2009年05月07日

このロープで綱引きするなよな

lostcity.jpg小さい版。小さすぎたかな?iPodシャッフルとか100円ライターに貼付けましょう。

日本ではおよそ8割の人が死刑制度の存続を望んでいる、ということになっているのですが、読売新聞がどこに住んでいるのか年は幾つなのか男か女か仕事は何をしているのか全く不明な何人かの人物に「調査」を行った結果、自分が「裁判員になった場合」に、死刑を「選択する」と答えた人は「63%」であった、ということのようです。

裁判員になったら「死刑も選択」63%…読売調査

 読売新聞社が4月25〜26日に面接方式で実施した裁判員制度に関する全国世論調査で、裁判員になった場合、死刑に相当すると思えば死刑を「選択する」と答えた人は63%、「選択しない」は23%だった。

 5月21日から始まる裁判員制度によって、刑事裁判が「良くなる」と思う人は48%で、前回2006年12月の53%からは減った。ただ、今回も「悪くなる」27%(前回23%)を大きく上回り、世論は裁判員制度が始まることを前向きに評価した。
 これまでの刑事裁判の判決については、「適切だと感じたことが多い」は34%にとどまり、「軽すぎる」が50%、「重すぎる」は4%だった。裁判員制度への評価には、国民が裁判に参加することで、判決と国民の処罰感情との隔たりが縮まるという期待も込められているようだ。
 制度の仕組みについては、「よく知っている」4%、「ある程度は知っている」45%を合わせると49%となり、前回の30%から大幅に増えた。
 しかし、裁判員として裁判に「参加したい」と思う人は18%(同20%)にとどまり、「参加したくない」は79%(同75%)だった。参加したくない理由(複数回答)では、「刑の重さを決める量刑を的確に判断する自信がない」の53%が最も多かった。制度の導入には「賛成」34%、「反対」62%だった。
 同じ質問をした04年5月は「賛成50%―反対40%」で今回は賛否が逆転した。制度開始が目前となり、認知度が高まったことで、裁判員の責任への負担感と不安を強める国民意識が影響していると見られる。

2009年5月3日 読売新聞


もっとも、世の中には金輪際裁判員なんかやるつもりは毛頭ない、という人もいることと思われますから、そういう人は自分が「裁判員になった場合」にどうするつもりであるかを答えることが出来ないはずです。そこで、この「63%」という数字を評価する場合には、それが母集団から「何が何でも裁判員にならない人」を除いた分の「63%」であるはずであることに注意すべきです。

ところがこの「調査」では、「裁判員なんかに絶対なるつもりはない」人がどのくらいいるのかは分らないのです。したがってこの「63%」に何の意味があるのかというと、何の意味もありません。

この「調査」では、裁判官として裁判に参加「したい」か「したくない」かを問うているに過ぎません。仮に裁判員制度というものが、やりたい人だけやれば良いというものであれば、このような設問でも意味を持ちますが、裁判員というものは当人の希望とは全く無関係にやらせられるものであることから、裁判員を希望するかどうかを問うことには無意味です。これは例えば「税金を払いたいかどうか」をきくことに似ています。

ここで仮に「裁判員になった場合」を想定して回答することが出来るのが「「参加したい」と思う人」に限られるものだとすると、「63%」というのはわずか「18%」のうちの「63%」ですから、なんと全体の11.34%でしかないことになります。

しかし、裁判員が制度として「義務」であるとされていることから、これを希望しない人も自分が「裁判員になった場合」を想定して回答することが期待されるかも知れません。このとき「63%」は全体の63%ということになりますが、このような場合、自分が「裁判員になった場合」を想定することそのものを拒否する意味で「選択しない」と回答する人が出てくる可能性があるでしょう。

この場合は、このように裁判員となることを希望せず、尚かつ裁判員となった場合を想定しての質問にも否定的に回答する人を排除できませんし、このような人物が裁判員となることを回避できずに心ならずも裁判員となった場合に、どれほどの確率でどのような行動をとるか、というようなことは全く分りません。

しかしながらこの「63%」という数字を最大限に、すなわち母集団の63%のことであると解釈する場合、これは死刑制度存続を支持する人々の割合を示すものであるともいえるかも知れません。世間では2004年の「基本的法制度に関する世論調査」による「81.4%」という数字が死刑存置派の割合であるとされていますが、ここでは18ポイントも低下しています。

