2010年03月16日

強姦神降臨

「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感


都の青少年育成条例改正案に反対するちばてつやさんや永井豪さん、里中満智子さんらは「改正案が通れば文化の根を断つことになる」と強い危機感を表明。

 「改正案が通れば、文化の根を断つことになる」――アニメ・漫画に登場する18歳未満のキャラクターは「非実在青少年」だとして、性的描写などの内容によっては不健全図書に指定して青少年への販売を禁じる「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(青少年育成条例)改正案に反対する漫画家などが3月15日、都議会民主党総務部会を訪ねて意見を伝え、都庁で会見を開いた(漫画・アニメの「非実在青少年」も対象に 東京都の青少年育成条例改正案)。
 会見には、漫画家の里中満智子さんや永井豪さん、ちばてつやさん、竹宮惠子さんなどが参加。里中さんは「青少年を健全に育てたいという温かい気持ちから出た規制だろうが、表現規制は慎重に考えないと恐ろしい世の中になる」、ちばさんは「文化が興るときにはいろんな種類の花が咲き、地の底で根としてつながっている。根を絶つと文化が滅びる」などと強い懸念を示した。
 4人に加え、この問題についてmixi日記で指摘し、周知の火付け役となった漫画評論家の藤本由香里さん、日本漫画学会長で評論家の呉智英さん、社会学者の宮台真司さん、明治大学准教授の森川嘉一郎さん、「松文館事件」で被告側弁護人を務めた弁護士の山口貴士さん、日本書籍出版協会の矢部敬一さんも会見に出席し、意見を述べた。
 改正案に反対する漫画家として、あだち充さんや藤子不二雄Aさん、高橋留美子さん、萩尾望都さん、安彦良和さんなど約60人のリストも配られたほか、講談社や集英社、小学館などコミック発行10社も反対を表明している。

「ハレンチ学園」「風と樹の詩」も対象に?

 改正案の問題点として、(1)あいまいな規定でいくらでも恣意的に解釈でき、幅広い作品が対象になり得ること、(2)漫画などの表現に対する萎縮効果が高く、日本のコンテンツ産業に大きなマイナス影響を与える可能性があること、(3)審議期間が極端に短く、拙速に成立に向かっていること――などが指摘された。
 藤本さんは「都は、過激な性表現のある作品のみが対象と言っているようだが、条文を照らすとそれは事実ではない」と指摘。現行条例でも不健全図書の規定がある中、改正案では「非実在青少年」に関する規定を新設しており、青少年の性を肯定的に描いたさまざまな作品が対象となり得ると懸念する。
 永井豪さんは、40年前の「ハレンチ学園」発表当時、「めちゃくちゃに叩かれた」と振り返る。「当時も、青少年は異性への関心を持つのが健全な精神の育成だと思って描いていると説明した。異性に関心を持つことが罪悪と思って育つと、大人になった時の衝撃が強すぎる。成長段階に応じて少量ずつ与えていくことが重要」(永井さん)
 「わたしの作品『風と木の詩(うた)』は対象になるだろう。都は『対象ではない』と言うかもしれないが、自分自身は対象だと感じてしまった」――竹宮さんは漫画表現への萎縮効果を懸念する。「新しい性に関する知識を少年少女に与えなくては危ないと感じて描いた。純粋培養では少年少女は“健全”にならない。漫画はエネルギーを逃がす弁として存在するはず。ある程度強い刺激でないと、弁を開けない人もいる」(竹宮さん)
 里中さんは「表現がエロと感じるかそうでないかは見る人次第で、人はそれぞれ別個の感性を持っているのに、それを全体の意思のようにして網をかけるのはナンセンス」という。
 「文化や芸術はその時代の倫理や教育とかい離がある場合があるが、それを描くことも役割だ」――呉さんは文化論を展開。「例えば井原西鶴の『好色一代男』は、6歳の少年時代からの性の遍歴を描いている。1つの人間の姿を描いているのだから、単純に倫理の問題として裁断し、政治が介入するのは危険」(呉さん)

