2008年08月06日

「ケチ」スで「ロハ」スな最低賃金

どうして民主党が「ナチス」なのか、今ひとつよく分かりませんが、まあ、マエバリでもまた代表になったらあるいはそいういうことも考えても良いかも知れません。内閣総理大臣職に関して「期待に応える義務と責任はある。自分なりに覚悟はしている」というヒョットコ、まずは特異の曲がった発言で世間の風向きを伺ったというところでしょうか。とりあえず、敵を「ナチス」に例えるセンスは「ヨーロピア〜ン」。でも本場のヨーロピアンはそんな馬鹿なことは言わないようですから、髭男爵に弟子入りしてルネッサ〜ンスする必要があります。

一方その頃、いやその翌日ですが、最低賃金が最高の上げ幅だというからリッチやな〜と思ったら何のことはない。

最低賃金:15円上げ 生活保護と整合性−−中央審小委

 08年度の最低賃金引き上げの目安額を決める中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は5日、最低賃金(現行時給平均687円)の引き上げ目安額を全国平均で15円程度と決めた。今年7月、「生活保護との整合性に配慮する」とした改正最低賃金法が施行され、生活保護費との乖離(かいり)額を目安に加えたため、最低賃金は初めて700円を超えるとみられる。
 6日に開かれる中央最低賃金審議会で正式に目安が決まるが、10年ぶりの大幅引き上げとなった昨年度実績の14円を1円上回った。
 最低賃金の目安額は、都道府県をA〜Dの4ランクに分けて提示。Aランクは東京、大阪など大都市部で15円、埼玉や京都などのBランクは11円、北海道や宮城、福岡などCランクは10円、青森、沖縄などDランクは7円とした。【東海林智】

2008年8月5日 毎日新聞


やっと700円を超えるかどうかという、慎ましいにも程があるお話なのでした。687円に対して15円上がるっていっても、これは2%くらいなもんなんですよ。賃金も「エコ」で「ロハス」で「スローライフ」でございます。

NHKのお昼のニュースでは与謝野が「人を安く使おうという精神は、いい精神ではなく、賃金は市場価値で決まるとはわたしは思っていない。正当な労働に対する分配を受けてしかるべきであり、国として少なくてもこれだけは払わなければならないという考えが当然あってしかるべきだ。最低賃金が上がる答申を得たことは歓迎すべきことだ」などと、エラそーなことを言っていますが、だからといって人を高く使おうという見上げた精神を持ち合わせているわけではありません。

賃金が「市場価値」で決まってしまうのは問題があるのは勿論ですが、最低賃金に関しては「正当な労働に対する分配」という考え方も正しくありません。これは生計費によって決定される必要があるのであり、「生活保護費との乖離」をなくそうというのは、ひとつにはその意味です。生活保護費以下、すなわち生計費に満たない、生活できない賃金など「あり得ねー」のは当然です。

しかし与謝野さんは消費税をあと5%程上げたいようなのですから、これはつまり生計費があと5%上がるということになります。それならば最低賃金は少なくとも5%以上増やさなければ、実質的には減ることになります。与謝野さんは賃金の3%ダウンを「歓迎」しているようです。

実際には中央最低賃金審議会では生計費の算定を「県庁所在地」におけるものとすることを求め、更に物価上昇を勘定に入れて最低賃金を50円程度引き上げることを要求していたのですが、これで7%ちょっとですから、別段大した上昇ではありません。実質2%でしかないのです。しかし実際に出て来た結論は「人を安く使おう」という資本側の意向を最大限に尊重しつつ、「目くらまし」のつもりか昨年実績を1円だけ上回ってみせてその事をマスゴミに報道させる、という誰の為にもならないものでしかありません。

しかし日本の最低賃金はお話しにならないほど低く、実際には多くの人が地域別最低賃金を上回る賃金で働いていますから、これが上がったからといって誰かの賃金があがるというものではないのです。それどころか現状では、6月現金給与総額が0.6%減少している一方、同月の消費者物価指数は2%上がっていますから、実質的に購買力は2.6%の減少となっているのであって、消費者心理が冷え込んでいるというか生活逼迫感が高まっているというのが実際のところです。

賃金は国民一般の生活費であり、企業が給料として支出した賃金は即日消費に回ってどっかの会社の売上高になるものなのですが、政府としてこれに直接タッチすることが出来るのは最低賃金だけです。しかし現状の最低賃金のレベルは低く、ちょっとやそっと弄っても現金給与総額というような形で反映されませんから、何の効果ももたらしません。

そこで人事院が示すところによる全国平均の1人の生計費(1人世帯の標準生計費)の全国平均は1ヶ月に123,690円(2001年)なんだそうであります。最近の調査だとこれが下がっていたりするんですが、物価が上昇して来ましたので適当なところの数字をとっております。いい加減です。これに対して法定労働時間を1ヶ月に換算すると173時間くらいですから、単純に割ると715円。これが根拠のある最低賃金の数字です。今までより28円増やさないといけません。今度増やすことになった金額の倍近い数字になります。

更に非正規労働者が仕事にあぶれたにも関わらず生きていかなければならないことを考えなければなりません。例えば仮に稼動日数が正規雇用者の7割である場合には、年間労働時間は1456時間。年間生計費が単純に上記の12ヶ月分として計算すると1,484,280円。これは4月の生計費を12ヶ月に延ばしただけの雑駁な数字ですから、本来の年間生計費はもっとかかると思いますが、これを1456時間で稼がなければならないとすると、時給は1,019円必要です。

ところが株式会社インテリジェンスが沢山の求人広告を集めて来て集計したところによれば、6月のアルバイトの平均賃金は968円でしかありませんでした。
http://www.inte.co.jp/corporate/library/wage/20080728.html
これは求人広告1件あたりを「1」と数えた「平均」ですから、これより安い賃金で働いている人も多いわけですが、それでも有期契約で1年中仕事を続けられるわけでもないことを考えれば、アパートは契約更新料が払えないので路上に叩きだされるし、病気をするとそのまま死ぬのも当然のことです。

そこで最低賃金は全国平均で1000円以上であるか、全雇用者を正規雇用とした場合に715円である必要があります。それに満たない最低賃金の引き上げは貧困を解決できない一方では実際に最低賃金水準の給料しか払えないような「弱い」企業の経営を圧迫するので、何一つ良いことはない、ということになるでしょう。「10年ぶりの大幅引き上げとなった昨年度実績の14円を1円上回った」などという「目くらまし」で切り抜けようというのも、中々前途多難なようで大変です。


posted by 珍風 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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