2012年01月11日

脱衣麻雀依存

「脱原発」とは核発電を停止することを意味します。一度に全部停めるとか、だんだん停めてくんだとか、代替発電方式が火力だとか風力だとか人力だとか、その辺は色々ですが、最終的に核発電を全面的に停止して廃炉することを明確に目標とするもんです。それでもこのプロセスには1世紀近くを要するでしょう。解体した原子炉や燃料などの核汚染物質の処理は万年単位ですが、ある時点からはその量が増えない予定ですから、それがせめてもの慰めであります。

「脱原発依存」とはそういう事をやらないことを意味します。厳密に解釈すると、これは必要な電力量が核発電以外の手段で確保されている状態であり、にも関わらず核発電が稼働し続けることを意味するでしょう。これの利点は、核発電がそもそも何のために存在するのか明確になることだけですが、もちろん核汚染物質は増え続けます。増え続けると言ってもウランも限りある資源ですから無限というわけではありません。

てゆーか、どうもウランは石油より「もたない」可能性があるもんですから、延ばそう、というのが「脱原発依存」です。止めちまえばいいんですが、止められない停まらないかっぱえびせん「依存」状態、核は一部の人々にとっては必需品なのですから無理もありません。子孫のために美田だか汚田だか知りませんが残しておこうというわけです。

もっとも、「脱原発依存」には別の意味もあって

原発住民投票、署名集まる…橋下市長は否定的


 原子力発電所稼働の是非を問う住民投票の実施を目指し、大阪市内で署名活動をしていた市民団体「みんなで決めよう『原発』国民投票」(東京都新宿区)は9日、署名数が5万人を超え、市条例制定の直接請求に必要な4万2673人を上回った、と発表した。

 条例制定の直接請求には有権者数の50分の1の署名が必要で、昨年12月10日から1か月間の署名活動をしていた。同団体は今月16日、市選挙管理委員会に署名簿を提出予定で、市選管の審査、縦覧などの手続きを経て、住民投票条例案が議会で審議される見込みだ。

 これに対し、大阪市の橋下徹市長は10日、「脱原発を掲げて市長選で当選した以上、民意は示されている。住民投票に必要な5億円もかけるのは疑問」と住民投票に否定的な考えを示した。

2012年1月10日 黄泉賣新聞


あれほど懲戒請求を煽った橋下さんにも似合わないことですが、橋下さんなんかは「脱原発」に「依存」した組です。「脱原発を掲げて市長選で当選した」とか言っていますがそれは正確ではありません。橋下さんの「脱原発」は「脱原発依存」に当たるものでありまして、「中長期的には「原発」の依存度を下げていくべきだ」というものでしかありません。すなわち「長期」においてすら核発電を廃止するつもりは全くありません。
http://kokumintohyo.com/branch/wp-content/uploads/2011/11/osaka_kaitou_hashimoto20111111.pdf

せいぜい、関西電力の核発電比率をもうちょっと下げて他の電力会社並みにする、という程度の話しでありまして、何もしないよりはマシではあるかも知れませんが、選挙戦で提示されなかった選択肢を市民の方から出して来るのを邪魔する理由にはなりがたいものであります。

ちなみに選挙の「争点」というのは、大阪市が関西電力に対して株主提案権を行使するかどうかということだったようです。一方で橋下さんは「住民投票の結果に電力会社は拘束されません」ということを強調しています。なるほどそれはその通りかも知れませんが、そういうことを言うのであれば大抵のことは文句を言わずに我慢することになってしまいます。

労働者の意志が雇用主たる企業に対して有する一定の拘束力が闘争を通じて獲得した力であるように、住民の意思が企業活動に対して拘束力を持つようになるのはこれからの話です。労働組合が嫌いな人にとっては、だからこそ現時点での住民投票の無力さを強調しなければならない事情があるわけです。永遠にそうであるように、それが子孫に残す美田なのです。何しろ子だくさんなもんですから。株主提案権なども使えれば使うにこしたことはありませんが、要するに金持ちの特権でありまして、ビンボー人にはあまり縁のないものでしかありません。

いずれにしても、橋下さんが死に遅れたセミにように民意民意と鳴いているのはこういう意味です。住民は慎重に提示されたいくつかのヴァリエーションの中から選択を行なうことによって、選択した対象への服従の意思を表明したものと解釈され、それを「民意」と呼ぶのですから、そのヴァリエーションから逸脱した「住民」の「意志」はあってはならないものなのです。それは例えば橋下さんがしたように、既存の選択肢に含まれるものであるとして、あるいはキチガイのタワゴトであるとか偏向した意見として、排除することになっています。

橋下さんは「大阪市住民投票基本条例は制定しなければならない」と言っていますが、やはりどうも例によって心にもないことを書いてよこした、というよりもむしろ「脱原発」と「脱原発依存」の間に横たわる溝は、橋下さんと「既得権益層」なんかの間の対立よりもよほど深くて広い、ということなんでしょう。てゆーか実はそんな対立なんか存在しないんですが。それよりも、仮に住民投票が行なわれた場合にどっちが勝つかという予測、すなわち誤魔化しのために言っている「民意」ではない民意の観測において、橋下さんは僕と同意見ですよ良かったですね。


posted by 珍風 at 08:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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