2010年06月14日

「北」の密告社会

町村氏、補選に出馬 重ねて表明
 

 自民党の町村信孝元官房長官(衆院比例代表道ブロック)は14日、民主党の小林千代美衆院議員(道5区)が辞職の意向を表明したことを受け、衆院道5区補欠選挙について「小選挙区の1議席を確保するために立候補するという胸中に変わりはない」と述べ、あらためて出馬の意向を示した。国会内で記者団に語った。

 町村氏は小林氏の議員辞職を「当然だ」と指摘。辞職が国会閉会後となることについては「身を処するのであれば、一刻も早くというのが当然のことだ」と批判した。補選出馬のための自身の議員辞職時期は「選挙が近くなってから考える」と述べるにとどめた。

2010年6月14日 北海道新聞


小林さんは「政治とカネ」がどうのこうのとか言っていたようですが、ほとんど関係ありません。企業や財界からの献金と労働組合からのそれを同列に扱って、同じように報道していて良いものなのかどうかもアヤシイものです。

ひとつには、まあ、当然町村さんは出ますな。これは「政治とカネ」、というよりは「町村と小林」の問題であったりします。町村さんにとってはそれが第一の関心事でしょう。単なる使いっ走りですが。

もうひとつは「官僚と労組」でして、まあどっちもマスゴミ的には悪役なんですが、とにかく文部行政にとっては日教組が主要な障害物であることに間違いありません。文部省は、てゆーか直接的には北海道教育委員会ですが、検察と連携して4月ごろから猛烈な巻き返しを図って来ました。

教職員「物言えぬ雰囲気」 北教組事件 組合活動など調査


 北海道教職員組合(北教組(ほっきょうそ))による違法献金事件をきっかけに、北海道内のすべての公立学校の教職員に組合活動の状況や政治的行為の有無をたずねる調査が実施された。道教育委員会は「実態を明らかにして学校教育への信頼を取り戻したい」としているが、他の教職員の行動についても知っていることを述べるよう求める内容も含まれており、「物言えぬ雰囲気を生み出す調査だ」という声も出ている。

■校長室で聞き取り
 「今日から道教委の調査を始めます」。道北地方の道立高校で4月中旬、校長が朝の打ち合わせの際にこう呼びかけた。教職員は全員、放課後などに1人ずつ校長室に呼ばれ、それぞれ10分程度、調査を受けた。

 「なぜこんなことまで聞かれるのか」。自分の組合活動だけでなく、他の教員の組合活動についても聞かれた30代の男性教員は、納得がいかない様子だ。「北教組の事件は問題だと思うが、こんな調査をしていたら学校でニュースのことも話しづらくなる」「これを機に、全般的に締め付けが厳しくなっていくのではないだろうか」。同僚には、異論を唱えて回答を拒む教員も数人いたという。

 調査は、文部科学省が道内の教職員の任命権者である道教委と札幌市教委に要請する形で始まった。教職員は、地方公務員法や教育公務員特例法で政治的に中立であることが求められており、違法行為がないか調べるのが目的だとしている。

 50以上に及ぶ調査項目は道教委が作成した。組合活動や政治的行為、学校運営の実態や職員団体との関係について、校長が教職員に直接聞き取るものと、市町村教委などが校長に聞き取るものがある。学校には80ページに及ぶ調査用紙が配られた。

 現場の教職員らへの聞き取りは今月14日に締め切られた。道教委への最終的な報告締め切りは24日とされており、結果は文科省にも報告される。

■「不当調査」と反発も
 調査を拒否した教職員には職務命令を発することも可能で、調査によって違法行為を認定した教職員は処分する方針だ。ただ、道教委の中にも異例の調査に戸惑いがあり、道内各地の出先機関からは、「不当労働行為だとして校長が教員らから訴えられたらどうするのか」「締め切りを延ばすことはできないか」といった質問が本庁に寄せられたという。

 調査に対し、労働団体や弁護士団体など、これまでに20以上の団体が「組合の弱体化を狙った不当な行為だ」「個人の思想・良心の自由を侵している」と中止を申し入れた。

 当事者の北教組は、ここまで事件の説明責任を一切果たしていない上、本来なら先頭に立って調査に異議を唱えるはずだが、「公判中でもあり、現時点では何も言えない」と沈黙したままだ。

