2009年10月10日

Tanz mit Shylock

いつの間にか小文字のハンドルネームが流行っているようで、「gen」様とか「ika」様とか「cd」様などがコメントを下さいますが、例えばその「cd」様は僕の「大阪さんの思うとおりにはさせないぜ」というエントリにコメントを下すって

橋の下の知事はベニスの商人に例える事が出来ます。
意味はもちろん強欲です。


意味が「強欲」で安心しました。というのもこの作品は同性愛を扱ったものだとされているので、そういう「意味」だったら、それはそれで一波乱ありそうです。橋下さん、まさかそういう風には全然見えません。それが実は、ということになると大変に意外です。

同性愛はともかくとしても、『ヴェニスの商人』は「男というものは奥さんがそこにいないと思っているときにはとんでもないことを口走るものだ」という読み方も出来ますし、奥様がたはご存じないかも知れませんが実際のところその通りなのですから、やはり古典というものは読んでおくに越したことはありません。

また、この作品を引き合いに出すことが意に反して橋下さんを喜ばせてしまう可能性もあります。あれでも弁護士の端くれであるらしい橋下さんは、劇中で弁護士に成り済ますポーシャに自らを擬することによって自己満足に陥る可能性がないわけでもありません。もっともこの「弁護士」はニセ弁護士であり、しかもこのヘンタイ劇の世界では当然のことながら、男装した女性なのですが。

もっとも「cd」様の想定する「強欲」はかのユダヤ人シャイロックのことでしょう。橋下さんはシャイロックを思わせるようなところもあるでしょう。むしろポーシャのようではなくシャイロックのようであることが、彼の弁護士としての欠陥を物語るかのようでもあります。もっともタイトルロールの「ベニスの商人」はホモの片思い、アントニオのことを指すのですから、「cd」様の書き方だと誤解を招く虞れがなきにしもあらずです。

反論メールの職員を処分 橋下知事「物言い非常識」

 大阪府の橋下徹知事が全職員にあてて税金に対する意識の低さを嘆くメールを出したところ、ある職員が反論する返信をした。知事は「物言いが非常識だ」と激怒して8日、この職員と直属の上司を府の内規に基づく「厳重注意」にした。府庁内からは「知事の態度は度量が狭い」との声も聞かれる。
 発端は1日夜に知事が送信したメール。利水からの撤退によって府の損失が386億円に上った紀の川大堰(和歌山県)をめぐり、議会で原因を淡々と説明するだけだった府幹部について「何事もなかったかのよう。給料が保障される組織は恐ろしい」などと書いて全職員に送った。
 2日昼、職員の一人が「責任は(投資を)決断した人にある。こんな感覚の人が知事である方が恐ろしい」と返信。「愚痴はご自身のブログ等で行ってください。メールを読む時間×全職員の時間を無駄にしていることを自覚してください」とたしなめた。
 これに怒った知事は同夜、この職員に「上司に対する物言いを考えること。トップとして厳重に注意します。言い分があるなら知事室に来るように」と送信。職員も返信で「公務をどけてでもお邪魔します」と応酬した。
 知事は一連のやりとりを府幹部らに転送。8日、報道陣に「社長に『メール読むのは時間の無駄です』と言えますか。一般常識を逸脱している」と語った。一方、職員の間からは「知事自身が『メールを送って』と言っていたのに、気に入らなければ処分なんて」とおびえる声も出ている。

2009年10月8日 朝日新聞


まだまだ気に入らない職員が100人くらいいるんだそうですが、橋下さんは一方では「(わたしは)選挙で選ばれた府民の代表。府民の代表にああいう物言いをしているという自覚が全く足りない」と言っています。しかし同時に自らを「社長」になぞらえているのですが、「社長」と「府民の代表」とではちょっと事情が違うようです。

会社の「社長」は「上司」として、従業員に対して会社を「代表」するかもしれませんが、「社長」は従業員の「代表」ではありません。「社長」は会社の外部に対して会社を「代表」しますが、従業員は会社の「外部」に存在する関係者のひとつです。

一方で「府民」の中には府の職員も含まれてしまいます。ここでの「代表」はむしろ「代表」されるものの「代理」としてその意志を執行する機能のことですから、職員に対して「府民」を「代表」してことさらに敵対してみせる必要はありません。これはむしろ「代理人」としての弁護士の活動に近いものです。橋下さんのやっていることは弁護士が依頼人を叱りつけているのに近いのですが、それは「知事」と「社長」の区別がつかないような「雇う」側と「雇われる」側の関係の倒錯した認識に起因しています。

どうも橋下さんをそそのかしたのは「民間出身の副知事」木村愼作さんであるようですが、木村さんは「民間」の感覚で「組織として非常識」だとか言った模様です。なるほど、民間では社長のメールを読むのは時間のムダであるとみんなが思っていますが、社長に対してそれを言ったりしないでしょう。それを言うことは自分の不利益になると思われます。もしかすると言ったほうが会社のためになるような場合もあるかも知れませんが、それを言うことで事態が改善される見通しは低く、自分がクビになったりする可能性は高いものです。

しかし府においては職員の行為が府民に不利益となるかどうかが、その処分において考えなければならないところでしょう。木村さんも「全ては府民のために」と言っています。職員の反論は、まあ確かに「書き方が気に入らない」かも知れませんが、職員の稼動時間のムダ、すなわち税金のムダを指摘しているところでありますから、一応は府民の利益を考慮した形にはなっているのであって、知事としてはその点について考えたが良いでしょう。

つまり「まず、上司に対する物言いを考えること」と書く前に、知事としてまず、考えることがあるんで、その事を返信メールの冒頭に述べる必要があります。事は府民の利害がかかっているのであり、「府民の代表」として考えなければならないのはそのことであって、「組織として」どうのこうのということではなかったのです。だいたい大嘘つきの木村さんを来させたのが間違いですが、橋下さんも混乱した頭で知事を続けていること自体が非常識なのですから、その非常識さを改めること。

橋下さんにも、システムを盾に取って威張っているつもりでシステムに逆襲されるシャイロックのような運命が待ち構えているのかも知れません。ところで「シャイロック」といえばどういうわけか紳士の社交場、娯楽の殿堂『うぐいすだにミュージックホール』にも出て来るんですが。

ミラーボールのステージで
踊るツイスト シャイロック



『ヤッターマン』など「タイムボカンシリーズ」の音楽でおなじみの山本正之さんの初期のヒット作品でありますが、なんで急にストリップ劇場にシャイロックが出てくるのか。しかもシャイロックがツイストを踊るという。随分とアヴァンガルドな小屋もあったものです。

一説によるとこれは「ツイスト」および「シャイロック」という2つのリズム形式が併置されているのであると。つまりダンサーさんたちはツイストおよびシャイロックを踊るのです。そして「シャイロック」というのは「シャロック」のことであるといいます。「シャロック」とは何か。それは「ジャズの『シャッフル』と『ロックビート』の混合リズム」であると『恋のシャロック』(中尾ミエ 1968)のライナーで説明されているそうですが、



イカしてるぜ。踊り方。
シャロック.JPG

有名なのは梅宮辰夫さんの『不良番長』主題歌『番町シャロック』(1968)でしょう。
番長シャロック.jpg

というように1968年当時、一世を風靡した「ニューリズム」であった「シャロック」ですが、『うぐいすだにミュージックホール』がリリースされた1975年頃には、なんだか場末のストリップ小屋のうらぶれた風情を象徴するかのように引用されていたのでした。しかも間違った名前で。


posted by 珍風 at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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