2010年01月20日

どさくさ最高裁

白木勇最高裁判事が就任会見 裁判員「真価問われる」

 昨年12月17日に死去した最高裁判事涌井紀夫氏の後任として15日付で就任した前東京高裁長官の白木勇氏(64)が同日、最高裁で記者会見し「大変な激務だが、気力、体力を振り絞り、公平誠実を旨にやっていきたい」と抱負を語った。
 裁判員制度については「順調な船出だが、まだ事実関係に大きな争いのある事件はない。真価が問われるのはこれから」と言及。足利事件、布川事件と相次いだ再審開始確定には「(誤判防止には)先入観を持たず、虚心に事件に向き合うしかない」と述べた。
 白木氏は刑事裁判の経験が長く、2002〜06年には東京高裁裁判長としてKSD事件の村上正邦元労相や、元オウム真理教幹部土谷正実被告(45)=上告中=のほか、埼玉の愛犬家連続殺人の控訴審などを担当した。
 白木氏は東京大卒。70年判事補。最高裁刑事局長兼図書館長、水戸、東京各地裁所長、広島高裁長官などを経て、08年11月から東京高裁長官を務めた。愛知県出身。

2010年1月15日 共同


名探偵諸氏の御意見には反するかも知れませんが、「cui bono?」は刑事事件に適用するには適当ではありません。小説ならいいんですが。探偵小説って目次の前とかに登場人物の一覧が載っていますが、あのように最初からプレイヤーを限定して、その中でさあ犯人は誰でしょう?という分には別に構いません。それは「動機」を無闇に重視する立場なんですが、もちろん犯人の「動機」は文学としての探偵小説の重要な興味のひとつです。

ところが実際の刑事事件ではプレイヤーが限定されていませんから、被害者の死亡によって利益を得る人がいくらでもいることもあるでしょう。そんな人生はイヤですが、人間生きてると色んな関係を持って様々な人に迷惑をかけているわけですから、これはわりと普通のことです。全く殺されないのが不思議なくらいで。

そこである人に「動機」が存在することはその人が犯人であることの決め手にはならないのが実際のところであって、証拠に基づいてことの真偽を決することになります。この場合「cui bono?」は余計な先入観を与えるものとなるでしょう。白木さんは「先入観を持たず、虚心に事件に向き合う」と言っていますから、証拠を重視して、一件もっともらしく見える推定や動機に関する憶測などは排除するに違いありません。

藤沢放火殺人:2審は逆転有罪判決、民事を追認 東京高裁

 神奈川県藤沢市で93年に洋装店員、飯島美穂さん(当時25歳)の遺体が焼けた自宅アパートから見つかった事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた元会社員、佐々木慶被告(32)に対し、東京高裁は27日、1審・横浜地裁の無罪判決を破棄し、懲役15年(求刑・無期懲役)を言い渡した。白木勇裁判長は「被告側は自殺と主張するが、ありえない。被告はこれまでも飯島さんに危害を加え、現場にいた唯一の人物であり、犯行は認定できる」と指摘した。被告側は上告する。
 事件は93年12月に発生。飯島さんと当時同居していた交際相手の佐々木被告が「飯島さんが放火後に包丁で自分の首を刺し、心中を図った」と主張し、検察はいったん不起訴とした。しかし、遺族が被告に損害賠償を求めた民事裁判で00年に「殺人」と認定されたのを受け、再捜査、逮捕・起訴するという異例の経過をたどった。民事裁判では約9700万円の賠償を命じる判決が01年に確定し、刑事裁判の行方が注目されていた。
 事件当時、室内には飯島さんと佐々木被告しかおらず、(1)誰が首を刺し、放火したのか(2)被告に犯行の動機があったと推認できるか−−が争点だった。
 判決は、検察側が提出した死因などの鑑定結果を「信用できないというものではないが、その通りというまでの証明力があるとまではいえない」と一定の疑問を示しつつ、「(前日に別れ話がまとまったことを)喜んでいた飯島さんがその翌日、心中するとは考えがたい。被告が刺したことにより移動の自由を失った後、放火がなされたと合理的に推認できる」と検察側の主張を認めた。
 そのうえで「飯島さんが一大決心して別れることになって、放火して殺害したもので許しがたい犯行。だが、当時若くて未熟で無期懲役を選択するには躊躇(ちゅうちょ)がある」とした。【坂本高志】

2004年9月27日 毎日新聞


いや、佐々木さんは「怪しい」かも知れませんが、鑑定結果については「信用できないというものではないが、その通りというまでの証明力があるとまではいえない」としてその証拠価値を否定しているんですから、要するに証拠はないわけです。なるほど「喜んでいた飯島さんがその翌日、心中するとは考えがたい」かも知れませんが、あり得ない話しではありません。しかし白木さんはこのような推定のみに基づいて有罪判決を下し、よせばいいのに「許しがたい」なんて怒ってみせていますが、もちろん怒ったからといっていい加減な判決が補強されるわけではありません。

遠山の金さんみたいに「動かぬ証拠」を突きつけて「おうおうおう、黙って聞いてりゃ寝ぼけた事をぬかしやがって!」とか怒るんだったらカッコいいんですがね。証拠もないのに怒っちゃったんじゃどうしようもありません。何事もフィクションの通りにはいかないものです。ともあれ、佐々木さんが真犯人かどうかは分りませんが、白木さんが嘘つきであることは確かなようです。

仮に佐々木さんが真犯人だとすると相当に凶悪なわけですが、一方で白木さんは行きずりの強姦殺人者が殺害後にふと思いついて誘拐を装って身代金を略取し、その動機は縁もゆかりもない児童相談所の職員を脅迫するためであったというワケの分からないことを言う坂本正人さんには、一審の無期懲役を覆して死刑判決を出しています。もっともこれは坂本さんも「死刑じゃなかったんで、刑が軽すぎると思ったから」控訴したんだとか、またまたワケの分からないことを言っていたわけですが。

これと比較すると佐々木さんの量刑は被告人が「当時若くて未熟」だから、というよりは白木さんが「未熟」で、あまり判決に自信がなかったんじゃないかとも考えられます。自信がなくても15年は15年です。白木さんはあまりマトモな裁判官ではなかったようです。

そんな若くもないのに未だに未熟な白木さんに殺されたのは、この坂本さんの他にも栃木・妻と知人殺人事件の長勝久さん、春日部中国人夫婦殺害事件の薛松さんがいますが、1人殺害で死刑の坂本さんの例を除くと、別段特殊なものはないようです。

そんな白木さんが今回晴れて最高裁判所判事となられたのは、白木さんが現長官の竹崎博允さん、さだまさしファンの山室惠さんに次いで陪審制の研修のためにイギリスに派遣されたからに他なりません。民主党では、特に小沢さんが裁判員制度の「見直し」を言っているわけですが、司法では勝手にやっているようです。というのも内閣は他のことで忙しかったので。裁判員制度に関しては、まずは検察側の一勝というところでしょうが、「真価が問われるのはこれから」だぜ。


posted by 珍風 at 11:40| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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