2006年06月04日

自殺率世界一への途

杉村太蔵氏は大学を中退して就職していなかった頃に父親から「死にたければ死になさい」と言われたそうですが、父親は大した見識だと思います。そこで杉村氏は父親の勧めに従ったものかどうか知りませんが、大雪山で自殺を志したと主張しています。しかし誰も本気にしてくれません。本当かどうか調べようとする人すらいないようですが、死を弄ぶのが好きなお家なんだな、ということは確かでしょう。おっかない歯医者です。「マラソンマン」みたいですが、杉村氏が書き写した本の「やっぱりおまえはバカじゃない?」という書名が泣かせます。

<自殺者>8年連続で3万人超える 20〜30代で増加
 全国の自殺者は昨年、3万2552人と8年連続で3万人を超えたことが1日、警察庁のまとめで分かった。例年と同じく中高年の自殺が多いが、20〜30代の若者の自殺者数が前年比で5%以上増えているのが特徴。原因・動機は健康問題と並んで「経済・生活問題」が目立っている。社会の将来を支える若年層の苦悩ぶりをうかがわせる結果になった。
 同庁によると、昨年の自殺者数は、過去最悪だった03年の3万4427人より減少したが、記録を取り始めた78年以降4番目に多かった。男性が2万3540人で全体の72.3%を占めた。
 年代別では、60歳以上が1万894人(前年比0.9%減)と最も多く、続いて▽50代7586人(同2.4%減)▽40代5208人(同2.1%増)▽30代4606人(同6.3%増)▽20代3409人(同5.0%増)▽10代以下608人(同3.2%増)などだった。また、小学生が7人、中学生が66人、高校生が215人あった。大学生は433人と、前年の370人より63人増えた。
 動機のトップは「健康問題」1万5014人(46.1%)。次いで「経済・生活問題」7756人(23.8%)▽「家庭問題」3019人(9.3%)▽「勤務問題」1807人(5.6%)――だった。「経済・生活問題」はバブル景気に沸いた90年には1272人だったが、景気の悪化とともに増加し、98年には6000人を超え、近年は主な動機として注目されるようになった。
 20〜30代の自殺は、厚生労働省の調査で同年代の死亡理由の中で最も多い。今回の警察庁のまとめで、遺書を残しており動機が明確な30代1409人のうち「経済・生活問題」は412人(29.2%)で「健康問題」452人(32.1%)に次いだ。20代では976人のうち「健康問題」313人(32.1%)▽「経済・生活問題」177人(18.1%)――だった。
 職業別では無職者が1万5409人(47.3%)▽サラリーマンなど被雇用者8312人(25.5%)▽自営業者3700人(11.4%)だった。【遠山和彦】
(毎日新聞) - 6月1日12時7分更新


この自殺数は警察庁の発表ですから、野口さんの分も入っているのでしょうか。これも本当かどうかわかったものではなく、とてもすべてを鵜呑みに出来る数字ではないのですが、ちなみに日本での年間の殺人事件の件数は1200〜1300件で、この20年間ほどあまり変動しません。ところが世の中は治安が悪くて危険になっているんだそうですから、増えた分の殺人を警察が自殺として処理している可能性も否定できません。もっとも仮にそういう事例が1000件ほどあったとしても、自殺者数はやはり3万人を超えてしまうことになります。

政府では自殺の主な原因となっている「経済・生活問題」(「健康問題」の一部は実は経済問題だと思われます。「勤務問題」はおそらくそのほとんどすべてがこれに含まれそうです)について、これを改善するという予定がさらさらないことから、特に20代から40代の被雇用者の自殺の多さが企業活動にとって大きなリスクとなっていることに鑑みて、「自殺防止対策基本法」を制定しようとしています。

