2008年07月06日

TOYOTAで走ろう危機経路

日本では16分に1人が自殺しています。2007年の自殺は33,093人。2006年対比2.9%の増であり、増加傾向に転じています。1日あたり90.7人、サミットとやらを3日もやっている間に272人が自殺します。これが少しでも増えればサミットを開催した甲斐があるというものです。紀尾井町辺りで美味いものを喰っている間にも5〜6人は死んでいると思えば料理の味もまた格別なものがあるでしょう。

もっとも僕はそんなもの喰った事ないのでよくわかりません。しかし「自殺」の方なら何とかなるかも知れません。それでその実際の味わいをを調査した人たちがいますので、せめてそっちの方を参考にしたいと思います。

自殺の実態、初の白書=9万7000人を地域別分析−「危機要因」平均4つ

 自殺問題に取り組む民間非営利団体(NPO)や精神科医、経済学者らによる民間の「自殺実態解析プロジェクトチーム」は4日、自殺に至る過程や社会的要因などに関する初の「自殺実態白書」をまとめ、岸田文雄内閣府特命担当相に提出した。警察庁の自殺統計原票を基に、約9万7000人を地域別に解析。自治体の対策などに役立ててほしいとしている。
 白書の第一部はNPOライフリンクなどが行っている「自殺実態1000人調査」から、これまでに調査を終えた305人分を分析。自殺の「危機要因」はうつ病や家族の不和など68項目に及び、1人平均4つを抱えていた。

2008年7月4日時事


「白書」の第一章は305人の自殺者について遺族に面接による聞き取り調査を行なった結果を基に「自殺実態解析プロジェクトチーム」が「自殺の危機要因」を認定してます。

それによれば要因の不明な16人を除く289人について分析した結果、調査対象のうち7割が10の要因に集中しており、これを「自殺の10大危機要因」としています。

  1、うつ病
  2、家族の不和(親子、夫婦、その他、離婚の悩み)
  3、負債(多重債務、連帯保証債務、住宅ローン、その他)
  4、身体疾患(腰痛、その他)
  5、生活苦(将来生活への不安を含む)
  6、職場の人間関係(職場のいじめを含む)
  7、職場環境の変化(配置転換、昇進、降格、転職)
  8、失業(就職失敗を含む)
  9、事業不振(倒産を含む)
 10、過労

ここで「うつ病」とか「過労」といのは、あくまで遺族への聞き取りをもとに精神科医や弁護士が判定したものですが、自殺とうつ病の関連については既によく言われているところです。重要だと思われるのは、うつ病が自殺の要因だとかいうことではなく、諸要因の連鎖、すなわち「自殺の危機経路」のモデルを提出した点でしょう。極めて大雑把に言えば、色々な「要因」が「うつ病」の原因となっており、そして「うつ病」が最終的に「自殺」の直接の引金になるということです。

「白書」ではこれを3段階に分けて考え、「危機の進行段階」としています。この場合、ある「要因A」においてそれに含まれている別の「要因B」が1つあるときに「要因A」の「複合度」を「1」とします。すなわち「複合度」が「0」である「要因」が出発点となる最初の危機です。ちなみに「自殺」そのものの「複合度」は平均で「5」です。つまり自殺者は4つの「危機要因」を有しています。

 1、自殺のきっかけとなる最初の危機要因が発生した段階
    複合度1点要因 事業不振 職場環境の変化 過労
 2、最初の危機要因から問題が連鎖を起こし始めた段階
    複合度2点要因 身体疾患 職場の人間関係 失業 負債
 3、危機要因の連鎖が複合的に起こり事態が深刻化した段階
    複合度3点要因 家族の不和 生活苦 うつ病

このうち2段階目もしくは3段階目において、前段階の「危機」の直接の結果として生ずる「危機」の他に、別の「危機」が誘発されて更に問題を深刻にするようです。したがって「段階」は「3」ですが、要因は「4」になっています。