「善意の規制」が闇を大きくする

 改正案が「子どもを健全に育てたい」という善意の発想から成り立っていることへの危険性の指摘もあった。「規制側は、目の前の正義感や倫理観で話すのだろうが、表面的な正義が見えないところで闇を大きくする。キャラクターまで対象にするのは、子どもの環境をあまりに狭く考えすぎている」と里中さんは懸念する。
 宮台さんは、「青少年の性行為を描いたコンテンツが青少年に悪影響を与えるという素朴な悪影響論は学問的には否定されている」とした上で、「誰と見るかなど、コンテンツの受容文脈をコントロールすることが最善」と指摘。「最善の策を取らずにいきなり次善の表現規制に飛び込むのは怠慢」と批判した。
 条例では18歳未満を青少年と規定しているが、日本では女性は16歳で結婚でき、「高校3年生の半分近くが性体験をしている」(宮台さん)という状況で、高校生の性行為を肯定的に描写した作品が対象になれば表現への萎縮効果は高い。「普通のことをしている人に対して、『お前達は悪いことをやっている』というメッセージを出すことになり、副作用は大きい」(宮台さん)
 山口弁護士は、「青少年性的視覚描写物」のまん延の防止を都の責務と規定した条文に絡み、「何を見て何を見てはいけないかについて、都が口を挟むのは非常に危険」と警鐘を鳴らした。

日本のコンテンツ産業発展を阻害する

 「文化が興るときにはいろんな種類の花が咲き、地の底で根としてつながっている。根を絶つと文化が滅ぶ」(ちばさん)――関係者には、漫画やアニメなど日本の文化やコンテンツ産業の発展を阻害するという危機感も強い。
 「ハレンチ学園がなければ、その後の『マジンガーZ』もなく、各国に呼ばれて漫画やアニメについて講演することもなかった」と話す永井さんは、「自由な漫画の発想があったからこそ日本の漫画やアニメは発展し、世界に注目されてきた。表現規制を行った韓国は、漫画の発展が遅れた」という見方を示す。
 「規制側には、良い漫画と悪い漫画を区別できるという暗黙の前提があるようだが……」――森川さんはその考え方自体が間違っていると指摘。青少年の性行為を描いた漫画や同人誌を描いた漫画家が、「文化庁メディア芸術祭」で受賞するケースも多いなど、多様な表現を許容する環境が漫画家のすそ野を広げていると紹介し、「改正案が通った場合の副作用がほとんど検討されていない」と危惧した。
 「この条例を、『東京国際アニメフェア』を主催している都がやっているという意味は大きい」と藤本さんは指摘。会見やその後の集会では、享楽的な若者を描いた都知事の小説「太陽の季節」を皮肉る発言も複数の参加者からあった。

異常なスピード

 改正案は2月24日に提出され、3月19日の都議会総務委で採決、3月末にも本会議で採決というスケジュールにも批判があった。「異常とも言えるほど短く、このような決め方は民主主義の原則に照らして大いに問題がある」(藤本さん)

集会は約300人が詰めかけ立ち見も

 都議会会議室で開かれた集会には、会見の出席者に加え、漫画家のさそうあきらさんや齋藤なずなさん、都議の吉田康一郎(民主党)さんや福士敬子さん(無所属)、前衆院議員の保坂展人さん(社民党)など政治家も参加。用意された100席に、メディア関係者や出版関係者、一般市民など約300人が詰めかけ、立ち見の参加者で会場が埋まった。集会の様子はUstreamやニコニコ放送でもライブ配信され、注目を集めた。
 改正案のベースとなった答申が出た段階から問題を感じていたという吉田都議は「児童の性的搾取を止めるためという手段の正当性の前に、方法論が議論されず、問題がなし崩しになっている。状況はまだ厳しいが、当たり前の妥当な結論が出よう頑張りたい」など話していた。
[岡田有花,ITmedia]

