2009年10月08日

ジャパニーズ・ホラー

裁判員裁判これから本格化、無罪主張事件も

 8月に始まった裁判員裁判の実施ペースが10月以降、加速する。対象事件で起訴された被告はすでに640人を超えており、10月は31人、11月も36人の公判日程が各地裁・支部で決まった。
 この中には、被告が無罪を主張しているため2週にまたがって審理したり、被告4人が一緒に出廷したりするケースもあり、難しい事件を市民がどう判断するかが注目される。
 ◆対象事件で643人起訴◆
 読売新聞の2日時点の集計では、5月21日の制度スタートから今月2日までに裁判員裁判の対象事件で起訴された被告は計643人にのぼる。都道府県別では大阪府87人、東京都80人、千葉県73人の順に多い。
 8月以降、被告17人の裁判員裁判が13地裁・支部で実施されたが、未実施の地裁・支部も47ある。今後は一気にペースアップし、10月は26地裁・支部で31人、11月は20地裁・支部で36人、さらに12月〜来年2月までに8地裁・支部で8人の公判日程が決まった。ただ、起訴人数が多い裁判所では公判が集中する可能性があり、法曹関係者の間では、「公判日程の調整や人の手当てが難しくなり、滞りなく実施できるのかが懸念材料」という声も出ている。
 これからは本格的な無罪主張の事件も初めて登場。さいたま地裁で11月30日に公判が始まる強盗傷害事件では、男の被告(33)が実行犯の少年らに犯行を指示したとして起訴されているが、被告側は「関与していない」と無罪を主張する方針だ。7人の証人尋問を予定し、6日間の公判と2日間の評議などを経て、12月11日に判決を言い渡すスケジュールになっている。
 奈良地裁で11月24〜30日の5日間に行われる集団強姦(ごうかん)致傷事件の公判では、4人の男の被告(20〜23歳)が、同じ法廷でまとめて審理され、それぞれの犯行時の役割がポイントになる。
 ◆「心神耗弱」の判断も◆
 神戸地裁で11月30日〜12月3日に実施される殺人事件の公判では、女の被告が逮捕後の精神鑑定で「心神耗弱」と診断されており、裁判員がこの鑑定結果を十分に理解できるかが焦点になりそうだ。すでに起訴された裁判員裁判の対象事件で起訴前に鑑定が行われたのは、読売新聞の集計で少なくとも30人に上る。
 あるベテラン刑事裁判官は、「長期間の公判や多数の共犯者がいる裁判員裁判は、制度前の模擬裁判でも試されていない『未知の世界』。裁判所、検察、弁護士会が裁判員の立場に立ち、市民の負担を少しでも減らす工夫が一層求められる」と話している。

2009年10月5日 読売新聞


「市民の負担を少しでも減らす工夫」などというのは極めて簡単なことです。裁判員制度などさっさと止めてしまえば市民の負担は大幅に軽減されるでしょう。しかしそれにしても裁判に巻き込まれて迷惑しているのは裁判員の人たちばかりではありません。被害者等においては既に被害を受けている上に裁判にまでつき合わされるのは可哀想な気もしますし、何かをしたところがどうもそれがどっかの誰かがきめた法に触れるとかで法廷に引きずり出される被告人にとっても迷惑な話しなのではないでしょうか。

もっとも、裁判というものをとにかくやらないとイケナイ、と考えるのであれば、被告人についてはこれは致し方ないのかも知れません。被告人がいないと裁判が成り立たないのですから、まず被告人は裁判のために必要不可欠な要素であります。そこで、おいやでしょうけれども、ここはひとつつき合っていただくしかないんでしょう。弁護士というのも、裁判に不慣れな被告人が粗相をしたりしないように付き添っているようなので、これもいたほうが良いようです。

被害者等については、これは出て来たい人が出てくる建前でありまして、特に強制というわけではありません。「負担」であれば来ないわけですし、来なくても裁判は出来ますから、すくなくとも「負担を減らす」うえで最優先で考えなければならない対象でもないようです。そして裁判員に至っては何のためにいるのかよく分かりません。かえって裁判員がいる方が他の人の負担になるという話しもありますが、被告人に比べるとその必要性の度合いは極めて低いものです。

