2008年09月09日

名ばかりはばかり流れません

暑い日が続くとはいえ朝夕はやっとさわやかになって来た今日この頃、暦の上では今頃は「白露」といって、なんと霜が出来始めることになっています。いくら何でも霜はないだろう。相撲の話しじゃありませんよ。大麻くらいでガタガタ言いませんよ。天候の話しです。秋の気配が見えてくるという「立秋」というのは8月上旬の暑さ真っ盛りの頃。気配も毛の字も全然ありません。日本が「名ばかり」の国なのは、なにも「温暖化」のせいばかりではありません。

名ばかり管理職:小売店などで8割超 厚労省が適正化通達

 管理監督者扱いされ長時間労働を強いられながら残業代が支払われない「名ばかり管理職」問題で、厚生労働省は9日、コンビニエンスストアなどチェーン展開する小売店や、飲食店への指導監督結果を公表した。8割超の店の店長が管理監督者には当たらない「名ばかり店長」だった。厚労省は同日、小売店などを対象に管理者としての適正化を徹底する通達を出した。
 調査は今年4〜6月、過去に問題があった小売り、飲食業など全国の66店舗を対象に実施。このうち55店舗で管理監督者扱いの店長がおり、さらに、副店長や主任など33人も管理監督者扱いされていた。
 店長のうち、出退勤の自由や職務権限などがあり、管理監督者としての扱いに問題がなかったのは10人。残りの45人は、給与を時給換算するとアルバイトより低かったり、わずかな遅刻や早退で減給処分されるなど管理監督者の要件を満たしておらず、「名ばかり店長」だった。店長以外の33人も全員、「名ばかり管理職」だった。パート労働者が管理監督者扱いされたり、1店舗に4人の管理監督者がいるなど悪質な例もあった。
 残りの11店は、名ばかり管理職が社会問題化したことを受け、管理監督者の範囲の見直しを実施したものとみられる。
 厚労省が9日出した通達では、これらの業界について(1)アルバイトの採用権限がない(2)時給に換算した給与が最低賃金を下回っている(3)残業の命令を出せない−−などを管理監督者に該当しない判断要素として示した。【東海林智】

2008年9月9日 毎日


「名ばかり管理職」は、なにもチェーン店ばかりの問題でもないし、小売・飲食店だけに見られる話しでもないんですが、厚生労働省は常に後追いで目立った不祥事の起こったところだけを問題にしたがります。概ね、小売や飲食店のチェーン店はそれほど大きな企業ではありませんから、そういう所の経営者もあまり発言権がないわけです。「あまり発言権がない」というのは「消費税を10%にしろ」などという御託を並べる立場にない、ということですが。

基発第0909001号
平成20年9月9日

都道府県労働局長 殿

          厚生労働省労働基準局長


多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について

小売業、飲食業等において、いわゆるチェーン店の形態により相当数の店舗を展開して事業活動を行う企業における比較的小規模の店舗においては、店長等の少数の正社員と多数のアルバイト・パート等により運営されている実態がみられるが、この店舗の店長等については、十分な権限、相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず労働基準法(昭和22年法律第49号)第41条第2号に規定する「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)として取り扱われるなど不適切な事案もみられるところである。
店舗の店長等が管理監督者に該当するか否かについては、昭和22年9月13日付け発基第17号、昭和63年3月14日付け基発第150号に基づき、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であって、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあるかを、職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇を踏まえ、総合的に判断することとなるが、今般、店舗の店長等の管理監督者性の判断に当たっての特徴的な要素について、店舗における実態を踏まえ、最近の裁判例も参考として、下記のとおり整理したところである。ついては、これらの要素も踏まえて判断することにより、店舗における管理監督者の範囲の適正化を図られたい。
なお、下記に整理した内容は、いずれも管理監督者性を否定する要素に係るものであるが、これらの否定要素が認められない場合であっても、直ちに管理監督者性が肯定されることになるものではないことに留意されたい。

                記

1 「職務内容、責任と権限」についての判断要素
店舗に所属する労働者に係る採用、解雇、人事考課及び労働時間の管理は、店舗における労務管理に関する重要な職務であることから、これらの「職務内容、責任と権限」については、次のように判断されるものであること。
(1) 採用
店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場合も含む。)に関する責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(2) 解雇
店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(3) 人事考課
人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価することをいう。以下同じ。)の制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
(4) 労働時間の管理
店舗における勤務割表の作成又は所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
2 「勤務態様」についての判断要素
管理監督者は「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることから、「勤務態様」については、遅刻、早退等に関する取扱い、労働時間に関する裁量及び部下の勤務態様との相違により、次のように判断されるものであること。
(1) 遅刻、早退等に関する取扱い
遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。
(2) 労働時間に関する裁量
営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(3) 部下の勤務態様との相違
管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
3 「賃金等の待遇」についての判断要素
管理監督者の判断に当たっては「一般労働者に比し優遇措置が講じられている」などの賃金等の待遇面に留意すべきものであるが、「賃金等の待遇」については、基本給、役職手当等の優遇措置、支払われた賃金の総額及び時間単価により、次のように判断されるものであること。
(1) 基本給、役職手当等の優遇措置
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められるときは、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(2) 支払われた賃金の総額
一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。
(3) 時間単価
実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。
特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となる。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf


