2011年01月20日

われが名は春盗人と立てば立てただ一枝は折りて帰らん

連合、給与総額1%上げを 春闘、経団連は雇用優先崩さず


 日本経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長が19日午前、東京都内で会談し、2011年春闘が事実上スタートした。手当や福利厚生などを含む給与総額の1%引き上げを求める連合に対し、経団連は「雇用が最優先」との姿勢を崩さず、今後の労使攻防は厳しいものになりそうだ。

 古賀会長は会談で、1997年をピークに賃金が減少傾向にあると指摘。その上で「(人件費削減が続けば)低成長とデフレのわなから抜け出せない」と述べ、労働側への配分を増やすことこそが内需を活性化させ、経済全体を成長させると主張した。

 連合側は、厳しい状況に置かれている非正規労働者の処遇改善の必要性を強調。女性の活用促進も求めた。「低所得者層が増え、日本社会は底割れしている」との意見も出た。

 一方、米倉会長は「デフレの継続などで自律的な景気回復が見通しにくい状況が続いている」と述べ、厳しい経営環境が続いているとの認識を表明。経団連側はデフレについて、少子高齢化による国内市場の縮小やグローバル競争の激化などが原因と主張し、人件費を増やすことがデフレ解消につながるとする連合側に反論した。

 今春闘で連合は、賃金水準を一斉に底上げするベースアップ(ベア)の統一要求を見送る一方、給与総額の増額を要求。年齢や勤続年数に応じて本給を増やす定期昇給は実施を大前提としており、経団連は定昇維持については容認姿勢を示している。

2011年1月19日 中国新聞


実に何ともいい加減な記事で、中国の新聞かと思ったら中国の新聞ですが、記事の中の米倉さんの言い分には「雇用が最優先」なんてひと言も出て来ていません。『中国新聞』というのは日本語を解さない人が記事を書いているのか、記者の妄想が書いてあるのか、さもなければ特殊な用語を使っているかでしょう。

確かに、理由はよく分からないのですが春闘の世界では経営側が「雇用」と「賃金」をゼロサムの話にしているようなので、「雇用優先」というのは「賃上げしない」ことの婉曲な表現であるのかもしれませんが、いくらなんでも企業が「雇用を優先」しているとはとても思えない昨今、単なる慣用表現であるとしても現実と相反するような書き方は避けるべきでしょう。

実際にはこの中国記者さんは、17日に頸断連が発表した「経営労働政策委員会報告」を読んできたので、ちゃんと取材しなくても記事が書けると思ってしまったようです。「報告」にはちゃんと、「国内事業の維持には、賃金より雇用重視が必要」と書いてあるのですから、米倉さんはそういう風に言うに違いない。

まあそんなことも言ったかも知れませんが、「報告」をよく読むと、確かに「賃金より雇用重視が必要」であるにしても、「雇用」がそれほど「重視」されるわけではないようです。企業は膨大な内部留保を有していますが、これを賃上げや雇用に使うかというとそうではありません。「設備や将来の成長の原資に回す」としています。

要するに金はあるけど労働者に回す金などない、というわけですが、そのうえで「春闘」とか言うのを止めて「春の労使パートナーシップ対話」にしよう、などとそれこそ脳に春が来て梅が咲いたようなことを言っているのが気が利いていますが、この辺のトレポネーマな事情を、桜花を愛でる『産經新聞』が説明しています。

視界ゼロの雇用情勢 企業にたまるカネ、雇用にまわらず


 平成20年秋のリーマン・ショックの痛手から回復してきた日本企業が、国内の新卒者採用になお慎重な姿勢を崩していない実態が大学生の就職内定率から浮き彫りとなった。政府は法人税の税率を引き下げて企業の税負担を軽減し、採用拡大につなげたい考えだが、企業の採用に対する優先順位は高くなく、改善の道は依然、視界ゼロだ。

