2009年11月22日

難じるんです

弁護士「ご理解を」…むかつく発言の裁判員に

 10歳代の女性に対する強姦(ごうかん)致傷罪に問われた宮城県大崎市、運転手結城一彦被告(39)の裁判員裁判は19日午後も仙台地裁で行われ、検察側が懲役10年を求刑して結審した。

 暴行の経緯を巡る弁護側の主張にいら立ったとみられる男性裁判員が、被告に「むかつくんですよね」と大声を上げたため、弁護人の前田誓也弁護士は最終弁論で「細かいとか、くどいと感じられる方もいるかもしれないが、ご理解いただきたい」と訴えた。
 公判で、検察側は被告が女性の自転車を倒して両手で首を絞めたと主張。弁護側は女性がバランスを崩して倒れ、被告は女性の首を片手で押さえただけと反論していた。男性裁判員は同日午前の被告人質問の途中で被告が黙ったこともあり、「反省するのが一番。片手とか両手とか関係ない。むかつくんですよね」と発言し、川本清巌裁判長に制止された。
 前田弁護士は結審後、報道陣に「裁判は被告人に反省を促す場。多少きつい言葉も被告人にとって良かったのかもしれない」と述べた。判決は、20日に言い渡される。

2009年11月20日 読売新聞


前田さんによると「裁判は被告人に反省を促す場」なんだそうです。なあるほど、こういう弁護士がいるから冤罪というものはなくなりませんが、「むかつく君」がむかつくのも当然です。裁判が始まる前から結論は出たも同然であり、要するに被告人が「反省」すれば終わるということであれば、細かい事実認定などに興味がわかず、煩瑣な手続にイライラするのも当たり前のことでしょう。

「むかつく君」は、早いとこ被告人から「反省の弁」を引き出せば裁判は終わって家に帰れるとでも思ったんでしょう。なにしろ弁護士がこの状態では、そう思うのも無理はありません。両手でも片手でもどうでもいいから早く終わろうよ、という気持ちは分らないでもありません。どうせ他人事です。しかしどうやら、分らないときは黙って時間が過ぎるのを待つのが大人の対応というもののようです。

そういうわけで「むかつく君」は会見の場に言い訳をしに出て来て、「ちょっと大人げなかったかな」などと「苦笑い」をしてみせたりしたようですが、裁判官も検察官も弁護士も揃いも揃って裁判というものを誤解しているようなのですから、一人だけ「反省」する必要もないと思います。「人を憎まず罪を憎むということです」などと分ったようなことを言ってみても仕方ありません。同様に裁判員であった「仙台市若林区の主婦、渋谷みち子さん(59)」も、「よくぞ言ってくれた」と言っています。まあ、「むかつく君」が可哀想なので、大人の余裕でそのように言ってあげたのかも知れませんが。

同様に裁判員であった「柴田町の高橋忍さん(54)」という職業不詳も、「ストレートな意見を言えるのは裁判員制度のおかげ」と更なるフォローを行なっています。高橋さんによると「むかつく君」のような行動こそが「裁判員制度」の目的であるようです。だったら自分がやればいいじゃないかと思うんですが、恥は他人にかかせてカッコいいところを浚っていくのも大人の知恵です。

じっさい、「むかつく君」は「守秘義務を守れない人もいるので、裁判員制度には反対」だと言います。おそらく彼の言う「守秘」とは、何よりも先ず恥ずかしい行動をとった裁判員に関するものでしょう。そして現在のところ報道ではこの「守秘義務」を守っているようで、会見した4人の裁判員のうち「むかつく君」の氏名のみ明らかにされていません。大人の優しさというところでしょうか。「罪を憎んで人を憎まず」です。

裁判では最初から結論ありきの中で玄人衆が専門的でテクニカルな手続をこなす一方で素人衆がワケも分らず怒りを感じる、というまことに結構な状態が続くようです。素人衆には被告人も含まれるのですが、考えてみれば9年10月でも10年でも大した違いはありません。2カ月のために「反省の弁」に頭をひねるのも面倒な話です。しかし裁判では被告人はもう犯人であることが決まってしまっているのですから、その面倒な過程それ自体が処罰の一環なのかも知れません。「反省を促す」というのは、多くの場合自分の考えを言語で表現するのが得意でない刑事被告人に対する「罰ゲーム」なのでしょう。そのかわり懲役の間はあまりものを考えずに過ごすことが出来るのです。一方で「何の罪もない」裁判員も一緒になって「罰」を受けるのは考えてみればおかしな話しですが、まあ「むかつく」とすぐ態度に出るなど、要領の悪さが災いして辞退できなかったので罰を受けるのであると思えば納得できませんか。納得できないから「罰」なんです。


posted by 珍風 at 05:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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