2010年12月12日

支配者階級のワイルド・セックス・クライム

仙谷官房長官「中国は常識共有を」


 仙谷由人官房長官は10日の記者会見で、ノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏の授賞式出席を認めない中国政府の対応について「できる限り国際社会が認めるルール、コモンセンス(常識)を共有化していただきたい」と述べた。

2010年12月11日 産經新聞


随分と素っ気ない言い方ですが、仙石さんの「できる限り」というのが実はかなり高いレベルでの達成を視野に入れているものであることに注意すべきでしょう。

仙谷氏「知る権利に制約あり得る」 政府・情報保全委の初会合


 仙谷由人官房長官は9日午前の記者会見で、政府の情報保全に関する検討委員会(委員長・仙谷氏)が初会合を開いたのを受け、「知る権利や行政情報の公開、報道の自由は現代社会の基本だが、一定の制約があり得るのではないか」と述べた。

2010年12月9日 産經新聞


仙石さんは常に「国際社会」の立場でものを言っています。「国際社会」というのは国際社会ではない、例の「国際社会」のことで、少女歌劇をやるところが「国際劇場」だったりしたのとは全然違います。「国際葬儀社」というのは何かの冗談だったかもしれませんが、「国際文化センター」という葬儀会社は実在するのですから油断はできません。それどころか「国際葬儀連盟」という葬儀屋さんの「国際機関」も存在します。

これはクリ婆が提唱している「国際社会」のことですが、その「国際社会」の「コモンセンス」によれば、問題は「罪状」であることは明白でしょう。確かに中国も指摘する通り、「国際社会」はそれぞれが「国家反逆罪」とか「国家煽動転覆罪」を持っていて、支配下の人民を自由に捕まえたり殺したりすることができるようになっています。

しかしながら、「国際社会」ではこのような場合、対象者が被支配者の間で英雄視されたりする場合が多く、かえって逆効果になることが歴史の教訓として学ばれています。事実、中国でもそういうことは起こっているのであり、政府当局はそのための対策に多くの予算と人員を投下することを余儀なくされています。

経済成長の著しい中国では、このような「無駄遣い」も大目に見ることが出来るのかもしれませんが、「国際社会」ではより「エコ」で「ロハス」な方法を取ろう、というのが「コモンセンス」になっているので、そのような立派な「犯罪」で人を捕まえることは滅多にありません。

そこで仙石さんの提案は、「国際社会」の「コモンセンス」に基づき、劉暁波さんにはアサンジさんと同じく「強姦罪」を適用すべきだ、というものでしょう。性犯罪者というものは一般に「英雄視」されることが少ないものです。それどころか蔑視され、忌避されることになります。てゆーか今や「反社会的」であると受け止められる「犯罪」は「性犯罪」を置いて他にはありません。

この点、中国政府が劉暁波さんに「国家反逆罪」を適用していることは、「国際社会」に比べてより正直であり、「透明度が高い」ものであることは言うまでもありません。この傍若無人なまでにストレートな態度が、「国際社会」のスマートなハイソサエティから見れば些か田舎臭いものに写るのはやむを得ないことです。

「国際社会」における「強姦罪」のあり方は多様であり得ます。「反逆者」を「性犯罪者」にしてしまうのには、様々なやり方があります。「痴漢」をでっち上げるのもその一つかも知れませんし、「言論」を「性犯罪化」してしまうのも一つのやり方でしょう。

マンガの過激性描写、東京都の規制条例成立へ 「慎重な運用」で3会派一致


 過激な性描写のある漫画の販売を規制する「都青少年健全育成条例」の改正案について、民主、自民、公明の3会派が「慎重な運用」を求める付帯決議付きで合意し、12月議会で成立する見通しになった。「表現の自由の侵害」と出版業界からの批判も根強いが、子供を性的対象にした問題が絶えない現状から、一定の規制が必要との考えで3会派が一致した。13日の都議会総務委員会の採決を経て、15日の本会議で正式に可決する。

 改正案をめぐっては、6月議会で「規制対象があいまい」とする都議会最大会派の民主などの反対で否決。今回案では、強姦(ごうかん)など「刑罰法規等にふれる性行為等」と規制対象が明確化された。しかし、漫画家や出版業界は「創作活動を萎縮させる」と反対の姿勢を崩していない。

 焦点になっているのは、過激な性表現の漫画などを成人コーナーに区分陳列する対象の範囲。出版業界は規制対象を刑罰法規とすることにも「時代設定などが異なる漫画に現行法を適用するのは無理がある。あいまいな部分が残る」として、業界の自主規制を主張。角川書店のほか講談社など漫画の主要出版社でつくる「コミック10社会」が、都が主催者に名を連ねる「東京国際アニメフェア」への出展辞退を10日に表明した。