もちろんこの2つの「調査」の間には4年という時差がありますから、より正確を期すならば今年のうちに行われる(はずの)「基本的法制度に関する世論調査」の結果を待つべきなのかも知れませんが、今もし仮にこの2つの「調査結果」を比較した場合に、「自分が選択する」という局面では死刑存置派の2割が脱落する、ということが推察されます。

すなわち8割と言われる死刑存置派世論のうち、5分の1くらいはどっか知らない所で死刑をやってる分にはカンケーないからいいや、という人であって、いざ自分が関わることになると二の足を踏む、という、イイカゲンとも人間らしいともいえる人たちであるようです。

これは少なくとも人を安心させるものであると言えるでしょう。死刑存置派だからといって、何の恨みもなく一文の得にもならないのに目の前にいる人間に死を宣告できるような人であるとは限らないのでした。これはついカッとなって自分の手で殺してしまうよりも、ある意味ずっと難しいことなのです。

もっとも、「基本的法制度に関する世論調査」による死刑存置派「8割」という数字も多少疑問のあるものです。というのも、その「調査」の質問はこんなふうなのです。

死刑制度に関して、このような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか

(ア)どんな場合でも死刑は廃止すべきである (6.0%)
(イ)場合によっては死刑もやむを得ない  (81.4%)
わからない・一概に言えない       (12.5%)


(ア)が強い死刑廃止の意見であるのに対して、(イ)は随分と消極的な「賛成」でしかありません。「場合によっては」ですよ。「やむを得ない」ときたもんだ。気の弱い人はみんな(イ)を選択するようになっています。すなわち選択肢が誘導的です。これではとても「8割」なんて信用できませんし、2割くらい「怖じ気づく」人がいても、そりゃあ当然です。

事実、この「調査」では(イ)を選んだ人に対して次のような質問も用意しています。

将来も死刑を廃止しない方がよいと思いますか、それとも、状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよいと思いますか。

(ア)将来も死刑を廃止しない             (61.7%)
(イ)状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい(31.8%)
わからない                      (6.5%)


「将来」ということでふるいにかけることによって、31.8%が脱落します。「未来永劫にわたって場合によっては死刑もやむを得ない」と考えている人は全体の50.22%ということになります。これが比較的強硬な死刑存置派の割合であって、残りの約半数は即時又は将来に死刑が廃止されることを受け入れているか、態度を決めかねています。もちろん「将来」というのは「明日」とか「来週」でもいいわけです。こういう人たちは「明日から死刑は廃止ということでどうでしょう」というような相談に乗ってくれそうです。「わからない」人には分るように説明してあげれば良いでしょうし、「一概に言えない」人も話せば分るかも知れません。

おそらくこの「比較的強硬な死刑存置派」が、単なる死刑の「存置」に留まらずこれを「拡張」しようという積極果敢な考えの持ち主である可能性があります。読売の「調査」に戻ると、「これまでの刑事裁判の判決については」、「「軽すぎる」が50%」だったそうです。今までの判決では軽すぎるからもっと死刑を増やせという人が、やはり全体の半分いるそうですから、「基本的法制度に関する世論調査」の結果とあわせてみると、積極的な死刑存置派は死刑拡張に向かい、消極的な死刑存置派は将来的な死刑廃止に向かっています。そしてその勢力は現在のところ拮抗しているようです。オーエスオーエス。

もっとも読売の「調査」によれば状況は憂慮すべきものであるといえましょう。「「参加したくない」は79%」であり、その理由は「「刑の重さを決める量刑を的確に判断する自信がない」の53%」であるそうです。全体の42%の人が自信のなさを訴えています。まあ、やったこともないしせいぜい「ある程度」しか知りもしないことに無闇に「自信」を持っている人というのも困ったものではありますが、この「自信がない」人たちが自信のない故をもって「死刑を選択する」と答えなかった人たちである可能性はあります。しかしはっきりと「死刑を選択しない」という人は23%でしかありません。ということは「自信がない」くせに死刑を選択する可能性のある人がいるということになります。何だかよく分からない人たちが五里霧中のうちにおずおずと差し出して来る死刑判決ですが、まあこういう自信のない人の方が扱いやすいんですよ。但木敬一元検事総長も言っています。

そこで、何より大切になるのが評議のプロセスです。評議は多数決制ですが、全員が納得するまで時間をかけ、裁判員が「みんなが納得した上での結論なのだ」という気持ちが持てるようにすることが大切です。


「納得」とか「空気」とかいうアレですな。


posted by 珍風 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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