■カネはあるのに

 新卒者採用をしぶる日本企業も、資金繰りが逼(ひっ)迫(ぱく)しているわけではない。
 日銀調査によると、企業の手元資金を示す「現金・預金」(昨年9月末時点)は、前年同期に比べ5・0%増え205兆9722億円になり、過去最高を更新したほどだ。リーマン・ショックで打撃を受けた企業が、雇用調整や設備投資の抑制で、現金などの資金を増やしている姿が浮かぶ。
 それでも採用拡大に踏み切らない理由について、アナリストは「デフレが止まらず、人材に投資するリスクをとれない」という。人件費が膨れ収益を圧迫することを恐れているためだ。
 一方で消費が拡大する新興国では、家電業界や衣料品メーカーが現地採用を積極化している。採用枠が海外勢に占められれば、日本人枠は狭まる恐れがある。

■縮む市場、余る雇用

 国内では生産力を持てあましている。
 内閣府推計によると、日本経済全体の需要と供給の差を示す需給ギャップは、22年7〜9月期には年換算で約15兆円だ。それだけ需要が足りないことを示す。20年7〜9月期から9四半期連続で需要不足なうえ、18年10〜12月期まで9年半もマイナス続きで、ほぼ慢性化している。これが工場などの稼働を低下させ、失業率を悪化させる要因となっている。実際、雇用の過剰感も解消されていない。
 日銀の22年12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、雇用が過剰だと考えている企業は、不足だと考えている企業よりも6%多かった。21年6月以降続く改善も、前回調査(22年9月短観)からの改善は1ポイントにとどまる。

■減税分も「内部留保」に

 政府は23年度から法人税の実効税率を5%引き下げる方針だ。生産拠点の海外流出に歯止めがかかり、9万人の雇用創出効果があると試算する。
 しかし、帝国データバンクの昨夏の調査によると、減税分の使い道で最も多かったのは、企業がためこむ「内部留保」(25・6%)だ。このままでは就職氷河期は長期化する。
 日本経団連の米倉弘昌会長は、昨年暮れに菅直人首相が法人税減税を雇用拡大に活用するよう要請した際「お約束できかねる」と突っぱねた。みずほフィナンシャルグループなど、「新卒」と「既卒」を区別しない採用方針を決めるなど企業ごとの取り組みも出始めたものの、その効果は未知数。「政府が職業訓練の充実など就職支援を充実させるべきだ」との声は根強い。
 実際に政府はこれまでも就職先未定者への職業訓練の実施や生活支援、採用企業への奨励金支給などを実施してきた。しかしその効果があがっていないのは、一向に改善しない雇用情勢が証明している。政府頼みにする時期はとうに終わっている。

2011年1月18日 産経ニュース


『産經新聞』のことですからどうして「需要が足りない」のかは書いてありませんが、「政府頼みにする時期はとうに終わっている」んだそうですから政府が法人税減税を撤回しても文句は言わないでしょう。むしろ法人税を上げてしまっても良いのではないか。

夢を見ながら梅園をさまよう風流人、米倉会長は「自社の発展を考えるのは労使の共通認識だと思う。労使一丸となってグローバル競争に打ち勝っていかねばならない」だとか言っていますが、雇用も賃上げもなし、というのが頸断連の姿勢です。したがって「会社が潰れる代りにお前等が潰れろ」とばかりにクビを切られるのも「一丸」のうちなのかも知れません。しかしよく考えたら労働者にとっては自分が潰れるよりは会社が潰れた方が良いのです。別の会社に行って、また潰せばいいのです。死んでしまっては何にもなりません。

そういうわけで「一丸」とか言っている「時期」も「とうに終わっている」わけですが、既に佐川急便の覚醒した労働者諸君は自らが雇用されている企業から千万単位での現金の獲得に、一時的にではありますが、成功しているようです。

着服:商品代金3470万円 容疑の佐川急便元店長、逮捕−−高崎署 /群馬


 高崎署は17日、配達した商品の代金として預かった現金約3470万円を着服したとして、埼玉県草加市稲荷5、佐川急便群馬店元店長、宮田新一容疑者(42)を業務上横領容疑で逮捕した。

