2008年06月28日

ポップでキッチュでエッチなカルト

ところで「全国犯罪被害者の会」は、その「通称」を「あすの会」というんだと決めてあります。僕はこう見えても親切なほうですから、今度からは会の意思を尊重してそう呼んであげることにしたいと思います。もっとも意味はよくわかりませんが。「30過ぎたら」の「あかね会」と関係があるのかも知れません。

そこで「あすの」な人々による「あすの文」の最新サンプルを読んでみましょう。さすがは「エリート遺族」だけあってその様式は華麗にして幽玄であります。

【朝日新聞社に公開質問状提出】
2008年6月25日
朝日新聞社
代表取締役社長 秋山耿太郎 様 
 全国犯罪被害者の会(あすの会)
代表幹事  岡  村   勲 
【 抗議および質問 】
平成20年6月18日付け貴社夕刊に「永世死刑執行人 鳩山法相。「自信と責任」に胸を張り、2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神。」という素粒子欄記事(以下「本記事」という)を見て驚愕しました。

永世死刑執行人、死に神の正確な意味は分かりませんが、少なくとも良い意味では使われてはいません。本記事は、法務大臣だけでなく、死刑求刑した検察官、死刑判決した裁判官、執行に関与した関係者等すべてを侮辱するものと言わざるを得ません。

特に衝撃を受けたのは犯罪被害者遺族です。
確定死刑囚の一日も早い死刑執行を待ち望んできた犯罪被害者遺族は、法務大臣と同様に永世死刑執行人、死に神ということになってしまいます。

犯罪被害者遺族は、これまで数多くの二次被害,三次被害を受けてきましたが、今回ほど侮辱的で、感情を逆撫でされる苦痛を受けたのは初めてです。

また本記事は、犯罪被害者遺族が、死刑を望むことすら悪いことだというメッセージを国民に与えかねません。

死刑判決が確定した死刑囚に対して、法務大臣が原則として6ヶ月以内に死刑を命じなければならないことは、刑事訴訟法475条に定められており、鳩山法務大臣は、法律に従って粛々と死刑執行を命じたに過ぎないのです。

本来法治国家とは、法律が制定されるだけでなく、それが執行されてはじめて意味を持つものですが、法を執行する法務大臣を非難することは、法治国家を否定することにもなります。

本記事が掲載された後、多くの非難抗議を受けた貴社は、「鳩山氏や関係者を中傷する意図はなかった、法相のご苦労や被害者遺族の思いは、十分承知している」など弁明されましたが、本当に分かっておれば、このような侮辱的な言葉は使用できないはずです。

「風刺はつくづく難しいと思う」ともありましたが、死刑という厳粛な問題を風刺の対象にすることも、不穏当ではありませんか。

そこで、次のとおり公開の質問をいたしますので、1週間以内に全国犯罪被害者の会(あすの会)宛にご回答を頂きたく、お願いいたします。

【 質問事項 】
1.永世死刑執行人、死に神の意味を明らかにしてください。この言葉に、犯罪被害者は塗炭の苦しみを味あわされているのです。
2.本記事が、死刑を求める犯罪被害者遺族にどんな気持を起こさせるか考えなかったのですか。考えたとすれば、どうして本記事を書かれたのですか。
3.本記事後、貴社は「法務大臣や関係者を中傷する意図は全くありません」とのコメントを発表していますが、意図はどうであれ、「永世死刑執行人、またの名、死に神」との記載は、法務大臣に対する侮辱中傷になると思いませんか。
4.6月21日の素粒子「それでも死刑執行の数の多さをチクリと刺したつもりです」とありますが、法務大臣の死刑執行の数がどうして問題になるのでしょうか。

以 上 


どこが「加齢にして有限」なのかよくわかりませんが、一種の、まあスタイルではあります。きわめて大衆的でおそらく低俗なこういう様式を「あすのポップ」と呼ぶことにしましょう。

なんでものっけからイキナリ「驚愕」してしまうのですからこっちの方がビックリです。ここでは「驚愕」はそのための手順を踏んで提示されるものではありません。最初から「驚愕」しなければ気が済まないのであって、これは「ホラー」でも「ショッカー」でもなく、「お化け屋敷」の趣向であると思われます。とても「ポップ」で「キッチュ」です。

「あすの文」は「驚愕」に始まり、全体が「驚愕」に支配されます。そこで物事の「正確な意味は分かりません」と断言して憚りません。何だか知らないけどとにかくビックリすることが肝心で、激しい情動は「意味」などというものの認識を不可能にしてしまうのです。

