2010年04月20日

健康診断での惨事

バリウムが不味いとかそういう。

うつ病チェック、健診で…来年度から実施へ


 政府は職場でのストレスなどを原因としたうつ病など精神疾患の広がりに対処するため、企業や事業所が実施する健康診断に精神疾患を早期に発見するための項目を盛り込む方針を固めた。

 また、企業などのメンタルヘルス(精神衛生)対策を指導する国の専門職員の研修時間を2倍以上に増やすなど、精神疾患対策に本格的に取り組む。

 対策は、厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今月中にもまとめる提言に盛り込まれる予定で、政府は総合的な自殺防止対策の一環として2011年度からの実施を目指す。

 企業の健康診断は、労働安全衛生法で実施が義務付けられており、身長や体重の測定、血糖検査、尿検査など実施すべき項目を労働安全衛生規則で定めている。政府は同規則などを改正して、精神疾患のチェックを項目として盛り込む考えだ。長妻厚生労働相は19日、都内の労働基準監督署などを視察後、「何週間も何日も眠れないなど、そういった項目を医師が聞いて、うつ病をチェックできないか検討したい」と述べた。

 また、企業などの精神衛生対策を指導するため、都道府県労働局や労基署に配置されている、国の専門職員「労働衛生専門官」の研修プログラムの改定は今年6月から実施する。これまで年1回4時間半だった精神衛生関係の講義を10時間半に増やす。

 厚労省によると、仕事のストレスが原因でうつ病などになったとして労災認定を受けた人は、2008年度に過去最多の269人を記録、5年前の108人に比べて約2・5倍となった。

2010年4月20日 讀賣新聞


労災対策は企業にとって大きな関心事のひとつですね。労災が出ると保険料が上がるんですよ。コスト的な負荷をかけることによって事業者が自ら労災防止に取り組むようにという趣旨ですが、思うに商人はもっと利口ですね。なるほど公務員が悪口を言われるわけです。大概労災は隠されているのが現状です。

いきなり従業員が自殺なんかして、会社のせいだとか言われるのも困ります。こんなことなら早いとここっちから殺しておけばよかった、と思う人もいるでしょう。要らない従業員をけしかけて邪魔な従業員を殺させればリストラにもなります。正に一石二鳥というものです。

もっとも世の中は進歩しているので、そんな荒っぽいやり方を好まない人の方が多いものです。出来たらうつ病の人、てゆーか「労災になりそうな人」を見つけて早いとこ手を打ちたい。でも、会社がいきなりそんな事を始めたら問題になるんじゃないか。微妙にプライベートな問題ですからね。

そこで国に義務づけてもらうと助かります。義務だろうとなんだろうと診断結果は会社も受け取りますから大丈夫です。健康診断を請け負った病院では健康診断の結果が思わしくない人をピックアップして別表にしてくれたりしますから、うつ病に関しても労災リスクの高い準に並べ替えてくれたりするでしょう。

あとはその連中を辞めさせるようにすれば労災対策は万全です。いきなりクビを切るような荒技はお奨めできませんが、閑職に追いやって給料を大幅に下げるなどのメンタルヘルス対策が有効です。まあその辺は担当者各人の腕の見せ所でしょう。やり方によっては目的と真逆の結果を得る事にもなりかねませんので十分な注意が必要です。

うつ病の診断については海馬領域での神経損傷仮説に基づくMRIによる診断が可能になりつつあるようですが、企業の健康診断で一人ひとりMRIにぶち込むのも大変です。時間もかかりますし、どうしたって1人につき10,000円くらいのコストを食います。長妻さんは問診のような事を想定しているようです。

これはおそらく一般に良く見かける「うつ病診断リスト」みたいなものになると思われますが、ああいいうのは概ね米国精神医学会のDSM-IVに基づいています。したがって健康診断における問診もこれに準じると思われます。

大うつ病エピソード(Major Depressive Episode)