そこでまず何よりも先に「負担を少しでも減らす」必要があるとすれば、それは被告人においてでありましょう。「あるベテラン刑事裁判官」とは誰なのかよく分かりませんが、「市民」などとう大雑把な言い方では何だかわかりません。なにしろ被告人も弁護士も被害者等も裁判員もみんなが「市民」なのです。その他の裁判関係者は公務員ですから、「負担」も仕事のうちです。そういう仕事なんですから、別に世襲制ではないのでいやなら辞めればよろしい。

じっさいのところ裁判というのは被告人のためにやっているようなものです。「被害者のためにもやれ」という人もいるようですが、さすがに「裁判員のためにやれ」という人はいないようです。そこで裁判員の負担を軽減するために「工夫」をするなどということは裁判の趣旨を誤ったものであり、本末転倒も甚だしいというべきでありましょう。

てゆーか要するに裁判員は「お客様」扱いをされているようです。裁判所は被告人もいるのに、裁判員どもの面倒まで見なければイケナイので大変ですが、自業自得なのでいい気味であります。なんといっても「長期間の公判や多数の共犯者がいる」ようなケースすら「未知の世界」だというイイカゲンな話しですから、もちろん台風が来たりするのだって全く想定外だったりしますが、それでも全体としては制度は想定通り良好に稼働しているようです。

裁判員裁判:北陸初、2日目 4人が初の質問−−福井地裁 /福井

 北陸初の裁判員裁判となった3件の強盗致傷事件を巡る福井地裁(佐茂剛裁判長)の公判は7日、2日目の審理を再開した。この日は証人尋問と起訴された敦賀市松原町、無職、上林省吾被告(55)への質問があり、裁判員4人が初めて質問した。【酒造唯、安藤大介、幸長由子】

 午前9時半に開廷した公判には、6日と同じく6人の男性の裁判員が3人の裁判官を挟んで座り、女性3人の補充裁判員が控えた。

 被告人質問では、傍聴席から見て右端の裁判員が、「2件目の事件を起こす直前に『やめとこう』と思ったのなら、なぜその後に警察に行ったり、家族に正直に話さなかったのか。そうすれば(3件目の)もう一つの悲惨な事件は防げたのではないか」と強い口調で問い詰めた。上林被告は「勝手な言い方かもしれないが、全く先が見えていなかった。勇気がなかった」とうなだれた。この裁判員は「人を襲うより自分が反省する方がよっぽど楽なはず。奥さんや子どもに再び立派に会えるよう、更生してください」と諭し、ハンカチで目頭を押さえた。

 被告人質問に先立ってあった証人尋問では、被害を受けたホームセンター店長の男性(58)に、左端の裁判員が「怒りの気持ちは時間と共に薄らぐか」と質問。男性は「(事件から)半年たっていても事件のことが頭から離れない」と答えた。

 証人尋問を終えた店長は「裁判員が被害者の立場に立って質問してくれたので答えやすかった。(裁判員は)一般の人なので、私の気持ちをより理解してもらえるような気がした」と話していた。

 また、左から3人目の裁判員は、弁護側証人の上林被告の兄に「上林被告が妻に金に困っていることを相談しなかった理由はどこにあるのか」と落ち着いた口調で質問した。兄は「一家のあるじとして妻に負担をかけず自分で生計を立てようとしていた」と上林被告の心情を代弁した。

2009年10月8日 毎日新聞


「ハンカチで目頭を押さえ」ることくらい誰だって出来ると思うかも知れませんが、これが裁判官となるとなかなか出来るものではありません。裁判員制度と被害者参加制度の機能は同一であり、それは「感情」の導入です。「感情」を吐露し、それに流される、てゆーか役者が飲まれちゃいけません。「感情に流される」のは観客のほうです。いわばカタルシスとしての浄罪の儀式の見世物なのです。

「目頭を押さえる」だけでは物足りないでしょうから、そのうち裁判所から目薬が支給されると思いますが、そんな場面で使われる「更生」というのは、しかし、随分とオソロシイ台詞であると言って良いでしょう。なにしろ同じ口で死を言い渡す権限において「更生」を言うのですから、それは単に「死の免除」であるような生を受け入れることに他なりませんが、「更生」が「かつてあり本来そうであった良い状態に戻ること」であるとすれば、同じ刃が観客にも向けられているというわけです。裁判員が涙ながらに「更生を願う」、「観客」にとってこれ以上の恐怖はありません。


posted by 珍風 at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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