2010年12月15日

死に神来たりて笛吹けど踊らず

鳩山氏、宮崎勤元死刑囚の執行経緯語る


 元法務大臣が執行する死刑囚を選んだ経緯を語りました。衆議院議員の鳩山邦夫元法務大臣が、連続幼女殺人事件で死刑が執行された宮崎勤元死刑囚について、「最も凶悪な事件の一つで、こんな奴を生かしておいてたまるかと思った」とJNNのカメラの前で明らかにしました。

 「今だから言ってしまおうかね。最も凶悪な事犯の一つだと思うから、宮崎(勤元死刑囚)を執行すべきと思うが検討しろと。私から指示しました、実は」(鳩山邦夫元法相)

 こう切り出した元法務大臣の鳩山邦夫衆議院議員。これは、TBS系列で年末に放送予定の特別番組のインタビューで語ったものです。

 鳩山元大臣は在任わずか1年の間に13人の死刑執行を決裁しましたが、このうち、宮崎勤元死刑囚の死刑が執行された経緯について語りました。

 「本当は時系列的にベルトコンベアが正しいんだと私は思うんだけど、やはり、大変凶悪な事件と私なりに記憶しているから、よく調べてくれと。おそらくひと月くらい前でしょうね、死刑執行する」(鳩山邦夫元法相)

 法律では死刑は確定してから6か月以内に法務大臣が決裁し、執行するものと定められていますが、実際に執行されるのは確定から平均でおよそ6年後。100人を超える死刑囚からどのように選ばれるのかなどは一切、明らかにされておらず、法務大臣経験者が決裁のいきさつを明らかにするのはきわめて異例です。

 「(執行の)2週間前ぐらい前に私への説明資料は出来上がっていたと思う。読んでて・・・怒りに震えてきますよ。これは執行しなくちゃならんと思いますよ、正直言って。こんな奴を生かしておいてたまるかと思いますよ。正直思いますよ、それは。そう思わなければ死刑執行命令はできないんですよ」(鳩山邦夫元法相)

 この発言について、専門家は問題点をこう指摘します。

 「政治家的な自分の感性で勝手に一つの事件を選び出すこと自体、何の理由も、何の合理性も、何の権限もないこと。今は裁判員裁判の時代ですから、市民自身が必死の覚悟で死刑を言い渡さなければならないという重たい思いの中で選択をする時代になっているのに、他方で政治家である法務大臣がこのような軽い発言をして、死刑を取り扱うこと自体、およそ是認できるものではない」(甲南大学法科大学院 渡辺修教授)

 裁判員制度の導入で死刑判決が他人事ではない時代。鳩山元大臣の発言は改めて波紋をひろげそうです。

2010年12月13日 毎日放送


口を開けばバカですが、それでもやはり「死に神」の名に恥じません。「死に神」の「神」たる所以は何といっても人が死ぬ期日を時刻まで指定出来る権限に由来します。一方で鳩山(弟)さんは「ベルトコンベア」とか言っていたわけですが、実際には「私なり」の「記憶」で、ということはつまり個人的な思い出でもって刑の執行を決定していたと言うのです。

宮崎さんの死刑執行は鳩山(弟)さんの一連の殺害の最後に当たるものであり、折角法務大臣となったのであるからたまには自分の好きなように殺してみたいということで特に検討を指示したもののようです。これが御持論の通りに「時系列的にベルトコンベア」であれば、先ず冤罪の可能性がないところで「ピアノ騒音殺人事件」の大浜松三さんになるはずです。大浜さんは精神病だから執行出来ないとかいうのはこの際言い訳になりません。宮崎さんも精神病です。大浜さんは80歳を超えているからというのも理由になりません。秋山芳光さんが死刑を執行されたのは77歳の時でしたから、そう大して変わるものではありません。

更に言えば、「時系列」で処理するのであれば大浜さんに先行する2人についても、何らかの検討が加えられて然るべきです。それは「マルヨ無線強盗殺人放火事件」の尾田信夫さんと「名張毒ぶどう酒事件」の奥西勝さんですが、これらの事件について何らかの進展があったというわけでもないようです。

ところで、「最も凶悪な事犯の一つだと思うから」という「軽い発言」は、ウソでしょう。もしかすると「私から指示しました、実は」というのも本当かどうか分ったものではないのです。宮崎さんの死刑執行には、やはりそれなりの背景というものがあります。

一つには、例の光市の母子殺害事件でしょう。これの死刑判決が2008年の4月22日ですから、これを受けて宮崎さんの執行に向けて調査が開始されたのかも知れません。光市の事件の判決に「凶悪」てゆーか「ウケの良い」事件の死刑執行を繋げていって、いわば「死刑ブーム」とも言うべきムードを醸成して「世論」を作り出して行く、という狙いがあったでしょう。

一方、この時期(2008年)は司法がちょっとダレていたことも指摘しておかなければなりません。死刑の確定は2004年から爆発的に増加しているわけですが

2004年 15件
2005年 11件
2006年 20件
2007年 23件
2008年 10件
2009年 18件


2007年は23件の確定という快挙を成し遂げたものの、2008年には顕著に落ち込んでいます。危うく1桁になってしまうところです。実際この年上半期の確定は7件に留まっており、下半期には「下関通り魔事件」といった「責任能力」に疑問のある上告審が控えているなど、楽観を許す状況ではなかったのです。

宮崎さんを血祭りに上げた事は裁判官さんたちを大いに勇気づけ、2009年には18件の確定を出すまでに元気を取り戻しましたが、宮崎さんの直接の「恩恵」を被ったのははやり「下関」の上部康明さんでしょう。どこからどう見ても立派なキチガイですが、どうも同じ病名がつくと思われる宮崎さんの殺害により、立派に上告棄却死刑確定を手にする事が出来ました。

このように、人一人殺す事には色々な思惑があり、「何の理由も、何の合理性も」あるのであって、渡辺さんが言うように「軽い」気持ちでやっているわけでもないでしょう。鳩山(弟)さんはバカかも知れませんが国家権力は甘いものではありません。

渡辺さんは「市民自身が必死の覚悟で死刑を言い渡さなければならないという重たい思いの中で選択をする」とか言っていますが、裁判員がそんな「思い」でやっているという保障は一切ありません。たしかに会見に出て来る裁判員はなんだか重そうにしていますが、それが本当だという証拠はありませんし、全員がそうだとも限りませんし、これからもそうだと決まったものでもないのです。

鳩山(弟)さんは軽そうな事を言ったわけですが、それをマトモに受けて批判する事は、それを見習って気軽に死刑判決を出すのと同様に愚かです。もっとも渡辺さんは分かった上でやっているんでしょうから「愚か」ではないかも知れませんが。世の中には色んな人がいますから。ちなみに、今年の死刑確定は10件もいっていません。裁判員経験者の死刑受容者割合は50%程度に落ちる、という調査もあります。毎日放送が鳩山(弟)さんにこんなことを言わせているのも「死刑ブーム」を再燃させ、裁判員候補たる国民にカツを入れることを意図したものであるといえるでしょう。


posted by 珍風 at 07:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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