2010年3月15日 ITmedia News



「第三十号議案 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」てのはこれですが
http://www1.odn.ne.jp/himagine_no9/20100224.pdf

特に問題になっているのはこの条例の第2条において「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の第7条の「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺もしくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」という文言を「次の各号のいずれかに該当する」にあらため、各号を追加することについて、その各号のうちの第2号において

2 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの


において「非実在青少年」という言葉が登場し、いわゆる「二次元規制」に途を開くものであるという点でしょう。

しかしながら「非実在青少年」というのはおかしな言葉であるといえましょう。それは「実在」はしないかも知れませんが存在しています。在広東少年は広東にいるようですが、「非実在青少年」は作家の思想の中に存在しているものと思われます。てゆーか、それは思想がキャラクター化したもの、いわゆるひとつのincarnateしたものです。これはキ印教の方では「托身」とかいうもので、キリストを否む者が神を否定する者であり、キリストを投獄する者が神に歯向かう者であるのと同じように、キャラクターを規制することは思想信条の規制に他なりません。

「性的対象として肯定的に描写する」というところが興味深いんですが、一体何を「描写する」のが問題になっているかというと、いわゆる「非実在青少年」を「相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態」を「肯定的に描写」すると、良くない、というわけです。したがって、そのようなものは「性的対象として否定的に」描写されなければなりません。

まあ世の中には色んな趣味の人がいますから、どういう風にすれば「性的対象として否定的に」描けるのか、という点は議論にならざるを得ません。単にブスに描くとかそういうことではないでしょう。どこぞの一捕手みたいに、相当なブスを「性的対象として肯定的に」取り扱っている人は、意外と多いものです。何を隠そう僕も、などと言い出すとエラいことになりますが。

このように大いに問題があるわけですが、一般的には、そのようなものを醜悪、かつ野村沙知代、じゃなかった嫌悪を催させるように描写しなければなりません。で、サッチーのような登場人物を出したくない多くの作家は、具体的にはどうしたら良いか。そのヒントもこの「改正案」の中にはちゃんと用意されているのです。

条例の第8条について、その第1項の第2号以下を繰り下げて、第2号として以下の号を追加します。

2 販売され、もしくは頒布され、又は閲覧もしくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第7条第2号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める規準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの


第7条は自主規制をしろ、しないと「図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場を経営する者」を絞め上げるぞ、ということなんですが、第8条は知事による「不健全な図書類等」の「指定」にかかわります。知事は特定の図書類等を指定することによって、その健全な販売を阻害し、業者を日干しにすることが出来るんですが、例えば、といって特に挙げられているのが「強姦」です。特にそんな耳障りの悪い言葉をわざわざ条文に加えているのには意味があります。

この「強姦」を「肯定的に描写」すれば第8条ですが、「否定的に描写」すれば良いのです。そして第7条関係についても、「非実在青少年」「を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態」を、嫌悪を催させるような「強姦」という行為として醜悪に描くことによって、「性的対象として肯定的に描写すること」が回避されるでしょう。

「改正案」は、「非実在青少年」のセックスは「強姦」として描写されることを推奨します。そんなことをすると可哀想な東京都の青少年は、セックスてぇのは「強姦」のことだ、と思ってしまうかも知れませんが、それで良いのです。「青少年の性に関する健全な判断能力」とは、女は黙ってやらせるもんだ、ということを男女が了解することなのです。なかなかどうも、「善意」にあふれております。

これは都知事が常日頃から考えており、小説にもしょっちゅう書き表されているところの「思想」そのものであるといえるでしょう。「改正案」は彼の「思想」のincarnationなので、その小説を「皮肉る」どころの場合ではありません。それは正に「強姦の化身」である石原さんの血と肉を記念するパンであり、葡萄酒なのです。


posted by 珍風 at 11:41| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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