例えば、雇用されている人が配置転換という「職場環境の変化」を被るとします。これが第1段階なのです。その結果「過労」に陥ることがあり得ます。これは第2段階ですが、同時に「職場の人間環境」の悪化という「要因」が新たに発生してきたりします。すると第3段階で「うつ病」に陥り、この4つ目の「危機要因」が直接に自殺へと至ります。

もっとも、職場でのいじめという「要因」から直接に「うつ病」にいたり、自殺に繋がっていくような例では「要因」は2つですし、逆に「失業」して「再就職に失敗」、仕方がないので自営になったら「事業不振」、「多重債務」をかかえて「生活苦」、そして自殺に至る人もいます。多い人ではなんと10もの「要因」を持っていた例もあるそうです。まさに壮絶な人生というべきでしょう。

これによって「うつ病」は「自殺の原因」の王座を追われる事になります。それは結果に過ぎないのであり、掘り下げると別の「要因」が見えてきます。また同時に、「危機の連鎖」の第1段階での対応が課題となってきますが、第1段階での「要因」は、それだけを取り出してみれば「よくあること」でしかありません。「頑張ろうよ」などという対応で済ませてしまう事が多いと思われます。しかしそのような普通の不幸がある場合には自殺に繋がっていくものであるとすれば、有効な「自殺対策」は一般的な社会政策と別のものではありえません。つまり「自殺対策」とはひとつの欺瞞なのです。

第二章では警察庁の「自殺統計原票」を用いて、2004年から2006年のにおける警察署別の自殺の特性を見ています。この期間の自殺者の総数は97,032人ですが、これを自殺の発生した場所を所轄する警察署別に100位までを示しています。

次に「自殺の原因・動機(大分類)」は下記に分類されます。多い順に、

 1、経済・生活問題
 2、病苦等
 3、その他
 4、家庭問題
 5、勤務問題
 6、男女問題
 7、不詳
 8、学校問題

警察庁によって「原因・動機」が把握されているもののうち、上記の8項目に当てはまる者の数は31,089人です。「白書」では、このうち「経済・生活問題」と「病苦等」について、警察署別に上位50位までを示しています。これは「原因・動機」のうちおよそ6割を占めます。仮にこれを「主要2動機」とします。

そして自殺者を職業別に分けると、多い順に

 1、無職者
 2、被雇用者
 3、自営者

までで9割以上を占める事になります。これについても上位50位までが表になっています。

それで、自殺の多い警察署について自殺者の「原因・動機」および「職業」がどうなっているかをみると、地域特性というものが分かるようです。例えば総数で上位10位までの警察署管内における「原因・動機」および「職業」の順位は次のようです。