ところで「永世」は将棋で顕著な活躍のあった棋士に与えられる称号であり、ここでは鳩山法相の死刑執行における顕著な活躍を讃えたものです。また「死に神」は最高神の次に位置する高位の神であり、大きな鎌を持っていますが、あれは農耕と関係があります。そこでは作物の「死」は新しい生の「種」をもたらすのです。ちなみに、どうでもいいことですが、「プライバシーマーク」は鎌を持った「死神」に似ています。
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その意味ではそれらの言葉は「良い意味」を持っているのですから、「すべてを侮辱するもの」と考えるのはビックリしたあまりに度を失い、恐怖のあまり周囲が悪意に満ちた危険なものに見えてくるのと同様です。まさに「お化け屋敷」であり、そこでは人為的な「驚愕」のための様々なトリックに曝露されるうちに、人を脅かすために幽霊の格好をして立っている係員を見ても「あれが本当にアブナイ奴だったらどうしよう」などと馬鹿げた心配をし始めるものです。

「あすの」の人々はこの「お化け屋敷」から抜けられなくなっています。「あすの」の人々は「驚愕」に支配されて「意味」のない世界に入り込んだ挙げ句自分と他人の区別がつかなくなりました。自分たちも法相と同様だと言い始めるのです。なぜなら「永世死刑執行人、死に神」の「意味」が判然としない以上、「法相」以外のありとあらゆるものが「永世死刑執行人、死に神」である可能性があるからです。あんぱんや時計台も「永世死刑執行人、死に神」であり、「犯罪被害者遺族」もまた「永世死刑執行人、死に神」なのです。まさに主客一体となった幽玄な境地というべきでしょう。

ところが「あすの」の人々は必ずしもこの境地に安住することを望むわけではなく、てゆうかこれが気に入らないようです。なぜならこれは「感情を逆撫でされる苦痛」に満ちたものだったからです。さっきからまともに「意味」も分からないくせにやたらと「侮辱」だの「衝撃」だの「塗炭の苦しみ」だのと「気持」ばっかりの「感情的」なことばかり書いているのですが、これがどうも「あすのポップ」の特徴なのでしょう。豊かな感情表現が眼目であり、そしてそれだけのものです。普通の文体だと「何だか分からんけど悪口言ってやがる畜生ドタマに来た」という品格ある表現になるところです。

「国民」に悪口が浸透することを心配した後は、一転あたかも論理的な文章が続くかと思いきや、残念ながらそうはいきません。行政を批判することは「法治国家を否定すること」になるんだそうです。もっともここで問題になっているのは行政によって執行される「法」そのものなのではないでしょうか。いずれにしても「あすの会」によれば「法」への批判は許されるべきではないということになります。これこそ「驚愕」すべきところですが、これは「国家」の絶対性に帰依する信仰告白に他なりません。

これは通常「国家主義」と呼ばれる思想、「権威主義」呼ばれる態度に類似していますが、やたらと「感情的」になって外部からの批判を許さない態度において宗教的な「カルト」に類似しています。例えばこの会の「信者」の偏狭さ、視野の狭さはつぎの「驚愕」すべき主張にも見て取れます。

死刑という厳粛な問題を風刺の対象にすることも、不穏当ではありませんか。


「風刺」というものは本来「厳粛な問題」を対象にしており、そもそも「不穏当」なものなのですから、驚くべきことにこの主張は全く間違っていないのです。死刑を題材にしたジョークの歴史は古く、次に掲げる沙翁のものは古典的なもののひとつです。

第一の道化「石屋や大工より、もっと頑丈なものをこしらえる商売はなんだか言ってみな」
第二の道化「首吊り台をつくるやつだ。そうじゃねえか、これなら店子が千人変わってもびくともしないからな」

シェークスピア 『ハムレット』第5幕1場


全然面白くありません。ドイツ語に「ガルゲンフモール(Galgenhumor)」という語があり、「引かれ者の小唄」と訳されていますが、「ガルゲン」とは「絞首台」のこと。もちろん死刑には別の方法もあります。

ある時、死刑の執行が行われることとなった。
ギロチン台の前に連れて来られたのは、ユダヤ人牧師、アメリカ人弁護士、日本人技術者だった。
ユダヤ人牧師が処刑台の前に立つと、死刑執行人が言った。
「仰向けがいいかね?それとも、うつぶせかね?」
ユダヤ人牧師が答えた。
「仰向けにしてください。神を見上げることができるから」
死刑執行人はレバーを引いたが、ギロチンの刃は牧師の喉仏の直前で止まってしまった。
「おぉ神よ、これも神の御力である」
牧師はそう叫んだ。執行人も
「これは奇跡である」
驚き、死刑執行は中止となった。

続いてアメリカ人弁護士にも執行人は同じ質問をした。
「仰向けがいいかね?それとも、うつぶせかね?」
弁護士は答えた。
「先例を破ることはできない。仰向けにしてくれ」
執行人は再びレバーを引いた。が再び、刃は喉仏の直前で止まったのだった。弁護士への執行も中止になった。

