2010年04月03日

あんたの治世は知性がないぜ

 他の人と比べて,「国を愛する」という気持ちは強い方だと思うか,それとも弱い方だと思うか聞いたところ,「強い」とする者の割合が54.6%(「非常に強い」17.7%+「どちらかといえば強い」36.9%),「弱い」とする者の割合が6.8%(「どちらかといえば弱い」5.9%+「非常に弱い(全くない)」0.9%),「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合が38.6%となっている。
 前回の調査結果と比較してみると,「どちらともいえない(わからない)」(36.4%→38.6%)と答えた者の割合が上昇している。
 都市規模別に見ると,「強い」とする者の割合は中都市で,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は小都市,町村で,それぞれ高くなっている。
 性別に見ると,「強い」とする者の割合は男性で,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると,「強い」とする者の割合は60歳代,70歳以上で,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は20歳代から50歳代で,それぞれ高くなっている。
 性・年齢別に見ると,「強い」とする者の割合は男性の60歳代,70歳以上,女性の60歳代,70歳以上で,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は男性の30歳代,40歳代,女性の20歳代から50歳代で,それぞれ高くなっている。
 従業上の地位別に見ると,「強い」とする者の割合は自営業主,その他の無職で,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は雇用者で,それぞれ高くなっている。
 職業別に見ると,「どちらともいえない(わからない)」と答えた者の割合は管理・専門技術・事務職,販売・サービス・保安職,生産・輸送・建設・労務職で,それぞれ高くなっている。


いきなり何事かというとこれは先月発表された「社会意識に関する世論調査」の、「調査結果の概要1.国や社会との関わりについて(1)国を愛する気持ちの程度」の箇所です。このような質問が最初に来るのであって、つまり国は先ず最初に相手が自分のことを好きかどうか確かめようとするんですが、別にこれからオマンコなどをしようとかそういうわけではありません。

Q1〔回答票1〕 「国を愛する」という気持ちについて伺います。あなたは,他の人と比べて,「国を愛する」という気持ちは強い方だと思いますか。それとも,弱い方だと思いますか。この中から1つだけお答えください。
(ア)非常に強い
 (17.7)昨年(18.2)
(イ)どちらかといえば強い
 (36.9)昨年(37.8)
(ウ)どちらともいえない(わからない)
 (38.6)昨年(36.4)
(エ)どちらかといえば弱い
 (5.9)昨年(6.6)
(オ)非常に弱い(全くない)
 (0.9)昨年(1.0)


要するに昨年とあまり変わりません。国の調査ですし、これは面接調査ですから、相手に向かって正面切って「愛する気持ちがない」とか言うのは気が引けます。アンケートはまだ始まったばかりなのであり、相手の機嫌を損なうとこの先どんな意地悪をされるかわかったものではないのです。

それに、多くの人は自分が「国を愛する気持ち」が「強い」とか「弱い」とか普段からあまり考えていないものです。他人のことはなんだかんだ言うようですが。しかしアンケートの過程で、様々な質問を通じて色々と不満があるとか、悪い所があるとか考えるようになると、「気持ち」の方も定まって来るのではないでしょうか。だからこの質問は最後にするのが望ましいんでしょう。

逆に言えばこれを最初に持って来ることによって「国を愛する気持ちが強い」人が多目に出るようになっているのですが、国のやることですから大目に見てやることが大切で、マスゴミなどはこのような質問についてはキレイさっぱり無視しているわけです。

しかしながら事はそう単純ではありません。実際には被質問者が何を答えて良いのかよく分からないこの質問は、実は中間的な性格を持っています。これは特定事項に対する意見などを問う質問ではなく、基本的な態度を明らかにしようとするものである点で、意向の質問項目とは異なる性格を持っているようです。

内閣府ではアンケートの結果について被質問者の属性によって分析をしているようですが、ここでは居住する都市規模、性、年齢、従業状の地位、職業を用いています。このような属性についてはフェイスシートにおいてアンケートとは別に回答を求めているのであって、それは


年齢(5年刻み)
従業上の地位
 (雇用者、自営業者、家族従業者、無職(主婦、その他))
職業
 (管理職、専門・技術職、事務職、販売・サービス・保安職、農林漁業職、生産・輸送・建設・労務職)
家族人数
被質問者は世帯主か
 (そうでない場合世帯主の従業上の地位及び職業)
現在居住地の居住年数
生活に対する満足度
日常生活での悩みや不安の有無
生活の程度
 (上、中の上、中の中、中の下、下)
インターネットの利用状況
インターネットを利用した情報発信


などというものです。これによって例えば「中都市に20年以上住んで自営業を営んでいる爺さん」は「国を愛する気持ちが強い」ということが分るようになっているそうです。これらの属性を組み合わせることもやっていて、例えば「国を愛する気持ち」が「非常に強い」と「どちらかといえば強い」人の合計では「70歳以上」で「生活の程度・上」が92.2%という高率になっています。逆に「どちらかといえば弱い」と「非常に弱い(全くない)」の合計が一番多くなっているのは「20〜29歳」の「男性」で「日常生活の悩みや不安」を「感じていない」人の42.1%です。