「こういうのは管理監督者ではない」というふうにはっきりいわないんですね。「管理監督者性を否定する重要な要素」だったり「補強要素」だったり「極めて重要な要素」だったりするわけです。この辺についてよりわかりやすく表現したのが次のところに載っている表です。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2b.pdf

これは「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の具体的な判断要素について 」というんですが、

「職務内容、責任と権限」において 「管理監督者性を否定する重要な要素」として
1、アルバイト・パート等の採用について責任と権限がない
2、アルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
3、部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず
4、勤務割表の作成、所定時間外労働の命令について責任と権限がない

「勤務態様」については「管理監督者性を否定する重要な要素」として
1、遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる
また、「管理監督者性を否定する補強要素」として
1、長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間に関する裁量がほとんどない
2、労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半 を占める

「賃金等の待遇」では「管理監督者性を否定する重要な要素」として
1、時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たない
2、時間単価換算した場合に最低賃金額に満たない
「管理監督者性を否定する補強要素」としては
1、役職手当等の優遇措置が割増賃金が支払われないことを考慮すると十分でなく労働者の保護に欠ける
2、年間の賃金総額が一般労働者と比べ同程度以下である

これらの要素が存在する場合に、対象の管理監督者性が否定されるかとおもいきや、

「他の要素を含め総合的に判断」

しろというのですから念が入っています。管理職になる途も厳しいんですが、管理職でなくなる途は更になおいっそう厳格を極めます

たとえば賃金について、店長クラスは月に254時間以上働いていると思われます。これは法定労働時間の月平均に80時間を加えた数字なんですが、実際には月300時間以上、ことによると360時間に達する例もあることでしょう。一方でアルバイト・パート等の時間単価は、色々あると思いますが、2回くらい四捨五入すると1000円くらいでしょう。これ以上にはなかなかならないと思います。そこで仮に1000円として、店長が300時間働いているとすると、店長の賃金が総支給30万円であればオッケー、と、こういうことのようです。

30万円の給料というと、一般企業では係長クラスですか。とても「管理職」と呼ばれるようなものではありません。そもそも同じ仕事には同じ賃金を払うという原則が徹底されていない状況で、あえて「アルバイト・パート等の賃金額」と比較する、ということは、わざわざ低レベルの賃金と比較しているわけです。要するに最低レベルを上回っていれば、「管理監督者」として認めてしまう、ということです。これなら誰でも「管理監督者」になれます。

その他の「職務内容、責任と権限」とか「勤務態様」については、どうとでも言い抜けが出来そうです。チェーン店であれば、店舗のアルバイトの採用や解雇については権限がある場合が多いものと思われます。この点につていて問題になりそうなのは、むしろチェーン展開をしているような、ある程度の規模を持った企業ではなく、小規模な、経営者が細かいことにも口を出してくるような現場でしょう。

「勤務様態」についても、「人事考課での負の評価」が「遅刻、早退」によるものであるのか、売上げの減少等営業成績によるものであるのか、はっきりした資料を残している企業がいくらあるでしょうか。てゆうか資料のある会社では「遅刻、早退」を勘案していることを隠すでしょうし、「遅刻、早退」によって人事考課上の不利益な評価をするような会社では、そのことが明らかになるような資料を残していないでしょう。この辺は企業がどうにでも出来そうなところです。

しかしながら、厚生労働省は「時間単価換算した場合に最低賃金額に満たない」場合ですら、「他の要素を含め総合的に判断」しろと言っています。これなどはむしろ「管理監督者の範囲の適正化」の範囲を超えているのではないかと思われますが、それでも「他の要素」を利用して「管理監督者性」を主張することもできるような仕組みになっています。

こんなことではこれからも今まで通り、何人死のうが「管理職だからしょうがない」とでも言いそうです。このような通達は労働者保護の上からは全く不十分であり、一方ではこれを悪用されることによってマイナスの影響もあり得るものであって、これは厚生労働省の怠慢以外の何ものでもありません。しかしこれは例の「厚生労働省の役人の怠慢」というやつではなく、雇用者と利害を共にする政党による政府が長く続いたことによって公務員が政権党に有利な判断をすることが常態化している、というだけのことなのかも知れません。したがって、いやしくも「管理職」の賃金をアルバイトや最低賃金と比較して良しとするようなふざけきった「適正化通達」が、総選挙を充分意識した与党政府の出せるギリギリの回答である、ということなんでしょう。


posted by 珍風 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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