2009年12月01日

暗黒学園 空き教室の陵辱拷問授業

実は結構注目されています。

私立昌平高の教師特別研修:生徒のいない教室で授業、さいたま地裁支部が停止命令

 生徒のいない教室で模擬授業を週7回行わせるなどの「特別研修」を受けさせたのは退職強要にあたるとして、私立昌平高(埼玉県杉戸町)の国語教師、今村寛さん(50)が同校を経営する学校法人昌平学園(近藤好紀理事長)に研修停止などを求めた仮処分申請で、さいたま地裁越谷支部(佐藤美穂裁判官)は30日、「退職強要に利用されている証拠はないが、現在の研修は権限の乱用」と研修停止を命じる決定を出した。
 申請によると、今村さんは学校側による「授業力確認テスト」や生徒アンケートで点数が低かったことを理由に、昨年9月から特別研修に入るよう命じられた。授業から外され、生徒のいない教室での模擬授業や、席を離れるのに教頭の許可を求められるなどして自律神経失調症にかかったと主張していた。昌平学園は「研修は教師の問題点を改善する手段。模擬授業も指導力不足の教員には有効」と反論していた。
 決定は、特別研修が埼玉県の指導力不足教員に対する研修方法などと比べ「模擬授業に重点を置き過ぎている」と指摘。体調を崩した今村さんには「別の研修方法も考えられる」とした。
 同校は07年に経営法人が変わり、進学校を目指して方向転換を図っている。決定後、今村さんは「早く教室に復帰し、受験指導に傾いた学校の方向性を変えたい」と述べた。昌平学園の城川雅士広報担当は「今村さんの健康や内容に配慮して研修を改善したい」とコメントした。【平野幸治】

2009年12月1日 毎日新聞


ちょっと分りにくい記事なんですが、「体調を崩した今村さん」について、決定では「精神的に多大な苦痛を受け、体調を崩している」としており、精神的ストレスの存在を強く示唆しています。この辺は、単に今村さん自身が「自律神経失調症にかかったと主張していた」と書くだけでは全く不十分でしょう。このような書き方では、昌平高校側が今村さんに精神的なストレスを与えていたことを隠蔽してしまう虞れがあります。

また、決定では「現在の特別研修の継続には社会的相当性が認められず、命ずることは職権の乱用にあたり許されない」ということになっています。「社会的相当性が認められ」ないのです。つまり「とんでもないことしてる」と言っているのです。しかも「職権の乱用」です。「許されない」のです。この決定では昌平高校側のやり方に対して相当強度の非難がなされていると認められます。「模擬授業に重点を置き過ぎている」から「別の研修方法も考えられる」というような弱い調子のものではないのではないでしょうか。

もっとも、毎日新聞はほとんど同一の記事を数時間前に配信しています。

教師特別研修:「権限乱用」と停止命令 さいたま地裁支部

 生徒のいない教室で模擬授業を週7回行わせるなどの「特別研修」を受けさせたのは退職強要にあたるとして、私立昌平高(埼玉県杉戸町)の国語教師、今村寛さん(50)が同校を経営する学校法人昌平学園(近藤好紀理事長)に研修停止などを求めた仮処分申請で、さいたま地裁越谷支部(佐藤美穂裁判官)は30日、「退職強要に利用されている証拠はないが、現在の研修は権限の乱用」と研修停止を命じる決定を出した。
 申請によると、今村さんは学校側による「授業力確認テスト」や生徒アンケートで点数が低かったことを理由に、昨年9月から特別研修に入るよう命じられた。授業から外され、生徒のいない教室での模擬授業や、席を離れるのに教頭の許可を求められるなどして自律神経失調症にかかったと主張していた。昌平学園は「研修は教師の問題点を改善する手段。模擬授業も指導力不足の教員には有効」と反論していた。
 決定は、特別研修が埼玉県の指導力不足教員に対する研修方法などと比べ「模擬授業に重点を置き過ぎている」と指摘。体調を崩した今村さんには「別の研修方法も考えられる」とした。
 同校は07年に経営法人が変わり、進学校を目指して方向転換を図っている。決定後、今村さんは「早く教室に復帰し、受験指導に傾いた学校の方向性を変えたい」と述べた。昌平学園の城川雅士広報担当は「研修は退職強要ではないと認められた。裁判所の決定に従い、今村さんの健康や内容に配慮して研修を改善したい」とコメントした。【平野幸治】

