2010年04月06日

狂うジャパン

アニメ、ゲーム…「日本」を売り込め=輸出後押しへ、文化産業戦略−経産省


 経済産業省は5日、産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業競争力部会に、日本文化を海外に売り込んで経済の底上げを図る「文化産業戦略」案を提示した。アジアや欧米でも評価が高い日本のアニメやゲーム、音楽、ファッションなどの輸出を後押しする仕組みを、官民合同で整えるのが柱。6月に政府がまとめる新成長戦略に盛り込む。

 戦略案は「文化産業の輸出比率が低く、海外で稼げていない」と指摘。その上で、映画などのコンテンツを海外で販売するのに欠かせない資金を供給する「コンテンツ海外展開ファンド」の創設を打ち出した。ファンドでは、文化の輸出に関する知識やノウハウを持った人材も集め、プロジェクトの内容に応じて派遣する。

 また、海外市場の情報に乏しい中小企業向けに、現地パートナー企業の紹介などを行う情報拠点の設置を盛り込んだ。進出先のニーズに合わせた商品開発支援や、契約など法律面でのサポートも行う。

2010年4月5日 時事


「アニメやゲーム、音楽、ファッション」といった「文化産業」の規模は2004年では売上高が約45兆円、従業員数は約215万人に達するそうですが、輸出比率は1.9%であり、これがアメリカの17.8%に比べると低いというわけですが。日本の映画やなんかがアメリカのそれと同じように売れるもんなんでしょうか。

http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100405a04j.pdf

日本の「文化産業」は欧米や、わけてもアジアの中間層に好評を持って受容されている、というのが、この「自国文化」に対する根拠のない自信のよりどころのようです。「アジアの中間層」というのは、通商白書によると世帯可処分所得が5,001ドル〜35,000ドルの人々で、2008年にはそういう人が8億8000万人存在するとされています。

まあ要するに17.8%のアメリカに比べると、拡大しつつあるとはいえかなりマーケットが限定されているわけです。アメリカの文化産業はより広範な人口を擁する層を主要なターゲットにしているようですが、「日本文化」は中間層のスノッブなアイテムでしかありません。

産業構造審議会は、この、既に「日本文化」の消費者である階層をターゲットにしているようです。すなわち、もうちょっと工夫すればこの連中にもっと買わせることが出来るのではないか、という程度の話です。ですから問題は「売り方」だけなのであり、「文化の輸出に関する知識やノウハウ」を上手くアレンジするということになるでしょう。

というのも、既に多くのコンテンツが製作されており、しかも映画などでは顕著ですが、国内で消費しきれていません。驚く程の数のつまらなそうな映画が、あなたのPCのディスプレーを含むありとあらゆるスクリーンにちょっとでも映ろうとしてひしめき合っており、落ちこぼれているのです。

したがって審議会では文化商品の生産については極めて冷淡なようで、制作の支援などはまるで考えていないようです。「クリエイション人材の創造性の発揮」というのは何かと思ったら

世界のクリエイターに活動の場を提供(グローバル・クリエイターズ・フォーラム)
プロデューサー・デザイナー人材の留学支援
クリエイティブ人材の受け入れ環境整備(ビザの規制緩和の検討)

どういうわけか、日本の文化産業を売らなければならないのに「世界の」クリエーターに活動の場を提供するんだそうです。「世界」の人が作っても日本で作ればメイド・イン・ジャパンだぜ、というつもりでしょうか。「ビザの規制緩和」までやって外国人を呼んで来るのが「クリエイション人材の創造性の発揮」です。

一方で「はじめからグローバル展開を目指したコンテンツづくりを行うには、大規模な資本力が必要だが、日本のクリエイティブ系企業の規模・収益力は、欧米系に比して圧倒的な劣勢」であるとの認識を示しつつ、やるのは「官民に眠る人材・資金を結集し、「コンテンツ海外展開ファンド」の創設」であって、それによって「市場化されていない知的財産権や、各社が有するノウハウ・人材などを結集し、グローバル市場における新たな事業の開拓を行う革新的なビジネスモデルを支援」する。つまり販売努力です。

しかし肝心の「コンテンツづくり」はどうなるのか。そして日本人の「クリエイション人材」は永遠のレクリエイションを命じられるのでしょうか。審議会は『The Ring』が316億円を稼いだのにリメイク権料が1億円だったことを悔しがっているようですが、『リング』がなければその1億円もなかったのです。そして得体の知れない東洋のホラー映画にいきなりいくら出せというのか。しかしアメリカの投資対象は中田秀夫さんなのです。

おそらく、審議会は日本の文化産業の自律的な発展を望んでいません。彼等の興味は「クールなジャパン」という商品を売ることであって、別に邪蛮をクールにすることではないのです。土着の黄色いジャップは引き続きクールでない環境で育つので使い物になりません。外国向けの「クールな日本文化」を製作するクールな外国人制作者がクールでない日本にやって来ることを望んでいます。

これは表現規制を見込んだビジネスモデルです。魅力的な文化商品は活発な「下位の」文化産業を基盤として生まれて来ますが、文化産業全体が表現規制によって地盤沈下をきたすことが予定されています。そこで日本の文化産業とは隔離された環境で外国向けに調整された文化商品を「クリエイト」する輸出文化産業の確立が必要とされています。とってもクールな無菌工場のような環境でパッケージされて偉人さんに連れられて売られてゆくクールフジヤマロボゲイシャ。


posted by 珍風 at 05:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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