2012年06月02日

密室に蠢動する殊更の闇

死刑執行:決裁は2ルート 手続きの詳細判明 

 09年以降に死刑を執行された12人について、刑の確定後から執行後までの手続きの詳細が判明した。毎日新聞の情報公開請求に対し、法務省が同年以降の死刑執行命令書を含む9種類の関連文書を開示(一部不開示)した。決裁者など死刑執行の流れが分かる一連の文書がまとめて公になるのは初めて。執行命令書に法相は署名せず、法相公印も事務方が押していることや、二つのルートで決裁を得る必要があることなども分かった。

 従来、報道を中心に「法相が死刑執行命令書に署名(サイン)」との表現がしばしば用いられたが、開示された文書によると、法相の署名は執行命令書ではなく、「死刑事件審査結果(執行相当)」と題された別の決裁文書にあった。執行命令書には印字された大臣名の脇に公印が押されていたが、法務省刑事局は「一般論として大臣の公印は秘書課長の指示を受けた部下が押す」と説明。法相自身は執行命令書に押印もしていなかった。

 執行に至る決裁ラインは(1)前出の「死刑事件審査結果」に法相と副法相が署名し、事務次官や刑事局長など法務官僚5人が押印する「刑事局ルート」(2)死刑囚を収容する拘置所を管轄する同省矯正局と、死刑囚が減刑などを求める恩赦を扱う同省保護局の幹部ら計6人が、実質的な起案書である「死刑執行について」と題された文書に押印する「矯正・保護局ルート」−−の二つがあり、計13人が関与していた。

 起案や審査、決裁、命令に関する文書は同じ日付(執行はその2〜4日後)で、起案から執行までの手続きが迅速に進められている実態も浮かんだ。

 今回開示されたのは執行年別に09年7人、10年2人、12年3人の関連文書。今年4月初旬、前月に執行された3人の執行命令書と起案書、指揮書の開示と、09〜11年の死刑に関する文書の開示を求めたところ、5月初旬までに開示決定が出された。11年は19年ぶりに執行がなかったため、文書が存在しなかった。計282枚が開示され、全面開示が58枚、一部が黒塗りされた部分開示が77枚、全ページ黒塗りの全面不開示が147枚だった。

 死刑執行の関連文書を巡っては、東京の弁護士らが03年以前分の開示を求めたケースがあるが、ほぼ全般にわたって不開示とされたため、05年に開示を求めて提訴。09年に敗訴が確定した。09年にはインターネットのサイト運営者が、開示されたとする08年の執行命令書をネット上で公表したことがある。【伊藤一郎】

 ◇<開示された9種類の死刑執行関連文書>
(1)死刑執行上申書(2)死刑執行について(起案書、または決裁文書)(3)死刑事件審査結果(4)死刑執行命令書(5)受領書(死刑執行命令)(6)死刑執行指揮書(7)死刑執行報告書(8)訴訟記録の返還について(9)受領書(訴訟記録)

 ◇弊害も考慮を
 小川敏夫法相の話 基本的に開示に賛成だが、それに伴い生じる弊害は考慮すべきだ。執行された方や遺族の名誉、プライバシーに配慮しなければならない面がある。また、刑の執行に関して具体的なことがあまりにも明らかになった場合、未執行者の心情を不安定にする。ことさら残酷なことをしているわけではないので、(不開示部分は)都合の悪いことを隠しているわけではない。

2012年6月1日 毎日新聞


人を殺しておいて「ことさら残酷なことをしているわけではない」というのはどういう意味なのかよく分かりませんが、「未執行者」の中には「全く同感だ」と思う人もいるかも知れません。まあ自分でどう思おうと勝手ですが、評価するのは他人です。そして他人の評価などというものは少なからず無責任でいい加減なものと相場が決まっているのも事実でしょう。

そういうわけで法相がサインするのは「死刑事件審査結果(執行相当)」という書類で、これは事件について法相が自分で調べたわけでもないのに「審査」したものとして署名する、というようなものではないかと推察されますが、そうだとすると法相のサインというものは一連の手続の中で最も信用出来ないアイテムであるということになるでしょう。これでは小川さんが事の重大さをあまり認識していない様子なのも無理はありません。

「ことさら残酷」ではないにしても、やはり人を殺そうというのですから「普通に残酷」であったりするのかも知れませんが、少なくとも執行手続の中では「未執行者の心情を不安定にする」ようなことが行なわれている様子なのが、同じ「未執行者」としての僕の心情を不安定にするので朝からついついお酒に手が伸びたりするのもやむを得ないところであります。さすがにまだ判決は貰ってないもんですから、お酒は自由に飲めるんです。

この「執行手続中の残酷な要素」について、

アムネスティ・インターナショナル日本の若林秀樹事務局長は「一連の執行手続きは密室で行われてきた。運用実態や執行対象者の選定基準が分かったかもしれない起案書の内容が不開示だったことは残念」と話した。

2012年6月1日 毎日新聞 クローズアップ2012


「ことさら残酷」ではないにしても一般国民という「一般未執行者」の目に触れさすにはあまりにも残酷な「執行対象者の選定基準」は、未だに「密室」の暗闇の中です。厳密に言えばある日突然トッ捕まるところから始まる「選定」の「基準」とは何か。知っておけば僕たちにとって色々と参考になるに違いありません。

だから教えてくれないんでしょうし、そこを教えてくれないのが僕たちにとって「残酷」なんですが、ものは言いようでありまして

諸沢英道・常磐大教授(被害者学)は……「被害者の多くは(刑事訴訟法で規定された)6カ月を超えても執行されないことに疑問を感じている」と指摘。「今回の開示では確認できなかったが、確定から6カ月の時点で執行されていない場合、『なぜまだ執行されないのか』を記載する文書が存在してしかるべきだし、その理由が被害者側に伝えられるべきだ」と話した。

2012年6月1日 毎日新聞 クローズアップ2012


これが実は「被害者」側から同じことを指摘しています。「『なぜまだ執行されないのか』を記載する文書が存在」するならば、これを反対解釈すれば「なぜ執行されたのか」を導く事が出来るはずです。こうなると「被害者学」もなかなかバカに出来ません。もっとも、実際の「被害者」は単に小利口なだけで、何の役にも立ちません。

執行後の文書に関して「全国犯罪被害者の会(あすの会)」の松村恒夫代表幹事代行は「事件の当事者である被害者はマスコミで執行を知るのが現状。希望者に法務省が直接、執行報告書を送るような措置を取ってもいいのではないか」と語った。

2012年6月1日 毎日新聞 クローズアップ2012


諸沢さんも実は同じなんですが、法務省から「被害者」への伝達というのが言うは易く行うは難しです。これは「被害者」が転居のたびに法務省に届け出なければならない事を意味しますが、人が殺されたという通知やまだ殺されないというお便りを受け取るために届出を繰り返すというのも中々に乙です。

そこで「アスの会」の登場です。彼等は要するに「希望者」の「窓口」になることを期待しているわけですが、出来たらそのような役割を果たすために当然「予算」てゆーか「税金」を回してくれることを期待している模様です。何だかアヤシい人たちだと思っていたら、別に「ことさらにアヤシい」ワケではなかった様です。単に「普通にアヤシい」人たちなのでした。


posted by 珍風 at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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