2009年11月30日21:35 毎日新聞


どこが違うかというと、見出しが違うわけです。差し替え前の見出しでは「権限乱用」の文字が踊っています。実際に踊っていたかどうか知りませんが、見出しの文字というものは踊ることになっているのですから仕方ありません。ところが記事の中にそれに対応する内容がありませんので、これは宜しくありません。もっとも新聞社では編集上の判断として記事の内容を必ずしも反映しない見出しをつけつことがあります。先日の「温情判決」などはその例です。

そういうことがありますんで、見出しの変更は必ずしも記事の内容にあっていないからというワケでもないでしょう。何らかの意図があるものと考えられます。おそらくその「意図」は、もう1つの変更点と関係があるのかも知れません。1日になって、以下の文字列が記事からデリートされました。

研修は退職強要ではないと認められた。裁判所の決定に従い、


この後に「今村さんの健康や内容に配慮して研修を改善したい」というのが続くんですが、これは同校の「広報担当」てゆーか要するに教頭である城川さんの言葉であるとされていますが、この部分があるのとないのとでは印象がエラく違います。ない場合、これは今村さんが研修がキツくて病気になったからなんとかしておくれと言っている、という話しになってしまいます。ところが本当のところは、昌平高校が今村さんに苛酷な研修を課すことによって退職を強要しようとしたのではないかということが問題であったのです。

毎日新聞がほんの18文字ばかりを削除して挙げることの出来た効果は絶大なものです。改編後の記事だけ読むと「停止命令」が出たのですから昌平高校は完敗したように見えるのですが、実際には城川さんは学校側の主張すなわち退職強要の不在を認められたことを喜んでいます。朝日新聞の記事では「本校の主張がおおむね認められたと理解している」と発言したことになっています。東京新聞では「学校を良くしたいという取り組みが基本的に認められたと評価している」、読売新聞によれば「主張の一部が認められなかったのは残念」ということになっていますが、「一部」以外は認められているというわけですから同じことです。毎日新聞だけがおかしなことを書いているようなのですが、それは差し替えのときにヘンなところを削ってしまったからなのです。

まあ、こんなところで毎日新聞を救ってあげても仕方ないのですが、学校側は「現在の模擬授業はいったんやめる」(朝日)、「模擬授業は一度中止する」(共同)、「模擬授業はいったんは中止する」(読売)、「改善を図りたい」(東京)などとしていますので、決定に素直に従う様子は見えません。したがって毎日新聞で「裁判所の決定に従い、」という文言を削ったのは正しい判断であったというべきでしょう。昌平高校は取り敢えず別の手で退職を強要するか、ほとぼりが冷めた頃に「模擬授業」を再開する意向のようです。

ところで裁判所の決定は、この事例の背後に存在する、昌平高校では2年間で教職員をほぼ丸ごと入れ替えてるに等しい大量の退職者を出しているという顕著な事実をあえて考慮に入れなかった点で不当なものではあります。まあこの場合はその点については考えに入れなくても「エア授業」に対する停止命令を出すことが可能であったのですから仕方ないのかも知れませんが、学校側の反応を見る限りでは近い将来に同じ問題が発生する種をまいたようなものです。

ところで毎日新聞によれば昌平高校は「進学校を目指して方向転換を図っている」そうですが、実際に目指しているのは「進学校」ではなくて「進学塾」ではないかという話しもあるわけですが、今村さんは「受験指導に傾いた学校の方向性を変えたい」と言っているそうです。学校側は経営方針に従おうとしない教員を排除しようとしたわけですが、このような場合に簡単に解雇できればこういう問題は起こらなかったと思う人もいるでしょう。そりゃそうだその場合は不当解雇など別の問題が起こるんですから。

現状ではそうなった場合に学校側にはほとんど勝ち目はありません。そこで学校側としては能力評価をわざと低くしてみたり、苛酷な研修を課したりして、対象者が自発的に退職するように誘導することになります。もちろん実際に職務遂行能力が著しく劣る場合には解雇もやむを得ないわけですが、いくら解雇規制をユルくしても、「考え方の違い」などを理由とした恣意的な解雇は許されないでしょう。そしてその場合に主観的な要素の強い「能力」の評価が、恣意的な解雇を目的として意図的に低くされる可能性は極めて強いものです。

極端な自由解雇の主張は「覚醒剤を合法化すれば覚醒剤犯罪はなくなる」とか言っているのと似ています。まあ、末端使用者の場合、覚せい剤取締法違反行為は違反者自身に向けられるのですから別にいいんですが、解雇は他者に向けれなされる行為なので、あまり暢気なことも言っていられません。実際には解雇は強者から弱者に向けて一方的に行なわれるものですから、規制はあって当然でしょう。