 逮捕容疑は、10年6月18日、兵庫県姫路市の家電販売会社が注文した製品約500個の代金として預かった約3470万円を着服したとしている。

 同署と佐川急便によると、家電販売会社は商品の受け取り時に商品の代金を運送会社に支払う代金引き換えサービスを利用。通常は配達したドライバーが代金を受け取るが、多額だったため宮田容疑者が会社側に直接受け取りに出向いたという。

 着服容疑は数日後に発覚し、佐川急便は同26日に宮田容疑者を懲戒解雇、昨年11月に告訴していた。着服したとされる現金のうち1300万円は解雇前に返却されたが、残りは「借金の返済や、一獲千金を狙った競馬に使った」と供述しているという。

 佐川急便広報部は「今回の事件を重く受け止め、管理職の指導を再度徹底し、警察の捜査にも全面的に協力したい」とコメントした。【喜屋武真之介】

2011年1月18日 毎日新聞


「着服」の反対は「脱衣」ですか?違います。「強盗」の反対が「弱盗」ではないのと同じように。

強盗容疑:佐川急便社員2人を逮捕 同社品川店での事件


 東京都大田区の佐川急便品川店で昨年9月、現金が奪われた事件で、警視庁捜査1課は19日、いずれも同区内に住む同店営業課係長、祝田(いわいだ)秋光(42)と同営業課社員、松本光広(38)の両容疑者を強盗容疑などで逮捕したと発表した。祝田容疑者は容疑を否認し、松本容疑者は「間違いない」と認めているという。

 逮捕容疑は、9月24日午後4時ごろ、同区東糀谷6の品川店1階仕分け作業所の無施錠の裏口から侵入し、女性事務員2人に刃物を示して売上金約1100万円入りの収納袋を奪ったとしている。

 捜査1課によると、作業所内にいた祝田容疑者が松本容疑者に侵入するタイミングの合図を出していた。2人には借金があり、松本容疑者は「現金は折半した」と供述しているという。収納袋のうち最も現金が多い袋だけを数秒で奪う手口などから、内部事情に詳しい男らが関与したとみて捜査していた。

 佐川急便広報部は「従業員が逮捕されたことを重く受け止めている。捜査に全面的に協力し、従業員教育を徹底したい」とコメントした。【山本太一】

2011年1月19日 毎日新聞


とりあえず「借金」、といってもこのようなやり方で返さなければならなかった「借金」ですが、それを返すことが出来たのは何よりでした。危ないところであり、真剣な意味で「命拾い」をしたと言うことが出来るでしょう。死んでしまっては何にもなりません。

このような行為を世間では「春盗」とは言わずに、もちろん「対話」とも言わないわけですが、「横領」だとか「強盗」だとか、人聞きの悪いことを言うようです。しかしながら政府も連合も労基署も警察も「頼みにする時期は終わっている」んだとすれば「ダッシュ」で鍛えた足腰だけが頼りです。その意味では奪取に失敗した「店長」さんや「係長」さんは走り込みが足りなかったと言えるでしょう。佐川急便は「教育を徹底」して強健な労働者を育てましょう。年齢も年齢ですが。四十路を迎えるとですね、来るんですよ、足腰に。オジサンも体を鍛えておけ。心は美しくないし、立てば立てって、立たねーけどよ。意味違うし。


posted by 珍風 at 01:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
花盗人も強盗も横領もリッパな犯罪だが労働関係法辺りの違反は犯罪じゃ無いので好き放題やりた放題ハナでもクビでも切りましょう
Posted by ika at 2011年01月24日 10:21
花盗人というのは切った枝をもっていっちゃう人ですね。切ったクビは持って帰るのが風雅の心というものです。切りっぱなしにしてそこら辺に転がしておくのは「公害」です。
Posted by 今から花見の準備に余念のない珍風 at 2011年01月24日 20:21
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