自殺対策法、今国会で成立へ
国などの責務定め、総合的に対策推進
【ライブドア・ニュース 06月01日】− 自殺対策を国や自治体の責務と定めた「自殺防止対策基本法案」が今国会で成立する見通しとなった。日本の自殺者数は先進国では突出しており、法制化により官民が連携して総合的な対策の推進を目指す。
 1日発表された警察庁のまとめでは、日本の自殺者は8年連続で3万人を超えた。自民党は同日開いた内閣、厚生労働の合同部会で法案を了承。民主、共産、社民の各党はすでに党内で了承済みで、公明党も了承する方向で検討している。
 法案では自殺について、個人だけの問題ではなく社会に関わる課題だと指摘、社会的な問題だと位置付けた。自殺対策では、国と自治体に(1)調査研究(2)自殺防止知識の普及啓発(3)人材育成(4)未遂者や遺族、民間団体への支援─を要求。さらに、これまで個々に活動をしていた国、自治体、企業、民間団体、学校など各種団体の連携を図るよう求めている。
 政府は05年12月、10年間で7000人程度の自殺者の削減を目指すとする自殺予防の総合対策を発表したが、法的根拠がなかった。法案では対策の実効性をあげるため、政府内に関係閣僚会議の設置し、毎年、国会に自殺防止対策の実施業況に関する報告書の提出も義務付けた。
 自殺防止対策を巡っては、05年5月にNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(東京都)が開催したシンポジウムに尾辻秀久厚労相(当時)が出席。同年7月には参院厚生労働委員会が「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」を全会一致で採択した。その後、ライフリンクなどが中心となって法制化を求める署名活動を展開し、尾辻氏などが中心となり超党派で取り組んでいた。【了】


謙譲の精神を発揮して「先進国では突出」などと言っていますが、実際には「先進国」中第1位の栄冠に輝いています。しかしここでいい気になってしまってはいけないので、先進国ではない国も含めた統計では、日本の自殺率は世界で第10位にすぎず、両手の10本の指には入りますが、ヤクザの9本の指には入りません。それでもなかなか健闘しているとは言えるでしょう。一方で日本の人口は減少しており、自殺者数がこのままのレベルを維持できれば、自殺率においても世界のベスト・エイト入りも間近です。

それではいかにして現在の自殺レベルをキープし、望みうればさらにレベルアップを図ることが出来るのでしょうか。日本の高い自殺率を支える要因を探り出し、それを増強しましょう。

日本の自殺率の高さについては、WHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士はこう言っている。「日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。これは他のアジア諸国やキューバでもみられる傾向だ。」こうした点は当の国の人間では気づきにくい見方かと思われる。(2004年)


いかにもホセあたりの考えそうなことです。日本では未だにサムライがハラキリをしてると思っているのです。「当の国の人間では気づきにくい」のも当然でありましょう。ところが最近では日本にはサムライがいないどころか、「名誉」だの「責任」だのというシロモノに気を使う風習も見当たらなくなりました。もっともそれは、そういう倫理観の持ち主が自殺しているのであって、倫理の欠如した連中が生き残っていることによる結果であるという見方も出来ますが。

日本の自殺の多さについては、その原因としてこのような文化的な要因が挙げられることが多いようなのですが、ここ数年特に自殺が多いんだとすれば、それはやはり、自殺率世界一のリトアニアやロシアと同様に社会生活の激しい変動による影響が無視できません。社会全体はそんなに激動しているようには見えないのですが、個人の生活条件の変動が自殺を誘発する程度に激しいものとなっており、そのような状況に陥った個人が社会的に意味を持つ程度の数量をなしているということでしょう。

一方で伝統的要因としての「名誉」や「責任」といった封建的価値観の残滓や、「勤勉」で「真面目」とかいった手前味噌的な国民性への言及もあいかわらず有力視されているようですが、自殺の「防止」がなかなか進捗しない原因のなかには、自殺が日本人に残された数少ない自由であることを忘れてはならないでしょう。日本では個人の自由な生存は必ずしも歓迎されませんが、国家や企業、家族や地域社会への様々なしがらみや義務が嫌になっちゃった人、一生懸命働いても上手くいかないで他人の踏み台に甘んじている人が離脱していくことには比較的寛容です。これは多くの人々が、自分もいつその気になるかわからないと思っているからこそでしょう。

そういうわけで、自殺を「防止」するといってもあまり効果が上がるとは思えませんが、効果が上がらないといっそのこと「防止」を「禁止」に格上げしてしまおというのが人情というものです。どうせ禁止されても死にたければ死んでしまうのですが、この上さらに自殺まで取り上げたんじゃ、いくら何でも日本人が可哀想です。そうなるとかえって逆効果のような気もしますので、世界首位、なんてことも夢ではないのですが、いたずらに栄光のみを追い求めることなく無心に精進を重ねてこそスポーツマンシップです。
posted by 珍風 at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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