2011年01月11日

公務員もスットコドッコイ

政府、公務員スト権付与を見送り 民主と労組反発も


 政府は、検討中の国家公務員制度改革で、公務員にスト権を付与しない方針を固めた。政府筋が9日、明らかにした。人事院勧告制度の廃止と、労使交渉による給与決定を2012年度に先行実施。その後にスト権を付与する構えだったが、実際にストが発生した場合の国民生活への影響を考慮した。

 ただ民主党のプロジェクトチームは昨年12月にまとめた改革案で「一定の制限下での付与を検討するべきだ」と指摘。党の有力な支持基盤である公務員労組からも反発を招くのは必至で、調整が難航する可能性もある。

 公務員の総人件費削減を目指す政府、民主党は、人勧制度を廃止し、労使交渉の導入による賃金引き下げを目指している。

2011年1月10日 共同


公務員のスト権に関しては2002年のILO結社の自由委員会第329次報告において日本政府に対する勧告が出ていまして、

委員会は、スト権に関する数多くの原則の内、とりわけ、スト権は労働者とその団体の基本的権利であること、および次に挙げる少数の例外を除き、民間・公務双方の労働者に認められるべきであることを想起する;その例外は、軍隊および警察の構成員、国家の名において権力を行使する公務員、厳密な意味においての不可欠業務に従事する労働者、および国家の非常事態の場合である。この権利を奪われている、もしくは制約されているために自らの利益を守る重要な手段を失っている労働者は、その禁止もしくは制約を代償するための適切な保障が与えられるべきである。例えば、十分で全面的かつ迅速な、関係者がそのすべての段階に関与できる調停・仲裁手続きで、その裁定が一旦出されれば完全かつ直ちに実施されるような制度である。加えて、正当なストの実施に対して、労働者と組合役員は罰せられる(特にこの例においては、現在実施されているように、重い刑事罰や行政処分に処せられるべきではない これらについて詳説されている原則を参照のこと(ダイジェスト・パラ473-605)。したがって委員会は政府に対し、改革の一部として法制度に適切な改正が為され、これらの原則に則ったものとするよう勧告する。

ILO結社の自由委員会第329次報告
第285回ILO理事会(2002年11月21日)にて採択
連合国際政策局仮訳


更にご親切にも「委員会は政府に対し、政府はこの件についてILOに技術協力を求めることができるということを想起するよう求め」ていますから、要するに相談に乗るよと言っているわけですが、日本政府はちょっとアレだから手伝ってやんないとムリなんじゃないかと思われているのかもしれません。

これを受けて民主党の岡田幹事長(当時)は「重大な決意」をしたものですが

「ILO勧告無視の法案を強行するなら重大な決意で臨む」岡田幹事長

民主党の岡田克也幹事長、自由党の藤井裕久幹事長、社民党の福島瑞穂幹事長らは3日、小泉首相宛の「民主的で透明な公務員制度改革を求める申し入れ書」を福田官房長官に手渡し、公務員制度改革を進めるにあたりILO(国際労働機関)の勧告を最大限尊重し、関係労働組合などと十分に交渉・協議を行った上で法案をまとめるよう申し入れた。申し入れには、川端達夫・民主党公務員制度問題対策本部長、山岡賢次・自由党政治行政改革推進本部長、中西績介・社民党公務員問題対策特別委員長も同行した。

 岡田幹事長は、申し入れ後に行われた定例記者会見で、「諸般の状況を見ると、政府が法案の閣議決定を急いでいるように思われるので、3党幹事長名で総理宛にあらためて申し入れた。従来から申し上げているように、ILOは、日本政府案について『労働基本権を制約し、国際労働基準に反している』として内容の見直しを勧告しており、そうした勧告を一顧だにしない政府案には大きな問題があると考えている。もし閣議決定をこのまま強行するなら、野党3党は一致結束して国会審議にも重大な決意を持って臨まざるを得ない。政府は、ILO勧告を最大限尊重し、関係者との十分な交渉協議、合意を得るなどの手続きを経た上で法案を国会に提出すべきだと申し上げた」と報告した。

 野党側の申し入れに対し、福田官房長官が「職員団体などと十分協議した上で、納得していただいて決めたいと思っている。ILOにも日本の立場を説明している最中だ」などと返答。岡田幹事長や川端本部長らは「公務員が気持ちよく効率的に働く環境を作ることは、国の根幹にかかわる基本的で重要な問題なので、党利党略ではなく、連合や関係団体の意見を聞くべき。我々も何度でも伺う」「野党3党でILO調査団を派遣したが、ILOはわが国の公務員制度を、精緻に知った上で勧告している。『真摯に協議して進める』と言いながら、すでに3月28日に関連法案が内々に各省に流れているのは、おかしいのではないか」などと詰め寄り、官房長官も「極めて重要な問題だと認識している」と回答したという。

民主党 ニュース 2003年4月3日
http://www.dpj.or.jp/news/?num=3648


もう忘れたでしょう。ところでILOの勧告に対する当時の日本政府の回答は

公務員も勤労者であり、その生存権保障の見地から、人事院勧告制度等の代償措置が講じられているところである。 最高裁判所においても、労働基本権を保障する憲法28条の規定は公務員にも適用されるが、この権利は国民全体の共同利益の保障の見地から制約を免れ得ないものであり、また、労働基本権制約に対する適切な代償措置が講じられていることから、公務員の争議行為を禁止した法律の各規定は違憲ではない旨判示するとともに団体交渉権についても同様の判示がなされているところである。


もっとも、日本政府が「最高裁判所」を引き合いに出すことについて、ILOは法律が最初から間違ってるんだから判決なんてアテになんないじゃん、と言っているわけですが、まあ政府としては「人事院勧告制度等の代償措置」があるんだから良いんだ、という立場であったわけです。

民主党としてはスト権を付与する代りに「代償措置」をなくす事にしていたわけですが、菅さんは何を思ったのか「代償措置」を廃止して、しかもスト権を与えない事にしたようであります。これだとスト権を与えない「理由」というか「口実」というか何でもいいですが、それがなくなってしまう事になります。それはちょっと困った事になるのではないでしょうか。

まあILOが刺客を差し向けて菅さんの頸をはねるわけではないので、ちっとも困りゃしないのかも知れませんが、菅政権が事情をよく理解していないのは確かです。「代償措置」というものは本来あってしかるべきものが無い時にその代わりにあるものの事です。つまり「スト権を付与する」とか「付与しない」とか言っているわけですが、そもそもそれは別段「与えられ」なくても最初からあるものなのです。ウソだと思ったらストを打ってみればよろしい。

もっとも、争議権というのは正当なストの実施に対して労働者と組合役員が罰せられない、ということであって、「付与」というのはそういう事を意味するわけですが、それを言うなら日本では民間にも「スト権」は存在しません。公務員が「重い刑事罰や行政処分」で済んでいるのなら幸せな方で、民間、てゆーか山間部では埋められたりしているそうです。実際、往々にして団結権すら存在しないのですが、政府が労働者に権利などというものがあろうとはこれっぽっちも考えていない様なのですから無理はありません。

そこで「実際にストが発生した場合の国民生活への影響」は極めて憂慮すべきものとなるでしょう。実際にストが発生すると、国民は組合を結成したりストライキをやったりしてもいいんだ、と思ってしまうわけで、ついつい、自分もやろう、ということになりかねません。それは一部の人にとっては大変に困った事である、という事情は解らないわけではありませんが、僕は困りませんので「影響」大歓迎、ドントコイであります。


posted by 珍風 at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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