1、山梨富士吉田
 「経済・生活問題」で16位、
 「病苦等」でランク外
 「無職者」33位
 「被雇用者」2位
 「自営者」23位
 
2、福岡早良
 「経済・生活問題」4位
 「病苦等」3位
 「無職者」1位
 「被雇用者」13位
 「自営者」1位

3、青森青森
 「経済・生活問題」1位
 「病苦等」8位
 「無職者」2位
 「被雇用者」7位
 「自営者」7位

4、福岡筑紫野
 「経済・生活問題」2位
 「病苦等」6位
 「無職者」8位
 「被雇用者」3位
 「自営者」4位

5、茨城水戸
 「経済・生活問題」32位
 「病苦等」17位
 「無職者」3位
 「被雇用者」8位
 「自営者」14位

6、愛知豊田
 「経済・生活問題」ランク外
 「病苦等」50位
 「無職者」12位
 「被雇用者」1位
 「自営者」ランク外

7、北海道北
 「経済・生活問題」5位
 「病苦等」17位
 「無職者」29位
 「被雇用者」5位
 「自営者」7位

8、青森八戸
 「経済・生活問題」11位
 「病苦等」ランク外
 「無職者」4位
 「被雇用者」13位
 「自営者」23位
 ※雇用の少ない事による経済的破綻

9、北海道函館中央
 「経済・生活問題」3位
 「病苦等」ランク外
 「無職者」5位
 「被雇用者」13位
 「自営者」7位

10、大阪枚方
 「経済・生活問題」12位
 「病苦等」11位
 「無職者」9位
 「被雇用者」13位
 「自営者」17位

例えば、「山梨富士吉田」というのはつまり樹海という名所のあるところですから、総数が多いのは当然です。名物に美味いものなく名産が偽装品である昨今ですが、これだけは確かな信頼に支えられているようです。その多くは管轄地域外からの流入自殺者であって、ビンボー人や病人はここまで来れませんから「無職者」や「病苦」のある人は少ないのです。この管内は広域にわたる「被雇用者」の自殺の博物館です。そして「動機・原因」として「経済・生活問題」があまり高くないことから、「被雇用者」においては「主要2動機」以外のものの貢献度が高いものと考えられます。

「被雇用者」の自殺の典型が「愛知豊田」です。この管内では「被雇用者」以外が極端に少なく、特に「自営者」の少なさが目を引きます。そもそもここは母集団としての地域住民が特定企業の「被雇用者」に偏っているのではないか。つまりこれはトヨタ自動車の従業員の自殺がほぼそのまま反映している可能性が高いようです。なるほど「餓死」や「凍死」はしていません。「自殺」しているのです。そしてその「動機・原因」はやはり「主要2動機」ではありません。

「茨城水戸」では「動機・原因」が「主要2動機」以外である点で「被雇用者」自殺に似たパタンを示しますが、「職業別」では「無職者」の人が多いのが特徴です。「病苦等」によるものが比較的多いといって良いのかもしれない。ということは高齢者の自殺が多いということでしょうか。

「福岡筑紫野」と「北海道北」は「被雇用者」が「経済・生活問題」で自殺する例です。「福岡早良」と「北海道函館中央」では「自営者」または「無職者」(これは失敗した「自営者」の成れの果てをふくむのではないか?)の自殺が多く、「青森青森」と「大阪枚方」では「無職者」の人が食い詰めて死にます。これは地方経済の悪化によって経済的に破綻したということでしょう。「主要2動機」のうち「病苦等」の上位は全国にまんべんなく広がっていますが、「経済・生活問題」は(千葉柏を除き)北海道・東北や九州に偏っているのです。

この「白書」では年齢別の自殺数が示されていないので「無職者」が「失業者」なのか「高齢者」なのかわかりません。しかし自殺率を年齢別にみると年齢が上がるほど自殺率が上昇しているのであって、自殺者のうち最も多い群は「引退」して「無職」な「高齢者」なのです。ところが厚生労働省の調査によれば2003年には50代の男性において自殺率のピークが見られるのであり、これはかなり特異な事態として近年の自殺の特徴のようなものですが、この人たちが「失業者」である可能性は高く、そうなると同じ「無職者」でも意味が違ってくるはずです。

また、「主要2動機」も自殺者の多くが「無職者」であることから、専ら「無職者」の事情を反映したものです。ところが場所によっては「被雇用者」の自殺が多く、上記の自殺総数上位10位の中でも半分が「被雇用者」自殺上位10位と重なりますから、「被雇用者」の貢献度も馬鹿になりません。ところが「被雇用者」の年齢層の人は働き盛りでヤリ盛り、家庭の事情と餓鬼の都合にも振り回されています。「原因・動機」についても主要な2つ以外の「家庭問題」「勤務問題」「男女問題」別の自殺者数を示すことによってその実態を明らかにすべきところです。

第三章ではおそらくそのような事も含めて社会的背景、つまり自殺率と他の社会指標との関係が論じられています。要するにそれは失業、倒産、破産などの経済状況の悪化と自殺率の相関、離婚率、アルコール消費量、犯罪率との高い相関といったことです。OECD諸国との比較においても、1人あたりGDPと高自殺率の負の相関、低経済成長率との相関、高失業率との相関、女性の就業率との相関(日本では「女性の就業」が「失業した夫にかわって生計を支えるパート妻」「夫の稼ぎが少ないからパート」であることがあり、女性の就業率が高い事は経済的に困窮した世帯の増加を示すかもしれない)、高出生率との負の相関、高離婚率、高アルコール消費量との相関、ジニ係数との相関が示されます。日本では自殺が「数量化出来る社会経済変数群」つまり「経済的要因」によって起こっている可能性が高いということです。

