2011年02月25日

歴史の始まりと終わった男

2万6000円に「びっくり」=子ども手当論議時、満額困難を示唆−菅首相


 菅直人首相は24日午後の衆院本会議で、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で子ども手当の満額支給額を月2万6000円としたことについて「私もこの議論がなされている小沢(一郎)代表の当時、『2万6000円』と聞いたときに一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えている」と述べた。

 社民党の阿部知子政審会長が「現実の財政状況の中で満額2万6000円の給付は当面不可能だ」と指摘したことへの答弁。当初、満額支給額の多さに驚き、実際の支給も困難との認識を示したとも受け取られる発言で、野党側の反発が予想される。

 首相は子ども手当支給の現状について「(半額の)1万3000円(支給)を実行している」と説明した上で、9月をめどにマニフェストを見直す考えを重ねて表明した。

2011年2月24日 時事


またまた「実務家」の面目躍如たる発言であります。この人も少しは「実務」の方に勤しんでみてはどうかと思うのですが、あいにく与えられた仕事は「実務」ではありません。とにかく「政権交代」を一刻も早く「戻す」という、いわば「虚務」が役割ですから、そのためには実に下らないことも平気で口にしなければならないのです。

岡田さんも一緒になって「びっくり」に加わったようですが、この人たちは当時「びっくり」して、それでどうしたかと言うと、どうもあまりにも「びっくり」しすぎて何も出来なかったようです。とりあえず「びっくり」したものの、それはそれで終わってしまい、後はぴくりともしなかったようなのは、彼等の立場上些か問題なしとはしません。

自民党の谷垣さんは「『小沢さんが提案したものだからおれは責任を負わないぞ』と言っているように聞こえた。無責任極まる発言だ」と言っています。確かにそれもあるでしょう。この間は桜井さんも「公約は当時ごく一部の人が中心になって作った。作った人たちが出てきて、きちんと説明してもらいたいというのが偽らざる気持ちだ」などと、かなり「無責任」なことを言っていましたし、現在の「民主党」執行部の姿勢がマニフェストに対して無責任であることは間違いないでしょう。

とはいえ、この「びっくり」がそのままスルーされてしまったのは、菅さんや岡田さんが「小沢(一郎)代表の当時」から無責任であったからである、とも言い難いものがあります。いや、別にその「当時」は彼等にも責任感というものが溢れていて、最近になって急に無責任になったと言いたいわけではありません。人の性格がそんなに簡単に変わってはたまるものではありません。

もっとも、加齢に伴う脳機能の低下などによって人格の変容をきたすことはままあるとのことですので、菅さんや岡田さんもそういう年頃なのかもしれないのですが、これはどうもそういうことではないようです。要するに、菅さんや岡田さんはあのマニフェストに関して責任を負わなければならないとは思っていなかったのです。彼等は「政権交代」が起こるなどということは全然考えていませんでした。

そんなもんですから、多少「びっくり」したところでどうせ「野党の言い分」ですから大丈夫、と思ったんでしょう。その次に自分が代表になった時には、好きなようなマニフェストを作れば良いのです。前のマニフェストで政権を取れなかったのであれば、マニフェストを変更することには十分な理由があるわけです。

ところが困ったことに民主党は政権を取ってしまいました。これは「民主党」の想定外の事態です。「そんなつもりではなかった」というのが菅さんの本当のところでしょう。そんな菅さんにとって、2009年のマニフェストなどは単なる迷惑でしかありません。実行する気もなければ守るつもりもありません。なんたって「びっくり」しちゃうようなもんだったんですから。

幸いなことに、旧政権党を中心に、「政権交代」もしくは「マニフェスト」に関して菅さんと思いを同じくしている人が沢山いますから、現在装いも新たに括弧付きの「民主党」となった「民主党」はそういう人たちとの連携を模索しているところで、菅さんはそのために「民主党」の代表をやっておられます。もっとも、旧政権と同じなら旧の方に政権を戻せ、というのが旧政権の偽らざる気持ちでしょうし、その方が道理にかなっているわけです。

もちろん「政権交代」を予測出来なかった菅さんは有権者のニーズなど知ったことではありませんし、そんなことを考える気もありません。おまけに政権を担うつもりもなかったのですから、それはそれで首尾一貫した態度であると言えるわけですが、何のために政治家をやっているのかよく分からないといえばその通りでもあります。

しかしながらこれは考えようによっては大変なことで、菅政権は史上稀に見る「政権を失うための政権」であり、いわば「死滅に向かう権力」なのです。その彼方に待ち受けているのは旧政権が再び政権を取り、「政権交代」などなかったかのように永遠に統治を続ける「歴史の終わり」に他なりませんが、それで終わったかと思っていると「びっくり」させられること請け合いであります。


posted by 珍風 at 06:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カンサン・オカダサンの子供手当てに関する過去のブログを読むとこちらがビックリしますが、君子豹変すと言うことなんでしょう。彼らが君子なのかどうかは知りませんが。
アメリカさまに対して同等の立場をとることを謳ったハトヤマ政権は樹立された時点で潰される運命にあったんでしょうが、その辺りちょっとだけアジェンデ政権に似ていなくもありません。ただ、ハトヤマさんはアジェンデさんよりはご賢明だった様でヤバイと思った時にとっとと辞任されたお蔭でいまだご存命で何よりです。まぁハトヤマさんは反米ってわけじゃないから殺されてないだけですが。カンサンは早晩降りちゃうでしょうけど次の方がピノチェトサンみたいな方になったりするとまるっこチリそのままですが、コイズミサンが大好きなこの国民には大歓迎です。
Posted by チリの10周遅れの国のika at 2011年02月25日 11:53
だってどう考えたって4万円の方が2万6千円より安いじゃないですか。さあ今すぐイオンに行って2万6千円もって4万円の商品を買いに行きましょう。きっと1万4千円のお釣りをくれますよ。くれなかったら岡田元也さんに言いつけてみましょう。弟の名誉のために何とかしてくれるかも知れません。コワいお兄さんにあなたをつまみ出させるとか。ところでチリから1秒で地球を7周半したところが日本ですが、10周すると過去に戻るわけです。アメリカの支援を受けた反攻の立役者が菅さんだったとはお寒い限りで、歴史が繰り返す時には脱力系ですが、次のお方が「アジェンダさん」だったりするとまた。
Posted by 駄目で元々出目で又々珍風 at 2011年02月25日 20:55
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