以下の症状のうち5つ (またはそれ以上) が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味または喜びの喪失である。
注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。

1.その人自身の言明 (例:悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例:涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。

2.ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または他者の観察によって示される)。

3.食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1カ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。

4.ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

5.ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。

6.ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

7.ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感 (妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。

8.思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる (その人自信の言明による、または、他者によって観察される)。

9.死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。


以上のような事を言葉を換えて聞いて来ますので、「はい」と答えるのは4つまでにしておくのが無難です。「予備軍」とみなされる可能性を考えると、4つでも多いかもしれません。

WHOのICDー10の「F32 うつ病エピソード(Depressive Episode)」も似たようなもんですが

A 全般規準

 G1. うつ病エピソードは、少なくとも2週間続くこと。
 G2. 対象者の人生のいかなる時点においても、軽躁病や躁病エピソードの診断基準を満たすほどに十分な躁病性症状がないこと。
 G3. 主要な除外基準:このエピソードは、精神作用物質の使用、あるいは器質性精神障害によるものでないこと。

B 主要な症状
  1.対象者にとって明らかに異常で、著明な抑うつ気分が、周囲の状況にほとんど影響されることなく、少なくとも2週間のほとんど毎日かつ1日の大部分続く
  2.通常なら楽しいはずの活動における興味や喜びの喪失
  3.活力の減退または疲労感の増加

C 付加的な症状
  1.自信喪失、自尊心の喪失
  2.自責感や、過信で不適切な罪悪感といった不合理な感情
  3.死や自殺についての繰り返し起こる考え、あるいは他の自殺的な行為
  4.思考力や集中力の低下の訴え、あるいはその証拠。例;優柔不断や動揺性の思考
  5.焦燥あるいは遅滞をともなう精神運動性の変化(主観的なものであれ客観的なものであれ、いずれでもよい)
  6.いろいろなタイプの睡眠障害
  7.相応の体重変化をともなう食欲の変化(減退または増進)


ここで「A」を満たし、「B」の2項目が当てはまり、かつ「C」との合計が4項で「軽症(Mild)」、
「A」を満たし、「B」の2項目が当てはまり、かつ「C」との合計が6項で「中等症(Moderate)」、
「A」を満たし、「B」の2項目が当てはまり、かつ「C」との合計が8項で「重症(Severe)」ということになります。

「重症」に関しては「焦燥あるいは遅滞などといった重要な症状が著しいために、多彩な症状を詳しく説明したがらなかったり、あるいは説明できないことがある。重症エピソードの全般的な評価を行う場合、そうした状況でなされるということを知っておくべきである」という注意書きがついていますが、別に重症でなくてもたまたまその時に3日貫徹明けで疲れていたりすると「多彩な症状」を「詳しく説明」するのが面倒で、そういうことを「したがらない」こともあるでしょう。そういう場合どんな診断が下されるか分ったものではありません。

アッチの方に自信の持てない男性も注意が必要です。2週間前に「ダメ」で、そのあと失地回復をしていない人はBの2や3、Cの1や2に当てはまるような気分になるかもしれませんが、安易に賛成してしまうのは考えものです。たまたまの事なのですからあまり気にしないようにしましょう。相手を替えてみるのもひとつの方法です。

雇用形態に関係なく、従業員のメンタルケアのための充分な体制を整える事の出来る企業は限られています。企業としてはそんなことにお金を使うのであれば調子の悪い部品を取り替える方が合理的であると考えているかもしれません。そのような状況ではうつ病になるのも仕方のない事ですが、あなたのアタマの調子を会社に知られることは考えものです。

うつ病は自殺の可能性が高いのですが、自殺しないうちに収入の途を断たれて餓えと寒さに野垂れ死ぬのもあまり楽しい人生とも言えないようです。そのような場合は当然「労災」ではないわけですから知った事ではありませんが、死ぬのは自分ですからよく考えたいものです。


posted by 珍風 at 12:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。