最後に日本人技術者の番になった。同じように、
「仰向けがいいかね?それとも、うつぶせかね?」
と問うと、日本人は、
「仰向けにしてくれ。メカを見たいから」
と答えた。
そしていよいよ執行人がレバーを引こうとしたその瞬間、日本人が叫んだ。
「ちょっと待ってくれ!どこに問題があるのか分かったぞ!」
日本人はそう言うと、あっという間に巧みな修理を施したのだった。執行人は、
「そうかい、どうもありがとうよ」
とお礼を言い、無事に刑は執行されたのだった

世界の日本人ジョーク集(早坂 隆)


ネット時代のガルゲンフモールはひと味違います。

死刑囚が「辞世のジョーク」をネットで募集中

2人を殺害した罪で死刑判決を受け、米テキサス州で死刑執行を待つ死刑囚が、インターネット上で「ジョーク・コンテスト」を開催している。優勝作品は、6月26日の死刑執行の際、最期の言葉として残されるという。

 パトリック・ナイト(Patrick Knight)死刑囚(39)は15日、獄中でCNNの取材に応じ、「人生最期の日々を楽しみたいんだ。コンテストを開いていることを宣伝してほしい。僕やほかの死刑囚が(死刑執行までを)笑って過ごせるよう最高のジョークを応募してほしいんだ」と語った。

 ナイト死刑囚は近所に住む2人を殺害した罪で1991年に死刑判決を受け、その後の16年間をテキサス州の死刑囚監房で過ごしている。死刑が復活した1976年以来、同州での死刑執行数は全米の執行数の3分の1以上を占めている。

 リラックスしてジョークを飛ばしていたナイト死刑囚も、死刑囚監房でユーモアが必要な理由を問われると真剣に説明した。
「僕は違うけれど、死刑囚監房には無実の人間もいる。彼らにはジョークが必要だ。緊張を和らげるものがね」

 一方、「死は僕に科せられた罰だ。僕はそれを受け入れている。死刑は確定している。それなら笑って死にたい」と、自分の死については落ち着いた様子で語った。

 ジョーク・コンテストのアイデアは、死刑廃止擁護者のシスター・ヘレン・プレジャン(Helen Prejean)の実話を基にした小説『デッドマン・ウォーキング(Dead Man Walking)』から着想を得たという。同小説はハリウッドで映画化され、ショーン・ペン(Sean Penn)、スーザン・サランドン (Susan Sarandon)らが出演した。このことから、ナイト死刑囚はウェブサイトのタイトルを「デッドマン・ラーフィング(Dead Man Laughing)」にしたという。

 ナイト死刑囚は死刑執行当日、優勝作品を最期の言葉として大きな声で読み上げると約束している。

2007年6月16日 AFP


これのどこが面白いか。「死刑囚監房には無実の人間もいる。彼らにはジョークが必要だ」というところ。無実の死刑囚に与えることが出来るものが「ジョーク」でしかないという、死刑制度への絶望の深さにおいてナイトさんは優れた風刺家であり得ました。

ナイトさんの死刑はこの10日後、6月の26日に執行されましたが、結局「ジョーク」は言わず、その代わりに「死は僕を自由にしてくれる。それは最高のジョークだ。そして僕はその最高のジョークに値する」などと言ったそうです。ちっとも面白くありません。このつまらなさこそ死に値するというべきでしょう。

ところで「あすの会」は、おそらく「明日の会」、および「usの会」、それにもしかして「assの会」、ことによると「As」すなわち「A#」つまり「嬰イ音の会」などの色々な意味をかけてあるものと思われます。「As」は「ヒ素」の元素記号でもあります。「お尻」はともかくとしてなんでこんなところでAが半音上がらないといけないのか、「意味」がわかりません。

440HzのAは世の中の基準になっている音なんだそうですが、とりあえずお昼の時報はこの音です。これが半音上がるためには、半音は1オクターヴの12分の1ですから、午後1時までの1時間の事象が「55分の間に済ませる」ように加速すれば良いことになります。そうすると1時の時報はA♯になっているはずです。これを1日中やっていると2時間余ります。この余った時間に何をすれば良いでしょうか。この今日でも「明日」でもない時間に、「我々」は女の子の「お尻」に「ヒ素」を突っ込むのに決まっています。この場合ヒ素はサルバルサンのことですから、人のためになることなのです。

じゃなくて、EからAsへの増4度の不協和音程、このキモい跳躍音形は「音楽の悪魔」といわれる「三全音」と一致しますが、これがバロック音楽では他ならぬ「死」を象徴することになっているからでしょう。さすが「被害者」界のエリート集団です。なかなかムズカしいことを考えているようです。

128_22.JPG
僕だってなにをかくそう「アスの会」、頭隠して尻隠さず。


posted by 珍風 at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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