実はここら辺になると該当者数が少ないもんですから変な数字が出て来るようになります。「60歳〜69歳」の「男性」で「日常生活の悩みや不安」があるのかないのか「わからない」人などは全員「国を愛する気持ちが非常に強い」そうですが、1人しかいません。属性を組み合わせた場合は注意が必要です。

もっとも、属性をひとつに搾ればそれほどヘンなことにもなりません。被質問者の主観的な生活状況に関わる三つの属性について、この質問に対する回答について、(ア)と(イ)を合計した「強い」と(ウ)である「どちらともいえない」、そして(エ)と(オ)を合計した「弱い」を比較すると数字は綺麗に並ぶようになります。


           (強い)  (ウ)   (弱い)
「生活に対する満足度」
満足している     64.9  30.4   4.6
まあ満足している   57.6  36.7   5.7
やや不満だ      45.5  45.9   8.6
不満だ        43.5  45.3  13.0

「日常生活での悩みや不安」
感じていない     65.1  26.2   8.7
あまり感じていない  54.9  38.3   6.8
ある程度感じている  54.6  39.9   5.5
感じている      50.5  40.7   8.8

「生活の程度」
上          73.3  20.0   6.7
中の上        66.5  28.8   4.8
中の中        55.2  39.2   5.6
中の下        50.2  40.9   8.9
下          46.3  42.0  11.6


これらの属性はそれら自体が相関するでしょうから、同様の傾向が見られます。すなわち「満足度」が高く「不安」を感じることがなく「生活の程度」が高くなるに従って「国を愛する気持ちが強い」ようになりますし、逆に「満足度」が低く、生活が「不安」で「生活程度」が低くなると「国を愛する気持ちが弱い」ようです。

もっとも、必ずしもそうではなく、「日常生活での悩みや不安」を「感じていない」人や「生活の程度」が「上」の人において「国を愛する気持ちが弱い」人の割合も比較的高くなっています。実はこれらの主観的生活属性と相関しているのは(ウ)なのです。ハイ・ライフ組ほど「どちらともいえない(わからない)」が少なく、生活が悪化するに従ってこれが増えていきます。内閣府では「前回の調査結果と比較してみると,「どちらともいえない(わからない)」(36.4%→38.6%)と答えた者の割合が上昇している」としていますが、これは主観的生活属性の前回との比較によって明らかになるかも知れません。


           (今回)  (前回)  (増減)
「生活に対する満足度」
満足していえる    13.2  15.6  ー2.4
まあ満足している   56.6  57.7  ー1.1
どちらともいえない   2.1   1.4  +0.7  
やや不満だ      19.3  18.5  +0.8
不満だ         8.8   6.7  +2.1

「日常生活での悩みや不安」
感じている      22.1  21.2  +0.9
ある程度感じている  48.9  50.7  ー1.8
わからない       0.3   0.3   0 
あまり感じていない  20.3  20.1  +0.2
感じていない      8.5   7.8  +0.7

「生活の程度」
上           0.7   1.1  ー0.4
中の上        10.8  11.3  ー0.5
中の中        54.3  55.0  ー0.7
中の下        25.5  25.3  +0.2
下           6.4   5.7  +0.7
わからない       2.4   1.6  +0.8


「満足度」の低い人が増え、「生活の程度」が低い人が増えたので「「どちらともいえない(わからない)」(36.4%→38.6%)と答えた者の割合が上昇」した、といって良さそうです。「不安」については、「感じている」人も「感じていない」人と同じように増えています。これは将来に向かう社会の動向に関する判断を含みますから、他の「生活感情」とは若干異なるようです。政権交代によって少しは希望が持てるようになったとか、そういうことが関係してきます。

このアンケートが質問しているところの「「国を愛する」という気持ち」がどんなつもりのものであるかは知りませんが、回答されている「「国を愛する」という気持ち」は、各人が現実に生きる生活状況において存在する、その条件の総体についての評価であるようです。「国」は「社会」のあり方と「国家」の制度を含む総合的な環境として捉えられ、生活のあれこれがそのおかげであったり、そのせいであったりするのです。それが「国」というものの意識のされ方なのです。

これは生活状況に相関しますから、次の質問で「あなたは,今後,国民の間に「国を愛する」という気持ちをもっと育てる必要があると思いますか。それとも,そうは思いませんか」などという間の抜けた質問をして「「そう思う」(81.4%→78.5%)と答えた者の割合が低下し,「そうは思わない」(8.7%→10.4%)と答えた者の割合が上昇している」なんていう結果を貰って来るよりもやるべきことは他にあるようです。まあ育てようとする場合は水やら肥料やらをやったりするもんでしょうが、どういうわけか「育て」たがる人に限ってそういう配慮が欠けていて、逆にムリヤリ歌を歌わせたりするもんです。そうやって育ち過ぎを防ぐことは良いことだよな。


posted by 珍風 at 09:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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