社会的に見れば自殺は「ビンボー」の表れのひとつでしかありません。この「ビンボー」といういい加減な言葉をどのように解釈するかによって様々な問題が出てくるようですが、要するにそれは「ビンボー」の一種なのであり、その意味では「犯罪被害者遺族」も「ビンボー」仲間であるはずです。それらは単に「目立つ結果」であるというだけの事であって、ことさらに個別に扱うことで問題がはぐらかされてしまいます。「犯罪被害者遺族」は「死刑おねだりカルト」になってしまいますし、「自殺」は「人格」問題や「うつ病」の問題にされてしまうのです。この「白書」は「うつ病」と「経済的要因」との関係を明らかにしようとする点で意味のあるものです。

ところで第四章では「自殺者遺族」という「ビンボー」のもうひとつのカテゴリーが出現します。ここでは「遺族の範囲」は「配偶者、兄弟姉妹、両親、子供」の4者です。「白書」は遺族の数を推計する事から始めて、「自死遺族数に対する自殺数の係数」、すなわち自殺1人につき平均的に発生する遺族の数として「4.72」を導きだします。

「自殺者遺族」は現在のところはっきりした勢力をなしていません。現在その数は200万人と推計されているわけですが、「遺族のつどい」などに参加している人は少ないのです。「白書」では遺族に対する聞き取り調査の結果として遺族のおかれた状況の例を示すのみですが、やはり経済状況は厳しいものがあります。世帯の主な収入源を失った場合、年を経るごとに「家計の悩み」を訴える人が増加するのですが、これも女性労働者が置かれている一般的な問題の一部なのです。むしろ自殺者の遺族は自殺に対する偏見に苦しんでもいるのです。

自殺した夫の両親から「うつ病になったのは、あなたと結婚したからだ。あなたが責め立てて自殺に追いやった」「この結婚はそもそも反対だった」「一緒に住んでいて何で気づかなかったんだ。少しでも様子がおかしいと思ったら、病院に連れていけばよかっただろう」といわれる人、親戚から「あなたのせい。あなたがついているのに、なぜ」「借金がふってかかってきたらどうするんだ」と責められる人、残された妻の親から「こんな汚い血と結婚させたくなかった」と言われたのは自殺した人のお姉さんですし、葬式をあげていると近所の人が「自殺なのにおおっぴらに葬式をあげて……」と聞こえよがしに非難するのです。

このような「偏見」が、自殺をそれ自体として何か特別に取り上げさせると同時に「個人の罪」として隠蔽してしまいます。ことさらに「自殺サイト」などという些末な事象を取り上げて騒ぎたがるのもこのような偏見を助長するためでしょう。それにしても酷いことを言う人もいたものです。「家族」や「地域」は行政が必要な手を差し伸べずに不必要なところに手を出すときの決まり文句ですが、なるほどたしかに後者の要請には応えているといっても良いようですが、これではいない方がマシなくらいです。しかし親戚などというものは金を借りにいくと断るくせに平気で借りにくる人たちですから、だいたいにおいてこういうものです。もっとも中には良い人もいて、そういう時にも目線で慰められるものですが、そういう人に限ってビンボーですから腹の足しにはなりません。まして姻族などというものは主要な敵です。近所の人にも色んな人がいますが、わざわざこっちに来て何かを言おうという人は往々にして人でなしであるか、宗教や健康食、なかでも「ナントカ還元水」を広めに来るのです。あれは危険です。不審な転落死とアヤシイ自殺が起こります。


posted by 珍風 at 07:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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