 一方で、東京都小学校PTA協議会など保護者団体は「子供の性的な価値観がゆがめられないようにしたいという親の当たり前の願いを反映している」と訴え、早期制定を求める要望書を石原慎太郎知事に提出。石原知事は「自主規制だけで収まらない図書が現実にあり、野放図になりすぎている」とし、出版業界に対しても「販売規制が表現の自由を侵害するなんて荒唐無(む)稽(けい)な話。区分陳列を制限することが何で表現の自由にかかるのか」と批判した。

 こうした状況を受け、前回案に反対した民主内でも「子供を守るという条例の趣旨にはもともと反対ではない。反対のための反対は理解が得られない」と事態打開の動きが先鋭化。10日に3会派や都の幹部が集まり、「作品の芸術性や社会性などを勘案し、慎重に条例を運用する」「『不健全図書類』を指定する審議会での検討時間の確保に努める」などとする内容の付帯決議を盛り込み、出版業界へも配慮する形で合意した。

2010年11月11日 産經新聞


「国際社会」の優れた人権感覚に賛同する民主党が賛成に回ったのはむしろ当然でしょう。このような法においては「犯罪」が取り締まられるのではありません。取り締まりの対象となったものが「犯罪化」されるのであり、とりわけ「性犯罪化」されることになりますが、その「対象」は曖昧なままです。「刑罰法規等にふれる性行為等」という、「等」を2つも使った規定が「明確」であるはずもありません。

例えば「刑法」に限っても「内乱予備または陰謀」などはその適用範囲を相当に広げることができる一方、そのような「行為」は「性行為等」に含まれることになるでしょう。たしかに「国家反逆罪」よりはスマートで都会的で西浅草あたりでは充分に通用するギロンでしょう。

民主党ではこれを「慎重に運用する」という「付帯決議」を付けると言っていますが、「付帯決議」が後になって顧慮されることはありません。てゆーか「慎重に」というのは「恣意的に」とどう違うのかまったく不明であり、何の意味もないのですから無視されても良いようなものでしかありません。さすがにプロの法律家のいる政党はひと味違うものです。

しかし石原さんとPTAが密かに同意したところによれば、それは「一部の宗教的偏見等にふれる言動等」も含むものであることが明らかになっています。これは「国際社会」に対して堂々と主張出来る点であります。1993年の世界人権会議が採択した「ウィーン宣言」では「国家的、地域的特殊性並びに様々な歴史的、文化的及び宗教的背景の重要性を考慮しなければならない」として、ありとあらゆる無知と蒙昧と偏見と権力者の都合を重視すべきであるとされているのです。

もっとも、これは「宣言」の「5」の第3センテンスの前半でしかありません。これは主に中国辺りの意見を容れて加えられたものです。ちなみにそこんとこの全文は

5.すべての人権は、普遍的且つ不可分であり、相互に依存し且つ関連している。国際社会は、公正で平等な方法で、同一の立場に基づき且つ等しく重点を置いて、人権を地球規模で取り扱わなければならない。国家的、地域的特殊性並びに様々な歴史的、文化的及び宗教的背景の重要性を考慮しなければならないが、すベての人権及び基本的自由の伸長及び保護は、その政治的、経済的及び文化的制度のいかんに拘らず、国家の義務である。


言論出版の自由と児童の性的自己決定の自由を含む権利とは「相互に依存し且つ関連している」のであり、「すベての人権及び基本的自由の伸長及び保護は、その政治的、経済的及び文化的制度のいかんに拘らず、国家の義務である」とされています。「子供の性的な価値観」が偏った見地からして「ゆがめられる」ことは「伸長」され「保護」されなければならない、というのが国際社会の常識となっているようです。

しかし実際の「国際社会」では国際社会の常識よりも「「国際社会」の常識」の方が優先されるようです。そのおかげで国際人権規約の「選択議定書」の批准すらしていない日本はオバマさんからもプーチンさんからも何も言われませんし、中国が「国際社会」で主要な地位を占めつつある現在、日本の存在がますます彼等を勇気づけていることは間違いないでしょう。つまり日本は中国にとって「恩人」なのです。アジアでは人々は自分を諦めることが当然であることを日本が率先して主張してくれているのです。中国の人権状況を改善したいのであれば日本の人権状況を改善する必要がありますが、日本ではそれは望まれていません。したがって喜んで劉暁波さんを見殺しにしましょう。


posted by 珍風 at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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