 それでも、分会(学校)単位では反発もある。4月末、札幌市内で開かれた退職教員らによる集会。道東地方の小学校の女性教員は「組合の存在、北教組の運動方針をも否定する調査で頭にきている」と発言した。この教員が勤務する小学校では、校長から調査について説明されるとすぐに分会の会議を開き、「不当な調査には応じられない」との分会の方針を校長に突き返したという。

 こうした中、道教委は調査について「北教組事件で失われた道民の信頼を取り戻すためのものだ」という説明を続けてきた。「教職員の政治的中立を確保するためであり、先生たちの組合活動自体を否定するものではない。細心の注意を払っている」という。

 札幌市教委は、道教委に比べると調査をソフトに進めた。校長が直接聞き取るのではなく、教職員には文書で回答を求めるやり方にした。札幌市は規模が大きい学校が多数あり、「学校側の負担を小さくした」というのが市教委の説明だ。教職員が回答を拒否した場合の取り扱いについても「個人の判断であり、職務命令を出してまで回答させることではない」という構えだったが、結局市内の学校では組合側による拒否行動はなかったという。

 北海道大学の道幸哲也教授(労働法)は「社会問題化した事件とはいえ、個々の教職員への聞き取りは一人ひとりの考えを問うことにもなり、『物を言わない方がいい』ということになる。校長への調査結果をもとに北教組の執行部と話し合うなど、労使間でもう少し何とかできないのか」と話す。「一番の問題は、調査によって、政治を含めた話題を自由に議論する雰囲気が損なわれること。教師が政治的であるのと、政治を議論するのは違う」と話す。(小林舞子)

【校長が教職員に聞き取った調査項目の例】
〈組合活動〉
・勤務時間中に校内で行われた職員団体の集会に出席したことがあるか
・教研集会に参加したことがあるか。必要な年休手続きは行ったか
・(FAX、コピー機、電話、パソコンなどを)職員団体用務のために使ったか
・上記について勤務時間中に使ったか
・上記について校長の承認を得たか
・上記について、使用しているのを見聞きしたことがあるか
〈政治的行為〉
・職員団体からカンパ要請を受けたことがあるか
・校内でカンパの集金、勧誘をしたことがあるか
・選挙運動の「指令書」と呼ばれる文書を知っているか
・選挙区ごとの「専従担当者」になったことがあるか
・「個別訪問」を行ったことがあるか
・「ビラ配り」などを行ったことがあるか
・「支持者カード」による支持者獲得を行ったことがあるか
・校内に特定政党や候補者のポスターを掲示したことがあるか
・上記の行為を見聞きしたことがあるか

2010年5月24日 asahi.com


「献金」の「違法性」はともかく、選挙によって選ばれた政権与党を応援したことで「政治的中立性」にもとるとされるなんてのは、自民党時代には考えられないことです。ともあれ、3月の末頃までには検察から何らかのサインが、「これはいける」という情報が出たことによって、巨大な装置が稼働し始めた模様です。

バッテリーはビンビン、気合い入れてくぜ、というわけで現場での密告は5月14日に締め切って24日に教育委員会に提出ですが、それを文部省に上げたら次は一般からの密告も募集します。

先生の違反 受け付け 道教委
禁止政治行為 指導要領逸脱
道教委、保護者や同僚から


 道教育委員会は、公立学校の教職員に違法な政治的行為などがあった場合の情報提供を、早ければ6月上旬から受け付ける。北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件に関連して道教委が情報提供制度を検討しており、26日の教育委員会で制度の原案が了承された。道民の情報をもとに必要があれば調査することで、学校教育への信頼を確保するのが目的としている。

 受け付ける情報は、(1)学習指導要領に基づかない指導(2)公職選挙法などで禁じられた政治的行為――の2項目。道教委の教育政策課長が窓口となり、保護者や住民、教職員らから手紙、メール、FAXで受け付ける。

 個人的な誹謗(ひぼう)や中傷を目的とした情報提供を防ぐため、情報提供者が氏名と連絡先を明らかにするのが原則だが、情報提供者が特定されないよう適切に管理するという。

