2010年11月09日

いきぎもたたり

経団連会長、TPP参加で労働力として移民奨励


 日本経団連の米倉弘昌会長は8日の記者会見で、「日本に忠誠を誓う外国からの移住者をどんどん奨励すべきだ」と述べ、人材の移動が自由化される環太平洋経済連携協定(TPP)への日本の参加を、改めて促した。

 米倉会長は「将来の労働力は足りず、需要をつくりだす消費人口も減る」と述べ、積極的な移民の受け入れが必要との考えを強調した。

2010年8月19日 讀賣新聞


さすがは米倉さん、頸断かと思ったら意外に慧眼であります。バカなマスゴミはTPPといえばお百姓さんの問題だと思っているようですが、賢明なる米倉さんはちゃんと労働問題に焦点を当てています。

「日本に忠誠を誓う外国からの移住者」なんているわけない、と思うかもしれませんが、そう思う人は米倉さんの企業家としての精神を見習うべきです。皆さんは裸足の土人に靴を売りに行く人の話を聞いたことがあるでしょう。これはそれと同じことです。

「日本に忠誠を誓う外国からの移住者」が始めから存在するわけではありません。「外国からの移住者」を「日本に忠誠を誓う外国からの移住者」にしてしまえば良いのです。そもそも、もとから日本にいる人でも「日本に忠誠を誓う」と決まっているわけではないのであって、米倉さんはそのことをよく知っています。その点では日本人でも外国人でも同じことなのです。

もっとも、「日本に忠誠を誓う」つもりであれば、外国人ならびに日本人の労働者諸君は、その「日本」が「忠誠を誓う」対象についてよく識らなければなりません。「日本」への「忠誠」というのは間接的なものです。それは中継地なのです。「日本」を経由する電車には別の行き先がありまして、その電車は「日本」を通過してしまわないという保障はありません。

亜細亜大学の石川幸一教授によれば、TPPでは労働に関して

労働については、労働協力についての覚書が締結されている。覚書では、ILO(国際労働機構)加盟国としての義務の確認、「労働における基本的原則と権利に関するILO宣言およびそのフォローアップ」についての約束の確認、労働についての国際的な約束に一致した労働法・労働政策・労働慣行の確保、労働法制・政策策定における主権の尊重、保護貿易のために労働法・労働政策・労働慣行を定めることは不適切であること、貿易と投資の奨励のために労働規制を緩和することは不適切であることなどを規定している。さらに、労働に関する協力を行うことと照会所の設置、協議なども規定している。協力には非政府組織の参加が呼びかけられている。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の概要と意義


「保護貿易のために労働法・労働政策・労働慣行を定めることは不適切であること」が「覚書」で決まっているようです。すなわち労働者を保護する制度は「非関税障壁」と見なされることになります。アメリカがこれに参加する場合は、TPPに参加するすべての国がアメリカの労働慣行に従わなければならなくなるでしょう。

ここで「非政府組織」と書いてあるのは労働組合のことですが、このような問題について「非政府組織」が参加することは義務づけられていません。参加は「呼びかけられている」のであり、呼ばれたからといって出掛けて行っても門前払いを喰うかどうかは定かではありません。

したがってここでも、農業と同様に、TPPに参加する準備が出来ているのか、という問題があります。日本の労働会はアメリカと頸断連によく抗しうでしょうか。この点について米倉さんの観測は極めて明快であり、頸断連から見て何の問題もないからイケイケ、というものであるようです。

そして僕も米倉さんの慧眼を賞賛しないわけにはいきません。日本の「労働運動」というのは今や「派遣村」である、というところまで後退しているのであり、しかも「国民の生活が第一」の民主党は、「国民」ではない労働者の「生活」はとっくに「仕分け」てしまっているのです。

“脱派遣村”へ対策強化 年末まで住居や就業の相談


 政府は9日、年末年始に「派遣村」ができるような事態を避けるための会合を開き、仕事のない生活困窮者を対象とした生活相談や住居相談、就業支援対策を年末に向け強化していくことを確認した。

 内閣府や厚生労働省、総務省の担当者が参加。昨年末、東京都が失業者らに食事や宿泊先を提供した「公設派遣村」について「年末年始の対応だけでは限界がある」と総括。今年は11、12月、全国各地で職業紹介や生活保護相談を一カ所で受け付けるワンストップ・サービスや就職面接会、就職支援セミナー、住居・多重債務相談などを開くことが報告された。

 厚労省の小宮山洋子副大臣は会合後の記者会見で「派遣村が必要とならないよう、(役所が開いている)12月28日まで周知に全力を挙げる」と話した。

 2008年末に東京・日比谷公園で、支援者らが年越し派遣村を開催。昨年末は国が費用を負担し、都が「公設派遣村」を設置したが、石原慎太郎都知事は5日の会見で、「昨年のような協力はできない」と明言している。

2010年11月9日 共同


賢明なる石原さんがやりたくなければやってくれなくて結構ですが、民主党政権も「派遣村」を潰すためのアリバイ作りに懸命のようであります。もっとも、それは「12月28日まで」のことであって、あとは大掃除をしたりお屠蘇を祝うのに忙しいようです。29日以降の「年末年始」はどうするかというと、どうせ対応したところで「限界がある」から最初からやらない、という極めてサッパリした「対応」を行なう模様です。

「役所が開いている」時期に「限界」があるんですから、「年末年始の対応」にも「限界」内で意味があると思うのが人情ですが、そんなことを言う人は小宮山さんの気持ちがわからない人です。小宮山さんが28日まで「全力を挙げる」と言っているのは、人事を尽くして天命を待つということです。つまり、もし天命によって充分に天候が悪く、しかも「派遣村」も存在しない、ということになれば人が死んだりするわけですが、それで良いのです。

今度の冬から、労働者は順番にふるいにかけられます。冬を正社員で過ごす人、バイトで過ごす人、派遣で過ごす人、派遣を切られる人、無職の人、その中で餓えと寒さに強い人、弱い人。春になれば過労死さえもたらす激しい労働についてゆけない人は既に切り捨てられて、てゆーか単に死滅しています。

これは大変便利なアイデアですし、収容所で誰かが「仕分け」して、しかもガス代をかけるのに比べると極めてリーズナブルです。これからの環太平洋地域の標準政策として提案しても良いくらいです。「死体の処理が新たな雇用を創出する」とでも言っておけば満点でしょう。「死体はビンボー人が食べちゃうから政府の財政的負担はゼロ」も付けてくれれば特典として人の生き肝がついて来ます。


posted by 珍風 at 21:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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