2011年01月25日

キック・アスの会惨状!

犯罪被害者の会が大会、補償制度求める決議採択


 全国犯罪被害者の会が23日、東京都内で大会を開き、結成から11年間代表幹事を務めた岡村勲弁護士(81)の退任が決まった。

 岡村さんは「被害者の権利も確立され、後は被害補償問題を残すのみ。裁判への参加制度ができても、生活できなくては真の救済にならない。新体制はその問題に取り組んでくれると思う」と期待を語った。今後は顧問となり、後任の代表幹事は、1995年に大阪府で看護師の妻が殺人未遂事件の被害に遭った林良平さん(57)が務める。

 大会では、被害前の生活を取り戻せる補償制度を求める決議を採択した。

2011年1月23日 讀賣新聞


アスの会の最近の活動といえば相変わらず「被害者と司法を考える会」への攻撃であります。
http://www.navs.jp/2010-11-05.pdf
http://www.navs.jp/2010-11-15.pdf

考え方が違うんですから攻撃したって良いようなものですが、自分たちだけが「犯罪被害者の運動」であるかのような表現は些か穏当を欠くと言うべきでしょう。まあ、アスの会の場合は「犯罪被害者の運動」といっても、実際には死刑存置運動の一部でしかありませんから、「死刑存置運動の一部としてでなければ犯罪被害者の運動というものは認められない」というのであればそれはそれで構いませんが別に。

実際のところ「被害者の権利」が確立されているのかどうか定かではありません。「被害者参加、損害賠償命令、少年審判の被害者傍聴、凶悪犯罪の公訴時効の廃止」が、果たして「被害者の権利の確立」であると言えるのかどうかはきわめて曖昧であります。しかしながら、被害者をして加害者に対する刑を加重する為の手段として利用させる道を開いた点では、一定の「成果」があったと言えるでしょう。

また、アスの会の活動は「死刑存置論」を極めて洗練した点で特筆されるでしょう。疑わしい証拠や思い込みに基づく存置「論」は一掃され、死刑存置の根拠は「報復感情」一本に搾られました。真面目な議論は隅に追いやられてしまいますが、簡単に論破されてしまうような「真面目な議論」は何の役にも立ちません。「感情」は議論に勝つことはないかも知れませんが負けることもないのです。死刑存置派が殺人者と同様の感情を持って目糞鼻糞を投げ合うものであることが明らかになったのはアスの会の活動の賜物であります。

岡村さんの退任に伴って、今度は「被害補償」に取り組むんだそうですが、これにはアスの会の今までの活動が裏目に出る可能性があります。従来は「被害者」としての特異性をもって死刑を主張したりしてきたわけですが、それが「支持」されて来たのは、当事者でない人が「被害者の気持ち」を理解したからではありません。

逆にそれは「被害者の気持ちがわからない」から、何だか知らないけどそれで気が済むんでしたら、というようなものだったのです。どうせ死ぬのは自分じゃありません。誰かが死ぬことで連中の気が済むんだったら、終身刑よりお金がかからない、という「利点」もあったりしますし、いいんじゃないのか。しかし税金で「被害者」に「補償」を行なうとなると話は別で、一般の人の「共感」を求めなければなりません。しかしそれは今までの活動の中であえて切り捨てて来たものに他なりません。

アスの会は見解の異なる被害者団体を排除し、日弁連と対立し新聞に抗議したりしていわば「タブー」となることによって政治力をつけているわけで、そういうやり方で「補償」要求も通ることとは思いますが、おそらくロクなことになりません。それはバックラッシュのきっかけとなり得ます。アスの会のお偉いさんはそれでもいいのかも知れませんが、個々の犯罪被害者にとってはアスの会が被害補償制度確立を求める運動の中心に立つことは望ましくありません。アスの会はおとなしく死刑存置運動だけをやっていれば良いのです。

もっとも、アスの会がいくら頑張っても、てゆーか頑張れば頑張るほど、死刑は一般の人々にとっては切実な問題ではなくなっていきますから、最近では法務大臣が批判されるのは逆に死刑を執行した時であったりします。その他には余りにも正直であった時ですが。

江田法相、死刑廃止「制度としていいのか。考える時期」廃止検討に言及


 江田五月法相は21日の閣議後の記者会見で、死刑制度について「世界中の状況から見ると、制度としてあることはいいのかどうかも、考えていく時期に来ているのかなという気はしている」と述べ、制度の存廃を検討する必要があるとの考えを示した。

 しかし、検討に何らかの結論が出るまで、執行を停止するかどうかは「よく考えてみる」と、明言を避けた。

 死刑自体については「取り返しがつかないというのは、そうなんです。命を奪うわけだから」と話した。江田法相は14日の就任会見で「死刑は欠陥を抱えた刑だ」と述べている。

 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の調べでは、死刑が存続しているのは58カ国・地域で、廃止・長期停止は139。

2011年1月21日 産経ニュース


まあ単に信用されていないので批判するには及ばないのかもしれません。「制度の存廃を検討する必要がある」って、それはもうやっているわけです。江田さんは知らないのかもしれませんが、千葉さんが死刑を執行した後で「存廃を含め死刑制度の在り方を検討する省内の勉強会」を設置することにして、実際にその「勉強会」は存在しており、9月9日に第1回が開かれたそれにはアスの会の岡村さんも参加しています。

千葉さんの執行は、千葉さんのつもりではいわば「打ち止め」の意味もあったようで、少なくともその意味では「存廃の検討」の間は執行されるべきではないはずですが、江田さんはそこら辺全ての事情を全く認識していないようなのは驚くべきことです。しかし江田さんは「マニフェストに基づいて」取調べの可視化をすすめると言っているようですから、従来の疑わしい司法判断に基づいて「取り返しのつかない」死刑を執行することを停止する理由に困ることはないはずで、今更何を「よく考えてみる」のかサッパリ分かりません。多分、「取り返しのつかない」ことをあえてやってみるかどうか「よく考えてみる」んでしょう。

「取り返しがつかない」と言っても自分が死ぬわけではありません。とはいえ、下手なことを言うと自分自身に「取り返しがつかない」政治的な死が訪れるかも知れないのです。「世界中の状況」はともかくとして、民主党の状況ではある日突然アスの会寄りに政策を転換しないとも限りませんし、それについていけない人には粛正が待っているんですから「よく考える」ことが大切です。死刑存廃を「自分の問題」として一番「真剣」に考えているのは江田さんに他なりません。


posted by 珍風 at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。