 情報をもとに道教委の担当部署が調査するほか、市町村立学校の情報があれば、必要に応じて市町村教委に調査を依頼するとしている。

2010年5月26日 asahi.com


こんなことで「学校教育への信頼を確保する」のは難しそうですが、むしろ相互の不信の醸成が支配の要諦ですから大丈夫オッケーです。嫌いな同僚やイヤな先生を陥れるには良い制度です。嫌いな人Aのことを嫌いな人Bの名前で密告するのが普通です。

で、まあ、ここまでは特定の政党を支持するというような、いわゆる「政治的行為」が対象ですが、もちろんそんなのは序の口で、やっぱり出るものが出るわけです。

君が代で不起立教職員いれば校名公表 北海道教委が検討


 卒業式や入学式での君が代斉唱をめぐり、北海道の高橋教一教育長は11日、起立しない教職員がいる学校の名前の公表を検討していることを明らかにした。北海道教職員組合(北教組〈ほっきょうそ〉)による違法献金事件の発覚後、道教委は君が代斉唱について学校現場への指導を強化。今春は多くの公立校に職員を派遣して指導したが、68校(指定市の札幌市立校を除く)で不起立者が出た。

 道教委は、学校名の公表という「ペナルティー」によって不起立者を減らしたい考えだが、現場の教職員からは反発が出そうだ。

 不起立者が出た68校のうち、道教委は道立の5校(いずれも特別支援学校)について、校長を通じて改めて指導。その上で、来春の卒業式や入学式で再度起立しない教職員が出た場合、個々の教職員の処分のほか、学校名の公表を検討するとしている。高橋教育長は、他の市町村教委に対しても「同様の対応が図られるよう働きかける」としている。

2010年6月12日 asahi.com


密告と吊るし上げという、なかなか人間味溢れる対策ですが、道教委によると「学習指導要領に基づいて指導が行われる」とのことです。学習指導要領には何が書いてあるのか分ったものではありませんが、学習指導要領の法的性格については議論のあるところではあります。しかし、上から降りて来た文書というのは、「官僚」においては概ね絶対的拘束力を持つものであると言っていいでしょう。これが官僚の官僚たる所以であり、全自動洗濯機と同等の機能を提供するものです。

したがってある施策を実施すべきであるとかすべきでないとかいう高度な判断は求められてもいませんし、やろうとしても能力を超えます。それで場合によってはこのように愚にもつかないことを得意満面でしでかしてしまう虞れがあるので、現場の労働者が障害物として存在するのは極めて意味のあることであると考えられます。

特に教育行政は、その「被害」が12年から16年程度に限られること、しかしその悪影響が生涯にわたって被害者を悩ませる可能性があること、直接の被害者にこれに対抗する権利が充分に認められていないことなどから、労働組合の持つ意味は更に大きいものであるとも言えるでしょう。ところが官僚装置は機械的に障害物を排除しようとするのが普通です。

ところで「保護者」は何をしているのか、ちょっと気になるところですが、保護者は多分、ガキが人生の初期に「被害」に遭うのは良いことであると考えているかも知れません。世の中では間違ったことがまかり通っているのですから、学校でも間違ったことがまかり通っているのを見せておくのは良い社会訓練です。いくらヤクザが悪い人でも、正面から立ち向かっていくと直ぐに死んでしまいます。そういうことをする人は世間知らずだということになるでしょう。日の丸が掲げられ君が代が演奏されている間は、道でヤクザとすれ違っているのと同じことなのです。極めて大きな教育的価値が認められるといって過言ではないでしょう。

それはともかく、別段「官僚」がそんなに悪いわけではありません。とりたてて良いわけでもありませんが、それはつまり使用者の望むところを実行すべくプログラムされた道具です。彼等の実行することはこの国を動かそうとしている人たちの望むことでしかないのです。官僚自身の意志、というのはエサに食い付く衝動以上のものではありません。しかし民主党はどうも、この装置の使用者になることが出来なかったようです。菅さんの政権の始まりが事実上、小林さんを切り捨てることから始まったことでそれは明らかですが、手を離してしまえばそれは元の持ち主のところに帰ります。


posted by 珍風 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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