2008年09月23日

しずかにしましょう

時事通信社も尻に火がついているといわれておりますが、たしかにこの見出しの付け方じゃ見識を疑わせるに足ります。

騒音規制などの国基準は不要=自治体業務で見解−分権委

 政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は22日、地方自治体が実施する業務内容を国が詳細に法令で規定する「義務付け・枠付け」の見直しに向け、各省庁が所管する義務付け・枠付けの必要性について同委の見解を示した。主なものでは、自治体が騒音規制を設ける際の規制値の基準や、特別養護老人ホームの設備や運営に対する最低基準などの義務付け・枠付けは不要だとしている。 

2008年9月22日時事


ライバルの共同通信社の見出しは「地方縛る義務付けの廃止を  道路や福祉基準で分権委案」。まあ確かに騒音はうるさくて迷惑ですから、それはそれで大事なことです。今夜は虫が鳴いています。静かにしましょう。しかしそれにしてもどうしてよりによって「騒音」なのか。共同は「福祉基準」でアピールしてるでしょ。「福祉基準」の「義務付け」を「廃止」ですよ。大変なことです。記事を読んでみようと思うのはどっちの見出しでしょう。


それで「地方分権改革推進委員会」のHP
http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/iinkai/iinkai-index.html
の「 委員会の勧告・意見等」では、今のところ平成20年9月16日の「道路・河川の移管に伴う財源等の取扱いに関する意見」が最終更新という状態ですので、各社報道によれば

騒音規制の規制値の基準
特別養護老人ホームの設備・運営の最低基準
道路の幅や形状に関する道路構造令の一部
児童福祉施設の設置基準
公営住宅の整備基準
高校の学科や教育課程
1歳半〜2歳児と3〜4歳児の健康診査を市町村に義務づける母子保健法の規定

などを「廃止」したいらしいのです。ちなみに共同と日経は「道路」のことばっかり書いています。確かに「県や市町村が道路を造る場合、2車線以上でないといけなかったり、4車線道路が交わる場合は立体交差にする」(日経)という基準がなくなれば、従来よりもより低コストで道路を造ることが出来るわけですから、自分のことを「ビジネスマン」だと思っている「サラリーマン」にとっては、国の基準の廃止が何か良いことのように思えるかも知れません。

「ビジネスマン」というのは本来「実業家」と訳されてきた言葉で、具体的には会社経営者のことです。これには企業オーナーと役員が含まれますが、本当は被雇用者は含まれません。満員電車の中で強引に日本経済新聞を読んでいる諸君の99%はその名に値しません。しかしながら「サラリーマン」というよりも「ビジネスマン」という方がカッコいいので、「サラリーマン」に何かを買わせようという場合には彼らに対して「ビジネスマン」と呼びかけることが一般化しています。ここで「ビジネスマン」の何が「カッコいい」のかといえば、そっちの方が「金持ちっぽい」からなのですが、原義からして「ビジネスマン」は「サラリーマン」よりも金持ちであることが多いのですから当然ですが、「ビジネスマン」が金持ちなのは彼らが「サラリーマン」ではないからなのです。これは単に個人の「心掛け」の問題ではありません。自分がその会社のオーナーであるか役員であるかどうかということなのです。

そこで本当は「ビジネスマン」ではないところの「名ばかりビジネスマン」である「サラリーマン」にとっては、4車線道路を平面交差させることよりも老人ホームやガキの健康診断の方が気になるところです。これらに関する国の基準が廃止されると、地域間に著しい生活格差が発生することになります。国として最低基準がなくなるということは、極端なことを言えば同じ日本国内でありながら北朝鮮並みの福祉、ってこともおおいに考えられます。

こんなことを考えている「地方分権改革推進委員会」はどんな立派な人々でしょうかというとこれが。

委員長
 丹羽 宇一郎
    伊藤忠商事株式会社取締役会長
 
委員長代理
 西尾 勝
    財団法人東京市政調査会理事長
 
委員
 井伊 雅子
    一橋大学国際・公共政策大学院教授
  
 猪瀬 直樹
    作家・東京都副知事
   
 小早川 光郎
    東京大学大学院法学政治学研究科教授
  
 露木 順一
    神奈川県開成町長
 
 横尾 俊彦
    佐賀県多久市長

この人達が勝ってに「いらねーや」と思った基準は、報道の他にも沢山あるそうです。日経によれば「項目の総数は「現段階では時期尚早」として公表は見送った」んだそうですが、関係する法律は535、その中の1万107条項がこのような基準を定めており、連中はその「大半」(朝日)を「そんなんいらねー」と言い張っているようです。

基準を廃止すれば、まずどの自治体も従来の基準よりも下回る基準を条例等で決めることになるでしょうが、特に劣悪な基準を設定しそうなのが財政の逼迫している自治体であることは明らかでしょう。535の法律の中に何が入っているか知りませんが、企業を誘致しやすいように労働基準を低下させるというような選択もあり得ます。当然、将来その自治体の財政が多少安定してきたところで労働や福祉の基準は劣悪なままでしょう。一旦廃止された基準が回復する見通しはほぼゼロです。

「道州制」とかいうのはつまりこういうことを考えていたのです。そのむかし麻生さんちは朝鮮人を連れてきては低賃金・無休で死ぬまでぶん殴りながらこき使ったりセメントで固めたりしたようですが、これからはそれが国内で出来るのですから楽チンで、「ビジネスマン」にとっては願ったり叶ったりですが、「サラリーマン」にとっては地獄です。昔はわざわざ蟹工船に乗って地獄に行ったようですが、現代では地獄の方からこっちに来てくれるのですから楽チンといえば楽チンです。


posted by 珍風 at 20:40| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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