2011年04月27日

極東実験島でマルタを叱る

意味不明な世田谷新区長の主張


世田谷新区長、保坂展人氏曰く、今回の勝利は区民の良識によるものとのご高説である。

問題は区民の良識なるものの中身が意味不明な点である。保坂氏は今回の選挙を、原発から再生可能エネルギーへに焦点を当て戦われ勝利されたと理解しているが、一体世田谷区として具体的にこれをどう進めると言うのだろうか?
大震災の余震が毎日続き、原発事故の影響がどこまで拡がるのか判らない時期に行なわれた選挙で「原発依存から自然再生エネルギーへ」と訴えたことや、「心ある被災地支援を徹底しよう」、「区民参加の世田谷をつくろう」と呼びかけたことを積極的に評価して頂けたと感じています。

脱原発と言った所で、世田谷区が新たな原発建設計画を進めていた訳ではない。それとも、密かに下北沢や三軒茶屋のビルの地下にコンパクトなマイクロ原発を建設する計画でもあったのだろうか?

或いは、原発との共存共栄路線の継続を決めた敦賀市の様な市町村を暗に批判しているのだろうか?

仮にそうならば、偏光したイデオロギーや小賢しいパーフォーマンスとは無縁に、純粋に原発と向き合う事を決めた敦賀市民に対し余りに失礼である。全体最適により、決して原発が建設される事もなく、電力が優先的に供給されるであろう世田谷区の驕りではないのか。

具体的に、世田谷区として30%に達する、電源を原発とする電力供給分を節電すると言うのであれば、東京電力の負荷軽減に直結する訳で、高く評価する。

全国に先駆け、各家庭に電力消費の監視を行う為のスマートメーターの設置を義務付け、ディマンドレスポンスとHome Energy Managemet System(HEMS)を導入する事で可能となる確立が高い。しかしながら、区民の意識がそこまで到達しているとはとても思えない。

今一つは、再生可能エネルギーへの転換である。しかしながら、これも意味不明である。一昨日の記事で説明した通り、NEDOが年間2,000億円超の予算を30年以上使いながら、未だ実用化の目途が立っていない。

NEDOに比べ、人材も居らず、技術もなく、開発資金のない世田谷区に一体何が出来ると言うのであろうか?

再生可能再生エネルギーと言えば一般に、太陽光・太陽熱、風力、バイオマスそして地熱・水力と言った所である。

太陽光に就いて言えば、人口密集地であり集合住宅、商業ビルの多い世田谷区は最も適していない。

風力はそもそも風車の建設用地がなく、世田谷区にそれ程風が吹くとも思えない。

バイオマスは実用技術の確立が先決で世田谷区単独では無理。

地熱は世田谷区内に火山が無く、水力は多摩川の高低差では無理。

現実的には何一つ出来ないのではないか?

保坂氏に世田谷区を預かる区長、政治家としての自覚、責任感に疑問を感じる。3.11の福島原発の事故以来世の中に充満する、反原発のムードに安易に流される区民に対し、全く実現性はないが、取敢えず世論の追い風を受ける事が容易な原発から再生可能エネルギーへで対立軸を明らかにし、選挙に勝利したと言う所ではないか?

仮にそうなら、保坂氏が胸を張る、区民の良識の勝利等ではなく、区民の非常識の勝利と言う事になる。

保坂氏は早急に原発から再生可能エネルギーへに就いて具体的プランを纏め、区民に提出すべきである。

山口 巌

2011年4月26日 BLOGOS - livedoorニュース


とのご高説でありますが、山口さんの気持ちというものはひしひしと伝わって参りますので、これはよく出来た作文です。気持ちだけは本物だと思いますが、中身の方は「世田谷区民にはエネルギー問題に関して発言権はない」という、なかなかに鋭いものです。

この説によれば、発電施設を所有しない人は原発に反対してはいけないことになります。つまり結局のところ電力会社の言うことを黙って聞いていろ、という意味明瞭な結論が導かれるわけで、事実、「小賢し」くも「偏向」した「脱原発」は「安易」な「ムード」であるとされるのに対して、「原発との共存共栄路線の継続を決め」ることは「純粋に原発と向き合う事」であるとされています。

まあ、山口さんとは違う意味で僕たちは「原発と純粋に向き合う」、てゆーかイキナリ全裸となって迫って来るという、ある意味童貞の夢のような状況に直面しているのですが、裸になっちゃったのがウランちゃんで迫って来るのが放射性物質なので、モテ過ぎて困るというのはこういうことなのか、人生半ばを過ぎてやっと分かったという次第でありますが、多くの人がゴムも付けずマスクもしないで「原発と純粋に向き合」っている様は戦慄すべき状況であると言えないこともありません。

ファーイーストコンサルティングファームの代表取締役である山口さんは、普段から結構立派な事を言っているのですが

代表取締役ご挨拶

我々を取り巻く環境の変化が速くそして大きく成っています。
成すべき事は、今まさに起こっている現象と真摯に対峙し、その背景とか意味を深く知る事ではないでしょうか。 その上で、今後確実に起こるであろう事を予測し、各企業様のコアコンピータンスや経営計画を参照の上、取り 組むべき「ビジネスモデル」の提案をさせて戴きたく存じます。
ご要望があれば、実際に企業様に入り込み、事業の立ち上げを担当する事も可能です。お気軽にお声掛け下さい。


「我々を取り巻く環境の変化が速くそして大きく成っています」という認識は極めて正しいものです。水や空気の汚染が問題になっているのですから、まさにこれは「我々を取り巻く環境」の問題に他なりません。そして「成すべき事は、今まさに起こっている現象と真摯に対峙し、その背景とか意味を深く知る事ではないでしょうか」というのも立派な態度です。僕は逃げようかと思っているのに、山口さんは「真摯に対峙」すると言っています。

死ぬのは勝手ですが、「その背景とか意味」について、山口さんは4月17日に「原発問題の本質を考える」ことにしました。
http://agora-web.jp/archives/1309191.html

最後は安全保障との兼ね合いである。原発問題を突き詰めて考えれば、ドイツの様に脱原発に舵を切り、再生可能エネルギーに活路を求めるか、或いはアメリカの様に原発を推進し二酸化炭素と中東のカントリーリスクを軽減するかの2者択一である。

アメリカとの日米同盟を安全保障の基軸に置く日本が、フリーハンドを持っていないのは明らかであろう。


日本に原発があるのもアメリカの安全保障のためであることを、山口さんは的確に指摘しています。山口さんによれば「本質」は全部で5つありまして、それは「危機管理」、「管理の危機」、「核燃料リサイクルが実質破綻している現実」、そして「脱原発に舵を切った場合の代替電源の確保」ですが、それら全てが解決されたところで、これはアメリカ様の都合ですから日本は「フリーハンドを持っていない」のです。

世田谷区民はエネルギー政策に口を出す資格がないというばかりではなく、日本には脱原発に踏み切る権利がありません。状況はあらかじめ八方塞がりなのだ、というのが山口さんのご高説でありますが、しかしこのように現状をどうしようもないものと捉えてしまう発想で、はたして有用な「「ビジネスモデル」の提案」などが可能であるのかどうか、はなはだ心配であります。他人の商売の事なので知った事ではありませんが、アメリカに甘やかされた業界ではこんなんで大丈夫です。


posted by 珍風 at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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