2009年04月07日

あなたも今日からモテモテの「無所属」になれる、あッと驚くヒミツのやり方

森田健作知事:「無所属は虚偽」…千葉県議2人が告発へ

「無所属」のたすきをつけ選挙運動に臨んだ森田健作氏
 千葉県の森田健作知事が自民党支部代表を務めながら、知事選で無所属を名乗ったとして、同県議2人が15日、公職選挙法違反(虚偽事項の公表)の疑いで千葉地検に告発する方針を固めた。
 東京都選管に提出された政治資金収支報告書によると、森田知事は衆院議員を辞職した03年以降も「自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部」の代表を務めている。公選法は、当選を得る目的で政党の推薦や支持などに関し、虚偽の事項を公にすることを禁じている。だが、政党に所属していても、党の「所属党派証明書」を選管に出さなければ無所属で出馬できる。森田知事は今回、自民党に証明書の発行を申請しなかったという。
【斎藤有香】

2009年4月6日 毎日新聞


千葉県知事選は候補者全員が「無所属」だったわけですが、その中でも「完全無所属」をうたっていたのが森田さんです。「完全」というところの意味が全くよく分かりませんが、今にして思えば彼のマニフェストの冒頭に掲げられた言葉が、極めてビミョーな意味を持っていたわけです。曰く

政党より県民第一。

「政党より千葉県民第一」というヴァージョンもあります。「千葉」のところが「埼玉」だったり、いろいろです。なるほど「無所属」だから「政党より県民第一」なのかも知れませんが、「無所属」と称しながら「政党」の陰を引きずっているのは、ちと妙です。考えてみれば、「無所属」であればどこかの「政党」のことなど最初から一切考慮する必要はないはずですから、「政党より県民第一」というキャッチフレーズは「無所属」の候補者においては、それ自体あり得ないものなのです。

これが一部の有権者にとっては「無所属」を強調するような意味に捉えられたかも知れませんが、一方では森田さんと「政党」との繋がりが存在することを再確認させる意味も持っています。おそらく森田さんが動員した自民党県議の有する票田では、後者の意味で受け取られたんでしょう。つまり一方では組織票を固めつつ、他方では浮動票を獲得する、という目標が、このたった8文字の言葉で実現されるというわけです。

そこで「無所属」という、この曖昧な言葉の使い方について、4月3日の衆議院法務委員会において総務省自治行政局選挙部長の門山泰明さんが「一般論」を説明しています。

一般論としてのお尋ねでございますが、若干前提をご説明させていただきますと、立候補届け出におきまして立候補届出書に所属する政党その他の政治団体の名称、これを記載する場合には当該政党その他の政治団体の証明書、いわゆる所属党派証明書というのを添付するということになっておりまして、この所属党派証明書の添付がない場合には無所属と、こういう扱いになるわけでございます。したがいまして立候補届けにおきます無所属という機会は立候補届けをした方がどの政党にも属しないということを意味するものではなくて、所定の所属党派証明書がない、記載されていないという場合に記載すべきかなり広い意味の呼称であると解されておりまして、一般に政党に所属する方が無所属として立候補届けをし、無所属として選挙運動をすることは当該規定に抵触しない、と考えられるところでございます。

一方、政党に所属する方がいかなる政党にも所属しないということを公にして選挙運動をするということにつきましては、これも一般論でございますけども、それが立候補届けにおける無所属ということではなく、実際の政党への所属関係について当選を得、または得させる目的をもって公職の候補者の政党その他の団体の所属に関し虚偽の事項を公にしたと、そういうふうに認められる場合には公職選挙法235条1項に抵触するおそれがある、ということは考えられるところでございます。なお、個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。


この答弁のうち前段については森田さん自身が行っている言い訳と同様であり、たしかにその限りにおいては森田さんは「無所属と、こういう扱いになる」ようです。しかし後段で述べられている内容に即して言えば、森田さんは「公職選挙法235条1項に抵触するおそれがある」と考えられます。

「完全無所属」をうたい、マニフェストの表紙の一番上に「政党より県民第一」というキャッチフレーズを掲げた森田さんは、「いかなる政党にも所属しないということを公にして選挙運動をする」ことに該当します。これは森田さんにおいてほとんど唯一とも言えるセールスポイントなのであり、最大のアピールポイントとして扱われていますから、「当選を得、または得させる目的」をもって行われたものであるといって良いでしょう。そしてその訴求点が「公職の候補者の政党その他の団体の所属に関し虚偽の事項」であったわけです。そしてこの場合に「公に」されていたのは、森田さんが自民党の支部長であったとかいうことではなく、彼が「無所属」であるという「虚偽の事項」に他なりません。総務省の見解によれば森田さんが公選法に違反する疑い極めて濃厚であるということになります。

もっともお役人の常として「個別の事案につきましては具体の事実に即して判断されるべきものと考えて」いるそうで、法の支配を全く無効にする広大な「裁量」の領域を最大限に確保しているところでありますから、実際問題として森田さんが公選法違反に問われる、とか当選が無効になる、ということになるのかどうかは分りません。しかし法と行政の解釈によれば、森田さんが公選法に「抵触するおそれがある」ことは明白である。さよう相違あるまい。

そういえば森田さんは如何にして自民党員となりしか。1992年に参議院議員になったときは連合と民社党、社会党、社会民主連合の推薦だったのですが、連合との約束を破って民社党と会派を組み、民社党の解党前のドサクサにまぎれて自民党に移ったようです。みんなが気がついたら自民党に入っていたようで、なんだかんだ巧く誤摩化してきた、というのが実際のところでしょう。衆議院に遷ってからの2000年の総選挙で公認から漏れたことも幸いしたのかもしれません。

もっとも、今回の選挙では「無所属」の良いお手本がいました。なんと最下位に泣いた西尾憲一さんは、上辺では森田さんと同様の「無所属」ですが、この人は本当に2008年の10月6日に自民党県連に離党届を提出していることが公にされています。県連は森田さんを推すので、それでもどうしても出るんだということで離党に至ったようですが、西尾さんの場合事態は極めて明白です。どこに出しても恥ずかしくない正真正銘掛け値なしの「無所属」です。一方の森田さんは自身が今現在自民党員であるのかどうかすら明らかに出来ません。はなはだ歯切れの悪い、「無所属」ぶりであります。同じ「自民党系」の「無所属」であっても、森田さんと西尾さんとではその内実はかなり違うようです。

こんな2人が同じ「無所属」を称して差し支えない、ということでは明らかに有権者にとって理解し難い状態であるといえるでしょう。やはり西尾さんが「無所属」であるならば、森田さんは「無所属(?)」とか「無所属」と表記してもらった方が便利です。こういう点について西尾さんがどのように考えておられるのか、興味のあるところです。吉川洋さんは西尾さんを連れて来て森田さんに「正しい無所属のやり方」を講義してもらったらどうか。一方、森田さんはそんなに自民党員が恥ずかしいんだったらさっさと離党してしまえば良いでしょう。さもなきゃ「ムショ族」にでもなるんですな。


posted by 珍風 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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