乳がんを手術。その後は複数の抗がん剤を使っている。数千万円ほどの貯蓄があったというが、「治療費は2人で月に約25万円もかかった」などと供述しており、事件の背景に高額な治療費があるとみられるという。
 CML患者を対象とした東京大医科学研究所の研究チームの今年8月末までの調査では、景気の悪化に伴いグリベックの費用に負担を感じる患者が急増。内服の中断や、その経験のある患者も3%いた。
 同研究所の上昌広・特任准教授(医療ガバナンス)は「グリベックに加え、抗がん剤による治療費が重なり、医療費の負担や将来への不安は大きかったと推測される。国が高額長期疾病に指定すれば、医療費の自己負担は原則月1万円以内で済むが、指定疾患はわずか三つだけ。グリベック以外にも患者が高額治療費にあえぐ薬は少なくない。負担軽減のためにも、こうした薬に対する国の支援体制を早急に整備すべきだ」と話している。

 ■ことば
 ◇グリベック
 慢性骨髄性白血病(CML)などの治療薬。CML患者は国内で約8000人と推定され、グリベックを服用すると病気の進行が高い確率で抑えられる。日本では01年に承認された。通常1日4錠を基本的に服用し続ける。国の高額療養費制度を活用しても、70歳未満の一般所得者の場合、月1回の医師の処方で年間50万円程度かかる。一方、自己負担が月1万円以内で済む特定疾病(高額長期疾病)は、人工透析をしている慢性腎不全(患者約25万人)▽血友病(同約5000人)▽一部の後天性免疫不全症候群(同約100人)−−の三つしかなく、選ばれる線引きも不透明だ。

2009年11月16日 毎日jp


1錠3,200円を1日4錠とすると12,800円、これが毎日ですから月に39万円です。3割負担として約117,000円ということになりますが、高額療養費制度では自己負担限度額は(医療費総額−267,000)の1%+80,100円ですから、月に約81,000円の負担になるようです。ただしこれは最初の3カ月だけ。生涯に渡って服用を続けなければならないので多数該当になりますから、4回目以降の自己負担限度額は44,400円になります。そうすると年間の負担額は64万円くらいになるはずです。2年目からは532,800円です。

田中広美さんの場合だと2007年2月に診断、10月に手術、おそらく2008年の10月頃に再発してグリベックの服用を始めたと思われますので服用期間は丁度13年間。したがって薬代およそ850万円、手術代も含めると1,000万円を越えるでしょう。記事の「200万円」というのは、手術を行なった2007年のことだと思われますが、この年にはグリベックを処方していないはずです。

一方の美代子さんのほうはどのような薬を使っていたのか不明ですが「治療費は2人で月に約25万円もかかった」そうですから、おそらくこの世帯の収入、すなわち美代子さんの受け取る年金の金額を超えるでしょう。医療費だけで収入より多いのですから、貯金の取り崩しは医療費の超過分+生活費であり、これを約20万円程度と想定すると「数千万」の貯金は20年程度で底をつくはずです。その頃広美さんが生きていれば73歳であり、美代子さんの現在の年齢に及びませんが、その時点で先の見通しは全く立たないことになります。

日本の映画では登場人物がよく病死しているようですが、アメリカあたりの映画でも白血病は登場人物を殺すためによく使われるようです。しかし現実はそんなに甘っちょろいものではありません。患者は肉体的精神的社会的経済的に苦しみ抜いて身ぐるみ剥がされてから死ぬようになっております。映画で病人が直ぐに死んでしまうのは、残酷な描写に対する業界の自主規制のためだと思われます。

慢性骨髄性白血病は高額長期疾病に指定されていませんが、仮にグリベック服用者の自己負担を月に1万円にするためには年間の公費負担は38万×12カ月×8000人で365億円になります。ナカナカな金額です。

日本政府は治療にはあまりお金を使わないようです。予防に使ったほうが効率的なんだそうですが、予防の効果というものは実はよく分かりません。治療にかかったお金は検証可能ですが、予防にかけるお金は全く不透明にならざるを得ないのです。ちなみに現在進行中の事業仕分けでは面白い事例が次々に出て来ています。「自分の歯を80歳になっても20本以上保つことを目的とした運動」などというものを実はまだやっていて、来年度も4億円かかるんだとか、これは「見直し」。いらないと思うが。「女性特有の疾患の予防活動」にも4億円、こっちは「廃止」です。基準がよく分かりません。「食生活改善の啓発活動」1億8600万円も当然「廃止」。「レセプトオンライン導入のための機器整備等の補助」という、IT業界への補助金については厚生労働省は要求額215億円を151億円に減額してでも、どうしても通したかったようですが「見送り」です。ヒルズに空き部屋が増えそうですが、ヘンなことに使わないように。

医師不足対策573億円は半額に「削減」ということですが、医師になるための教育費がバカみたいにかかるのが問題ではないかとも思います。およそ教育費、医療費などを公費負担することによって増税も可能になるかも知れません。みたいなことを、唯一白血病に興味があるらしい毎日jpの片隅で勝間さんとかいう人が言いたいのか言いたくないのかよく分からないわけですが、

そして、私が問いかけたいのは、相対的貧困率を下げるために、私たちが増税まで負担する準備があるのかということです。あるいは、正規雇用の賃金を引き下げ、非正規の賃金を引き上げる準備があるのか、仕事を分け合うワークシェアリングの準備があるのかということです。(カツマ)


「私たち」ってのは勝間さんとかそういう人のことでしょう。富裕層が増税を負担してくれるんなら大歓迎ですよ。どうもそれはあまり言いたくないようなのですが。それとは別に中間層から貧困層への所得移転を考えているようですけど、それを可能にするのは医療費や教育費を幅広く公費負担化することだと考えられますから、余計に持ってる人からは余計に取るしかないですな。別にいいですけど。ペティナイフ1本で解決出来る問題ですから。包丁一本晒に巻いて世直し旅に出るのだ。物騒だな。


posted by 珍風 at 12:15| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。