2009年12月20日

プラズマは労働者の怨念で発光する

パナソニック系の「偽装請負」認定 最高裁、直接雇用義務は認めず

 パナソニックの子会社で働いていた元請負会社社員、吉岡力さん(35)が、同社に直接雇用の義務があることの確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は18日、同社の雇用義務を認めた二審・大阪高裁判決を破棄し、吉岡さんの請求を棄却した。二審が命じた慰謝料90万円の支払いは認めた。
 この子会社は「パナソニックプラズマディスプレイ(旧松下プラズマディスプレイ)」(大阪府茨木市)。
 同小法廷は判決理由で、吉岡さんが工場でプラズマ社の指揮命令下にあり、実態は請負ではなく派遣労働だったと判断。「プラズマ社が労働者派遣法の規定に違反していた」として、「偽装請負」と認定した。

2009年12月19日 日経


日本経済新聞によると最高裁による「偽装請負」の認定が先ず何よりも大事件だったようです。成る程それはそれで大変な事なんですが、世間ではパナソニックの子会社が偽装請負によって不当な利益を貪っていたなんて事は百も承知であって、興味は別のところにあったわけです。

大阪高裁判決では松下プラズマディスプレイ株式会社とパスコ株式会社との間で締結された業務委託契約を無効とし、故に松下プラズマディスプレイと吉岡力さんの間に存在した使用従属関係の根拠を「黙止の雇用契約」に求め、よって松下プラズマディスプレイにおいて雇用義務を有するものと認めたものでしたが、最高裁判決ではこれを覆しました。

労働者派遣法の趣旨及びその取締法規としての性質,さらには派遣労働者を保護する必要性等にかんがみれば,仮に労働者派遣法に違反する労働者派遣が行われた場合においても,特段の事情のない限り,そのことだけによっては派遣労働者と派遣元との間の雇用契約が無効になることはないと解すべきである。


したがって違法な労働者派遣が行なわれる場合、それは派遣先の利益となるから行なわれるわけですが、もしそれがバレても、派遣先企業には何ら不利益が生じないというわけです。もちろんこれは「労働者派遣法の趣旨」に対する深い理解に基づいた判決であると言えるでしょう。また、件の業務委託契約における業務委託料は、松下プラズマディスプレイにとっては直接雇用による人件費を下回ることを条件とし、そこからパスコの利益等を控除した額を基礎として吉岡さんに給与等として支払われる金額を決定するものであるから、結果として吉岡さんの給与等の金額は事実上間接的に松下プラズマディスプレイが決定していたことになるのですが、最高裁判決では

被上告人がCから支給を受けていた給与等の額を上告人が事実上決定していたといえるような事情もうかがわれず,…平成17年7月20日までの間に上告人と被上告人との間において雇用契約関係が黙示的に成立していたものと評価することはできない。


とされており、黙止の雇用契約関係の成立を否定しています。まあ、商品の購入者が製造者の従業員の給料を決めてるという意味に取られるとワケ分かんないですが、派遣の場合は派遣先企業との契約が締結されてから派遣元と労働者との間で雇用契約結ばれるのが一般的ですから、派遣に限ってこのギロンは有りかなとも思うんですが。そこで最高裁の判決によると

偽装請負は違法である。

でも助けてやんねえよ。

派遣先はヤリ得ですよ。

大企業と竹中平蔵万歳。

というわけで、ビンボー人は違法でも何でもどっかで働かせておけば良いじゃねえか汝臣民ヨイトマケみたいな話しになるのですが、もっとも法解釈としては最高裁判決の方が素直であるような感じもします。最高裁としては規制秩序の番人ですから仕方ありませんが、吉岡さんについては松下プラズマディスプレイ側からの不法行為を認定することが出来たということも、バランス感覚として作用したかも知れません。また、仮にここで派遣先の雇用者責任を認定する判決を出すと、同時に進行している立法過程を阻害する虞れがあったかも知れないことも考慮された可能性があります。

労働者派遣法:「登録型」原則禁止に 改正原案を提示−−労政審

 労働者派遣法の改正を検討している労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)は18日、仕事がある時だけ雇用する「登録型派遣」の原則禁止などを盛り込んだ改正案の原案を示した。禁止が検討されていた製造業派遣については、長期の雇用契約を結ぶ「常用型派遣」を容認するとしている。厚労省は審議会の結論を踏まえ、改正案を来年1月の通常国会に提出する方針。
 原案は大学教授ら公益委員の案として示された。労働者の生活が不安定になりやすい登録型派遣は、通訳やソフトウエア開発などの専門業務を除いて禁止する。「派遣切り」が社会問題化した製造業については、常用型派遣だけを認める。このほか、禁止業務への派遣や偽装請負などの違法行為があった場合、派遣先が直接雇用を申し込んでいたとみなす「直接みなし雇用制度」が盛り込まれた。
 審議会では、抜本的な法改正を求める労働側委員と、反対する経営側委員が鋭く対立。答申のとりまとめが難航する可能性もある。【東海林智】

2009年12月19日 毎日


いちいち裁判所に持ち込んでこられるよりも「みなし規定」を法律に明記した方が良いわけです。また、現在このような案が出されているということ自体、現行法では違法派遣について派遣先の雇用者責任を問うことを想定していないということでもあります。最高裁判決は司法による救済が不可能である事を示すことによって、立法による制度制定を促進する効果を持ちます。

したがって折角出た判決ですから、この判決に対しては飽くまでその非を鳴らし、おめえらそれでも人間か、なんてヒドい世の中なんだ、とぶっ叩き、返す刀の切っ先を更生労働省の喉元に突きつけるのが正しい対応です。中川さんもなんかいじめて欲しそうな顔してましたしね。


posted by 珍風 at 16:09| Comment(3) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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