2010年05月02日

オイコラ可視化

取り調べ可視化、部分的導入も=千葉法相


 千葉景子法相は2日のNHKの番組で、取り調べの録音・録画(可視化)について、「範囲を決めて行うことも一つの考え方だ」と指摘し、全事件を対象とせず殺人などの重大事件に限定して導入することもあり得るとの考えを示した。

 可視化の実施時期については、「検討を精力的に進めて、できるだけ前倒しで実現したい」と述べた。

2010年5月2日 時事


なぜ「殺人などの重大事件に限定」するなどという案が出て来るのかよく分かりませんが、たしかに殺人の冤罪ともなるとマスゴミも報道せざるを得なかったりしますが、痴漢やなんかの軽微な犯罪であれば世間の目は誤魔化せるかもしれません。

もちろん、痴漢などが「軽微」な罪であるかどうかは議論の分かれるところかもしれません。被害者にとっては必ずしも「軽微」とは感じられないかもしれません。しかしながら法相が「重大事件」意外での冤罪について、これを「軽微」なものであると考えていることは確かです。そのように考えることの出来る根拠のひとつは、やはり当該犯罪そのものの「軽微」さにあると思われます。

もうひとつの理由は職務質問に関するものです。警察庁では「軽微な」犯罪から「社会の秩序を乱す行為」というちょっとした逸脱行為にまで業務範囲を広げようとしています。これは要するにしばしば行なわれている違法な職務質問に正当性を与えようとするするものです。職務質問は行政警察行為として司法警察行為たる捜査と区別され、その意味で「取り調べ」ではないとかゆーのかもしれませんが、職務質問の結果犯罪が発覚した場合、職務質問によって得た証拠は使用できますから、「取り調べ」と同等の価値を持つことになるでしょう。

職務質問によって刑法犯が発覚したとされる例は年に15万件程あることになっており、警察ではその効果を評価しているところですが、「取り調べ」を可視化することになれば、当然職務質問も可視化される必要があります。

実際には民間有志によって職務質問の可視化が実施されている例があることは皆さんご存知であると思われますが、警察ではこれに強い抵抗を見せているようです。職務質問は警察にとって大きな武器でもあり、一方では弱みでもあるわけです。

職務質問が違法なものであった場合、そこで得られた証拠は能力を失います。そして「軽微な」犯罪においては職務質問で得られた証拠がほとんど全てであったりするのですが、その証拠能力が喪失することによって無罪となってしまう虞れもあり、実際にそうなった事例も存在するのです。「軽微な」犯罪においては職務質問が果たす役割は大きなものであり、そこで違法行為があったことが立証されることは致命的なのです。

一方殺人などの重大犯罪においては、たとえその発覚のきっかけとなった職務質問が違法なものであったとしても、証拠は他にも存在するでしょう。職務質問の違法性は大勢に影響しないのです。しかしそれよりも、職務質問において疑われた「何らかの犯罪」は「軽微な」犯罪であったと主張することによって、全ての違法な職務質問が闇から闇に葬られることになるでしょう。

「範囲を決める」ことによって取調べの可視化は骨抜きにされます。これを放送したNHKでは、この番組について記事化する際にこの発言をカットし、「できるだけ前倒しでやっていきたい」という点を強調しています。とはいっても導入時期を確言したわけではありませんので、NHKの報道は何の役にも立ちません。

取調べの可視化については、民主党のマニフェストに明記してあるわけですが、事態はマニフェストにうたうこととは全く逆に進行しています。それは「冤罪を防止する」ことが目的だったはずです。

49.取り調べの可視化で冤罪を防止する

【政策目的】
○自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
○自白強要による冤罪を防止する。
【具体策】
○ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する。
【所要額】
90億円程度


実際には「冤罪を防止する」どころか、取調べの可視化もせず、証拠の管理のあり方も見直さずに時効撤廃に走りました。DNAがどうしたとか言っていますが、容疑者の身柄さえ確保すれば容疑者のDNAが遺留品から発見されるようにするのは簡単なことなのです。現状では冤罪はより発生しやすくなっていますが、これが近く行なわれる参院選と無関係であるとは考えられません。

但木さんは二言目には「被害者が」とか言うわけですが、そのような言説の方が有権者にはウケるものと考えられています。被害者や遺族はTVでよく見かける顔なのであって、お涙頂戴ネタの一種ですが、その中でより「生」に近いもののひとつなのです。これは被害者をバカにしてるわけじゃなくて、そのようなあり方において有効であるということなんですが、これが現在の環境なのであり、有権者の大多数の意識はこの環境にある程度決定されているはずです。与党としてはこのような有権者にはそれなりの対応が必要とされることは言うまでもないでしょう。

じゃあ「善良な市民の感覚」の方はどうなるんだ、という話になるんですが、あれは自分で言い張っているだけですから関係ありません。政策評価もしくは政策の結果の評価を別にして「政治とカネ」の問題だけで投票行動が左右されるかどうかは、実は微妙です。てゆーか小沢さん辞めた方が良いという「世論」が多くて内閣支持率が下がっても、投票予定に民主党を挙げる意見は多いので、実は何も起こっていないと言っても良いでしょう。

そして例えば、何年か後にでも取調べが可視化されるとしたらそれは民主党政権の下以外ではないだろうと考えざるを得ないのですが、実はそれも参院選の結果次第であって、自民党グループ各党が最終的に敗北し、民主党に対する批判が左に流れる虞れのある場合にのみ、警察及び検察が折れることになるでしょう。


posted by 珍風 at 19:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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