そのような規制をかいくぐるために雇用者が労働者を虐待するような場合、問題は別です。それはむしろ社内問題であったりします。例えば昌平高校の例では経営方針を変えるに際して教員側と合意を形成する努力を怠って来た形跡があります。大量の退職教員の存在はその表れでしょう。いかなる方針で経営を進めるにしても、円滑かつ効率的に行なうためには合意の形成がなされていた方が良いことは言うまでもありません。もっとも経営者が自分のやろうとしていることの正当性に自信が持てず、合意を取り付ける期待が低い場合は別です。そういう場合には、止めておけばよいというだけのことです。

そして栄光では今村さんの例のような紛争を解決することの出来る仕組みも持っていないようですが、これも経営者の自身の欠如の表れです。「文句があったら止めればよい」というのは大変に威勢の良い話しに聞こえますが、こんな経営者が行きつくところは失業者を大量に発生する「社会全体の不幸」である「ブラック企業」であり、紛争の表面化であり、社会的信用の低下です。

「進学校を目指す」のも良いのですが、その当の学校が全国的に有名な「ブラック学校」では優秀な生徒が来たがらないかも知れません。もっとも株式会社栄光に心配するに足るだけの「社会的信用」なるものが存在していたのかどうかは知りませんが、この調子でお続けになるつもりでしたら、「高校のフリをしたヘンな塾」というものになっていくんでしょう。


posted by 珍風 at 20:59| Comment(2) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
えー、世の中の経営者の方々は往々にして社員のロボット化に力を入れておられる様に見えますが、この学園の経営者の方もその例に洩れないように思われます。
これがふた昔前の学園ドラマなんかですと、学園乗っ取りを企む悪徳校長一派に対して正義感溢れる熱血教師が彼を憎からず思いながら日頃反目している理事長の娘である同僚と手を組んで校長一派の企みを粉砕してメデタシメデタシ。てなお話になるのでしょうが現実はそんなに甘くないようです。
さて、優秀なロボット教師が教育したお子たちが優秀なロボットとして生産されるであろうことは容易に想像できるわけですが、果たしてそんなロボットが溢れた世の中は良いものかどうかしらん、と、たぶん人間であるアタシなどは疑問を抱くわけですが、まぁロボットが欲しい世間の大半の経営者にとっての需要に合ってることだし、お国の方針でロボット大国日本を目指すなんて話も聞いたこともあるしでそれでいいのか。と妙に納得してしまう今日このごろでした。
ところで見出しの話で言えばこの間の産経新聞の「反日集会に祝電」の見出しにはネ申を感じてしまいましたが、ブログ主さまにおかれましてはいかがなものでございましょうか。
Posted by アシモフika at 2009年12月02日 13:27
愛してるとひと言
胸のスイッチ押してね
あなたの言う通りに
私は生きてみせるわ
お気に召すまま そうよ私ROBOT

   (「ROBOT」松本隆)

榊原郁恵ちゃんが「らしく」ないからなんだか間の抜けた印象があるわけだが、ちょっと良い曲だ。ちなみにこの曲を歌っていた頃、郁恵ちゃんはお父さんを亡くしているんで、そう思って聴くとまた別段の味わいがある。

実際にロボットな人は町工場の工業用ロボットよりも無能で困ることが多い。昌平高校でも暴走したロボットが散髪を始めたりして物笑いの種になったが、ロボットは人間よりも知能が劣る場合が多い。

コンセンサスがなくロボット化された組織では自発的に動いてくれないし、勝手にさせておくと概ね望まない結果を生んでくれるものだ。小池さんも近藤さんの示した方向で動いただけなんだが、チョロQみたいにその方向につっ走っただけで何も考えていない。周りの人たちも負けずにロボットだから様子を見て調節したりとかは出来ないものだ。近藤さんがいちいちプログラムしてあげないといけない。手間がかかってめんどくさいのがロボットというものである。

産經新聞は惜しいことをした。「反日集会に祝電」だったらネ申ですよ。実際には「「反日集会」に祝電」なのね。「反日集会」と括弧でくくっているのはどういう意味なのか。普通はこれだと産經新聞は「反日集会」だと思っていませんよ、誰か他の人が言ってるんです、というニュアンスになるかと思うが、その「誰か他の人」って誰よ。

これは産經新聞が、この集会を「反日集会」呼ばわりした、という非難を受けることを避けようとしたんだと思う。まあ「調節」したんだね。「ネ申」とか呼ばれるためには『稲毛新聞』みたいに「どうせ誰も読んでいないから、何を書いても大丈夫」という書き方をしなければダメだ。今回は「もっとがんばりましょう」だね。
Posted by テクノ珍風 at 2009年12月03日 10:20
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Tracked: 2009-12-03 21:51
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