2010年07月10日

1円を笑うものが最もよく笑う

「衆院選まで1円も上げず」=消費税の扱い、首相強調


 菅直人首相は9日夜、千葉市内で街頭演説し、消費税について「次の衆院選までは、1円たりとも上げない」と強調した。これに先立ち、首相は山形県天童市で記者団に「次の衆院選まで一方的に上げることは全く考えていないし、約束している。誤解があったとすれば、解消するよう全力を挙げたい」と述べた。

 参院で与党過半数割れの可能性が報じられていることに関し、首相は記者団に「私が消費税に触れたことが、すぐに税を引き上げるのではとの心配につながったのではないか。やや(真意を)超えて受け止められたことが原因かなと思う」と語った。

 参院選で敗北した場合の責任については「一人でも(多く)民主党公認、推薦の仲間を当選させ、責任ある政治を継続できる状況をつくりたい。人事を尽くし切ることが今の責任ある行動だ」と述べるにとどめた。

2010年7月9日 時事


誰も「誤解」なんかしていませんから大丈夫です。残念ながら「誤解」しているのは菅さんの方で、「私が消費税に触れたこと」が良くなかったわけではありません。しかし、これに先立って菅さんは民主党の候補者に頓珍漢な指令を発しています。

首相「消費税論議の必要性訴えて」 民主候補らにメール


 菅直人首相は7日、参院選の民主党候補や所属する衆参議員らに「代表メッセージ」をメールで送付し、消費税を含む税制改革について超党派での議論の必要性を街頭演説などで訴えるよう指示した。党内には戸惑いもある。

 送付されたのは「候補者及び民主党の支援者の皆様へ」と題されたメールで、首相は事業仕分けや子ども手当、農家への戸別所得補償などを取り上げて「自民党政権下ではなし得なかった政策転換を大胆に実施してきました」と強調。「こうした実績を訴え、政権交代の効果を実感してもらえるよう努力して下さい」と呼びかけた。さらに「消費税を含む税制の改革については、この国が世界に誇る社会保障制度を維持するためにも、超党派での議論が必要であることを国民の皆さんに訴えて下さい」と続けた。

 税制論議にほとんどの候補者が触れない現状への不満があると見られるが、党内からは「選挙情勢が余計に悪くなるだけ。無視する」(中堅議員)との反発も出ている。

2010年7月7日 asahi.com


これは多分、七夕の日に天気が悪かった腹いせでしょう。「誤解」の余地は微塵もありません。「消費税を含む税制の改革」とは「消費税増税」のことを指します。「議論が必要」とはそれを実施することを意味します。菅さんのつもりでは、要は言い方であって、上手く言いくるめろということだと思いますが、「党内」ではこの「メッセージ」を国民の立場に立って読解してしまった人がいるようで、そういう人は当然のことながら「選挙情勢が余計に悪くなるだけ。無視する」ということになるでしょう。

このように解釈した場合は、翌々日になって菅さんが「1円たりとも上げない」と言い出したことに不審の念を抱くことになるはずです。上げんのか上げないのかどっちだよ。「議論」とか言ってツッ込まれたらどうすればいいのよ。

まあ、「千葉市内」での菅さんの発言は、「次の衆院選」が終わったら消費税をなんぼでも上げる、という意味ですし、事と次第によっては「次の衆院選」なんてものは直ぐにでもやれますから、「すぐに税を引き上げるのではとの心配」はあながち「誤解」とも言い切れません。菅さんは国民の多くは大学を出ていないのでバカだと思っているかも知れませんが、字が読めないのは菅さんの方です。

菅さんには難しかった「議論の中間的な整理」を出した政府税制調査会の専門家委員会の委員長として、菅さんの「誤解」のおかげで「諸悪の根源」のように「誤解」され、結果、岩波新書が売れているらしい神野直彦さんは、「メッセージ」と「1円」の間の8日に西日本新聞のインタビューに登場し、「誤解」の払拭を図っています。

税制の抜本改革 必要 消費税、所得税柱に 「上げ潮」が格差を拡大


 菅直人首相の「消費税10%」発言で参院選の論点に浮上した税制改正。菅首相が唱える消費税引き上げや法人税引き下げは、政府税制調査会の専門家委員会の「議論の中間的な整理」が土台だ。同委員会の神野直彦委員長は8日、西日本新聞のインタビューに応じ「国民の生活を支える社会保障財源を確保しておく必要がある」と抜本改正の意義を説いた。 (聞き手は岩本誠也)

