2012年09月06日

ホテルフロントライン

「地域経済に打撃」丸富ホテル休業 地元に波紋、影響懸念
 

 三種町は3日、温泉と上下水道の使用料を長年滞納してきた森岳温泉郷の宿泊施設「丸富ホテル」(伊藤康政社長)に対し、温泉と水道の供給を停止した。ホテルは同日から休業。同温泉郷の中核施設の明かりが消えることになり、地域経済や観光への影響を懸念する声が広がった。



 同ホテルや町によると、1999年度から温泉などの使用料を滞納。滞納額は延滞金も含め数千万円に上る。町は今年5月、全額を8月末までに支払わなければ、温泉と水道の供給を停止すると通達。しかし、支払いは約100万円にとどまり、この日の供給停止に至った。



 休業の知らせは地元に波紋を広げている。町商工会の金子芳継会長は、能代市を会場に10月に開かれる県種苗交換会や、来年の「秋田デスティネーションキャンペーン」など大規模なイベントを前にした休業となったことに懸念を表明。「納入業者や周辺の飲食店、観光業界には大打撃であり、非常に残念だ」と話した。



 ホテルの周囲には20軒ほどの飲食店が並んでおり、経営者からも影響を心配する声が上がった。焼き肉店を経営する男性(60)は「大規模な会合が多く開かれ、2次会や3次会で客が流れてくることが多かった。これからどうなるか不安だ」と表情を曇らせた。

2012年9月4日 秋田魁新報


「これからどうなるか」というと、「大規模な会合」のニーズが存在する限り、それは他のホテルで開催されますんで「2次会や3次会で客が流れて」くることに変動はないかもしれません。もちろん近隣の他の地域のホテルに流れてしまう可能性はありますが、森岳温泉の他2軒のホテルは一息ついたところかも知れません。

最後の宿泊客見送り 加賀市山代温泉、ホテル百万石休業


 加賀市山代温泉のホテル百万石で5日午前、従業員が最後の宿泊客を見送り、同日から休業に入った。約200人の全従業員は6日付で解雇となり、営業の再開は未定。北陸屈指の名門旅館が歴史に幕を下ろした。

 ホテル百万石によると、最後となった4日夜は約50人が宿泊した。5日午前11時のチェックアウトまでに宿泊客が次々と旅館を後にし、見送りに出た従業員は客の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。その後、館内の清掃に取りかかり、業者らが段ボール箱などをリヤカーに乗せて運び入れる姿もみられた。

 ホテル百万石は6日に取引先向けの説明会を開く。

2012年9月5日 北國新聞


こちらは105年の歴史を誇る老舗の閉店です。収容人員750人といいますからそこそこ大規模です。てゆーか山代温泉では最大でしょう。一方の丸富ホテルも客室数71室で森岳温泉ではやはり最大規模となります。地域をリードする店舗が相次いで倒れている、というのが地方の観光地の現状であります。

地域紙ではそれぞれ地元の観光地の集客力の低下を嘆いていて、それしか切り口がない様ですが、これは単に各地域の問題ではないでしょう。このような事態は全国に波及する可能性があります。所謂中間層の崩壊によって客数の低下が発生しています。それとともに宿泊価格が低下しており、丸富ホテルなどは4,000円からという、「価格崩壊」というと聞こえが良いのかもしれませんが、要するに崩壊した価格で販売していた様です。

これによって所謂「老舗」などの「格」を維持することが困難になる、てゆーかそういう「格」というのはつまるところコストがかかる営業体制な訳ですが、そういうところから順に潰れていかなければならないことになります。そこでホテル業は生き残るために極力コストを抑制しつつ、需要に見合う程度に供給が減少するまで、つまり他所が潰れるまで我慢して待つ、という持久戦の様相を呈することになるでしょう。

この過程で労働者の待遇も厳しいものにならざるを得ません。いわば「ブラック化」が避けられない状況です。もとよりホテル業は労働者はビンボー人、お客さまは富裕層という現場であり、牛丼屋さんやコンビニのような、顧客と従業員が何時でも代替可能な業種ではありません。そこには絶対的な非対称性が存在します。しかし現在の状況では、ホテル業における「階級接触」という危険を孕んだ要素がより先鋭化することが予想されるのです。

もちろん明日からホテルのフロントカウンターを挟んで客と従業員が殴り合いを演じるというわけではありません。それはそれで面白いかもしれませんが、世の中は意外と真面目なものです。しかし例えば弁護士の安田好弘さんによれば「貧困と富裕、安定と不安定、山手と下町。凄惨な犯罪は境界で起きることが多い」のです。ホテルはまさにその「境界」であるといって良いでしょう。

例えばそれは最初は「境界」のこっち側で、ビンボー人同士の間で起きるかも知れませんし、軽い前兆は起きているのかもしれません。それはパワハラとかセクハラとかの形式をとる職場の問題であったりもするでしょう。労働者における離婚の多発、というような家庭の問題として現れる可能性もあります。それが成熟して「凄惨な犯罪」として突如として現れる、ということがありそうです。

しかる後に、「凄惨な犯罪」が「境界」を越境して敢行されることになるでしょう。そうなるとホテル泊まりもなかなか勇気の要ることになって参ります。少なくとも子どもを連れて行く様なところではあり得ません。常時危険と隣り合わせで一刻の猶予もならず、ビンボー人に騙されて「寛いで」いたりすれば寝首をかかれかねないのです。もっとも、せめてもの慰めは「犯罪」においてはビンボー人が圧倒的にイニシャティヴを取る、ということですが。


posted by 珍風 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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