2008年07月24日

「動機」を我等に

なんか「通り魔」と「地震」が順繰りに来ますな。大日本は「震国」也。

八王子殺傷事件、「社会的背景の調査を」=福田首相

 福田康夫首相は23日夜、東京都八王子市で女性2人が死傷した事件について、首相官邸で記者団に「社会的な背景が何かあるのか、よく調べなければいけない」と述べ、原因などを調査する必要があるとの考えを示した。
 首相は「安心できない世の中になりつつあるのかなと心配している。深刻な問題であり、対応をしっかりしていかなければいけない」と語った。

2008年7月23日 時事


「安心できない世の中」にしたのはどこの誰だか存じませんが、この人の基本は「暢気」なのでいつも同じことを言うね。秋葉原のとき、先月の9日にも同様の発言が見られます。

政府、ナイフ規制を検討 首相、社会的背景調査を指示 

 町村官房長官は9日、東京・秋葉原の無差別殺傷事件の犯行に殺傷力が高いナイフが使われたことを受け、銃刀法の規制強化の在り方を検討する必要があるとの認識を示した。福田首相は泉信也国家公安委員長と会い「社会的背景を含めて、しっかり調べ、対応してほしい」と指示した。この後政府与党連絡会議で首相は「背景の究明が大事」と強調。公明党の太田代表は「国民に不安が広がらないように」と求めた。

2008年6月9日 共同


お気楽そうで何より。ところで八王子の菅野さんは「派遣」ではないそうです。正確に言うと現在の身分は「会社員」であるようです。雇用形態は不明ですが、おそらく有期契約でしょう。ある程度「アルバイト」の身分で様子を見てから「正社員」として雇用する現場が多いです。現在所属する板金加工会社では5月8日から勤務を開始したものの、15日には作業台に右手を挟んで指を3本骨折して入院してしまいました。

病院の方は6月に退院できましたが、まだ仕事はできないので休んでいたところですが、17日には会社に出向いて社長と面談しています。その時点で労災の手続中であったようです。労災は申請してから給付の決定まで3ヶ月くらいかかることが多いのですが、その間無収入で治療費だけ出て行くかたちになるので困ります。会社としてはその間を有給休暇としてしまって給料を出すとか、休業補償を行なうということがあります。

会社によって異なりますが、有給休暇はある程度(通常6ヶ月)勤務実績がないとダメですし、休業補償も同様である場合もあります。菅野さんのお勤めの会社の場合は休業補償があったということですが、17日にその支払い方法について話し合っていたとのことですから、要するに2ヶ月以上無収入で医療費だけ払っていたわけです。そのお金はどうしたんだろうと思わざるを得ません。

こういう場合、社会保険に入っていなかったら急いで入れてしまって、本当はイケナイんですが緊急避難的に私傷病として社保で治療して、そうするとたいていの場合健保組合が疑念を抱いて支払いをストップしてその旨を連絡して来ますので、その時点までに休業補償を出すようにしておいてから労災扱いに切り替える、という乱暴なことをする人もいるかも知れません。困ったものですが、たとえ「正社員」であっても採用後直ちに社保の手続をとらない会社が多い一方、採用されてから間もない、作業に不慣れな時期の労働災害は多いのですから、事務所の女の子が自転車でヒーコラ駆け回る、ということも珍しいことではないのです。

菅野さんが陥っていたのはこのようなよくある、しかし不運な落し穴なのです。ところが菅野さんは今のところに勤めるまではそれこそ「派遣」で様々な現場を転々として来たのであり、その経験から、今回の怪我によってまたもや雇用関係に危機が訪れたと考えたとしても不思議はありません。これには今の板金加工会社がちゃんとしていてもどうしようもない部分があります。菅野さんはもうかなり長い間、酷い現場を渡って来ているのでした。そこでは怪我=クビであって、それは直ちに自分の「将来の人生」つうか将来の生存そのものを脅かすのです。事実、菅野さんは「契約社員から正社員になる話が、事故でけがをしたのでなくなってしまった」と親類に話していたようです。

ところでこの「事件」の「動機」について、こんなことが言われ始めています。

最近の通り魔事件意識=「刃物で簡単に殺せる」−八王子殺傷で菅野容疑者

 女性2人が死傷した東京都八王子市の京王八王子駅ビル殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された会社員菅野昭一容疑者(33)が警視庁捜査1課と八王子署の調べに「大きな事件を起こして両親を困らせようと思った。最近、あちこちで通り魔事件が起きていて、刃物なら簡単に殺せると考えた」と供述していることが24日、分かった。

2008年7月24日 時事


「両親を困らせようと思った」というのは、最近ではこの間のバスジャックで出て来た言葉です。なるほど確かに誰かが「事件」を起こすと、マスゴミなどはその「犯人」の「親」をいじめます。「親いじめ」の歴史は古く、あさま山荘に立て篭る人たちの親を警察が駆り出して「説得」に当たらせたり、自殺に追い込んだしたのはよく知られているところです。最近でも加藤君のお母さんの姿などはかなり可哀想なものでしたが、そういうヒドイことをすることによって、「犯罪の抑止」に資するとでも思っていたのでしょうか。

その意味では「親いじめ」を「動機」に取り込んだバスジャック事件は、これを逆手に取って「犯罪」が「勝利」した瞬間かと思ったものですが、警察ではこれに対して早期に手を打ったもののようです。同じ「動機」が、今度は「社会的背景」を隠蔽して家族内の葛藤の物語に押し込めるために利用されました。

ちなみにこの事件は、厚生労働省の「労働経済白書」が発表された直後でありました。そこでは非正規雇用の拡大や成果主義賃金制度が生産性を低下させているから見直す必要があるとか何とかヌカしておったようですが、今後そうするんならそうした方が良いでしょう。しかし今まで切り捨てて来た連中にはどう責任を取るのか。同白書で「年長フリーター」と呼んでいる非正規雇用者の年齢的上限(34歳)ギリギリの菅野さんの包丁は、やはり「社会」に向いていたといって良いでしょう。困ったことに自民党や公明党に投票しなかった人、当時選挙権がなかった人にも優待はありません。「誰でもよかった」のです。それが民主主義というものです。


posted by 珍風 at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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