■政府税調専門家委神野委員長に聞く

 −なぜ税制の抜本改正が必要なのか。
 「日本は1980年代半ば以降、経済成長を重要視する『上げ潮』の考えで、所得税や法人税を引き下げてきた。経済が活性化し、税収が増え、国民全体が豊かになるはずが、減税を繰り返しても産業構造は転換せず、賃金は上がらなかった。税制の所得再分配機能は低下し格差・貧困社会ができあがった。税収力は落ち、国家財政破綻(はたん)が近づいている。このままでいいのかという問題だ」

 −「中間的な整理」では、所得税と消費税を両輪と位置付けた。
 「日本は柱となる基幹税がない状態なので、所得税と消費税を基幹税として税制全体を再構築すべきだ。国と地方の関係を含め抜本的な改革案を示すのが専門家委員会の使命。戦後税制の基礎となったシャウプ勧告(1949年)に匹敵するような、一つの思想、理念に基づき体系だった改革案を2年間でまとめる」

 −菅首相は、参院選後に超党派で消費税増税を含む税制改正を議論し、本年度内に結論を出すと言っている。
 「首相の発言が、税制改革での考えか、政治的な意図があるのか分からないが、本年度内は案を作るところまで。税制の抜本改正前には衆院選で国民の信を問うと言っている。税体系を作り替える抜本改革なので、10%などと消費税率だけ取り上げる意味はない」

 −菅首相の「強い経済、強い財政、強い社会保障」は、委員長の以前から主張だ。
 「金融が混乱する中で、国債の引き受け手がいつなくなるか分からない。その日に備え税収力を高めておく必要がある。借り入れに依存せずに人々の生活を支えられる財政基盤が必要。そうすれば失敗を恐れず、企業は新しい産業に、個人は新しい仕事に挑戦できる。産業構造が転換し、強い経済につながるはずだ」

◇ じんの・なおひこ ◇
東大卒。東大名誉教授。地方財政審議会会長。専門は財政学・地方財政論。64歳。

2010年7月9日 西日本新聞朝刊


「税体系を作り替える抜本改革なので、10%などと消費税率だけ取り上げる意味はない」のであって、これが理解出来れば「消費税を含む税制の改革」という言い方は出来ないはずです。敢えて言うのであれば「所得税と消費税を含む税制の改革」となるべきでしょう。その目標は再分配機能の向上と収税力を高める事です。したがって逆進性を持つ消費税増税は、もし行なわれるとしてもかなり抑制されたものにならなければなりません。

ところが菅さんは相当頭が悪いのか、財務省に洗脳され、更に菅さんが財務省を洗脳したというニセの記憶を植え付けられたのか知りませんが、これを「消費税を上げること」を正当化する議論だと思うことにしたようです。後になってからあわてて枝野さんが「所得税の最高税率を見直す」とか言ってもダメです。そっちを先に言っていれば状況はだいぶ違ったと思うんですが、「やりたいこと」を先に言ってしまって、後から「できたらやりたくないこと」を仕方なく持ち出す、というのではかえって逆効果です。

菅さんがシステムとして構想されている税制改革の要素を、「税制改革での考え」ではない「政治的な意図」によって単体として持ち出して来てしまったので、税制改革が上手くいかなくなる可能性が出て来ています。このような改革が出来るのは民主党政権だけであって、ヨシミなどを含む「自民党グループ」ではありませんが、ただし菅さんや枝野さんは「税体系を作り替える抜本改革」をやる気などさらさらないことを露呈し、「政治とカネ」などの噂話のムード的なレベルではなく、政府としての政策によって支持率を低下させ、民主党政権そのものを崩壊させようとしています。

これは政権が変わっていく時には発生する可能性のある危機です。必ず反動の巻き返しがあり、それに取り込まれる幹部がいるのです。よくある話です。「政権交代」は選挙の結果ではなく選挙の結果によって開始されるプロセスであって、なにしろ進行中の事象なので色んなことがあって全然おかしくありません。イヤンバ菅のおかげで今回の参院選では民主党が54議席を確保出来ないとか言われていますが、それもあり得る事です。むしろ民主党において「政権交代」が後退している現状では政権交代の過程に加わっている民主党以外の勢力を強める必要があるでしょう。

民主党が減るかわりに連立に加わっている国民新党、及び再び加わりたがっている社民党が左右から押したり引いたりする力を確保する事ができればよろしい。何よりも「自民党グループ」各党の候補を落とすことが先決で、一部では定数2以上の選挙区において2人存在する民主党候補を「親小沢」と「反小沢」に分けてどっちに投票しようか、なんて言っている人がいて、詳細な一覧表まで作っていらっしゃる方もいるようですが、他に国民新党か民社党の候補が立っていないのであれば両方とも当選でいいのではないでしょうか。したがってもし操作的な投票を望むのであれば2人のうち得票の少なそうな方に入れてあげましょう。菅さんが「1円」とか言っていた「千葉」ではそれでも1議席余るのですから贅沢なものです。


posted by 珍風 at 10:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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