2012年08月22日

上から目線で下からカメラ

「確かに殴ってやりたい衝動。しかし…」男子中学生の父親のメッセージ要旨


 先日15日に起きました「大学生による大津市教育長襲撃事件」について、われわれ遺族は大変悲しく思っております。

 事件を起こした大学生にも何らかの痛烈な思いが息子の事件に対してあったのだということは分かりますが、それを暴力に訴えても何の解決にも至らないと考えます。

 息子もいじめという暴力に遭ってました。しかしその報復として私どもも暴力で訴えた場合、それは解決になるのでしょうか? 私自身アンケートを渡され、息子に対する「いじめの暴力」の存在を知ったとき、確かに相手を殴ってやりたい衝動に駆られました。しかし、そういった行動に出た場合、息子は喜ぶのだろうかと必死に考えました。暴力に訴えていた場合には恐らく今回の「いじめ」の問題や「学校や教育委員会の現状や隠蔽体質」の問題がここまで明るみにされることはなく、息子の「死」の意味は犬死にとして捉えられるだけのものになっていたと思います。

 私どもの起こしている裁判に共感して応援してくださるのはとてもうれしいことです。しかしながら暴力に訴えることだけは決して行わないでください。息子の本望ではありません。

 今回の問題に対する意見として、皆様方のお住まいの地域の学校や教育委員会、市や県に対して再度見直しを図っていただくという訴えや行動を起こしていただければ、真の解決に結びついていくものと考えております。

 再度申し上げますが、今となっては私どもだけの裁判とは考えておりません。今は1人で戦っているのではなく、ご支援頂いている皆様方とともに戦っていると感じております。

 日本全国の学校が、世界中で一番安心で安全な場所であり、いじめのない、子供が心と体を成長させられる場所になるように、私どもも裁判を進めていきます。

 皆様方も、引き続きご支援、ご協力をいただければ幸いです。

2012年8月22日 産經新聞


まあ確かに今さら殴っても遅いわけですが、仮に「暴力に訴えていた場合には恐らく今回の「いじめ」の問題や「学校や教育委員会の現状や隠蔽体質」の問題がここまで明るみにされることはな」いであろうという観測は正確でしょう。そうなった場合は、それはそれで「隠蔽体質」が発動しているわけですが。てゆーか、「学校や教育委員会」に留まらない広範囲の「隠蔽体質」があるからこそ、こんな「メッセージ」も必要になってくるわけです。

何かと大変なわけですが、「何らかの痛烈な思い」は頑張っておりますよ、ということで

卑劣 大津市教育委員長らに脅迫文


 大津市の男子中学生の自殺問題に関連し、滋賀県警大津署は21日、市役所に市教委の岡田隆彦委員長と澤村憲次教育長宛てに1通ずつ、脅迫文が届いていたことを明らかにした。同署が脅迫容疑で捜査している。

 同署によると、脅迫文が届いたのは17日で、消印は新宿郵便局。岡田委員長宛てには「君か君の家族に何らかの障害を負わせる」などと書かれ、澤村教育長宛てには「君へのイジメを開始する」と書かれていた。

 7月に問題が発覚して以降、市役所や男子生徒が通っていた中学校には、関係者を狙うとしたり、「庁舎を爆破する」などと書かれたりした脅迫文や電話が相次いであり、逮捕者も出ている。今月15日には澤村教育長が男にハンマーで頭部を殴られ、重傷を負った。

2012年8月21日 産經新聞


「卑劣」なのが「大津市教育委員長ら」なのか「脅迫文」なのかよく分かりませんし、「脅迫文」が「卑劣」ならハンマーで頭をひっぱたくのは少なくとも「卑劣」ではないのか、という問題も残りますが、恐らく同じことでしょう。世間様では「加害者家族」の面白可笑しい話をあげつらうのには飽きてしまった模様で、最近は脅迫状やら爆破予告、「不敵」にも滋賀県警に殺害予告電話をなさるツワモノもいらっしゃったりして、ターゲットはすっかり「学校や教育委員会」にシフトした様であります。

弁護士としてはこの裁判、即ち大津市、被告少年らの両親、被告少年らに対する損害賠償請求訴訟を、ただの「敵討ち」ではなく何らかの社会的正義の実現を図る、というスタンスで進めるものと思われますから、皆様方のお住まいの地域の学校や教育委員会、市や県に対して再度見直しを図っていただくという訴えや行動を起こしていただければ、真の解決に結びついていくものと考え」ることになります。このような立派な態度は、判決に大きく影響するものなのです。

しかしながら問題になっているのは「学校や教育委員会の隠蔽体質」です。良くないのは「隠蔽」なのです。「父親のメッセージ」は「日本全国の学校が、世界中で一番安心で安全な場所であり、いじめのない、子供が心と体を成長させられる場所になるように」願っていますが、それを「学校や教育委員会」に期待しているのかどうかはよく分かりません。

もっとも、「隠蔽」が行なわれるのは「責任回避」を目的としているからであると考えられますから、少なくとも「学校や教育委員会」自身は「いじめ」について責任を負うものであると自覚しているものと思われますし、裁判でも大津市の安全配慮義務違反を問うているところであります。てゆーか裁判ですから被告の「責任」を問わなければならないのは当然なのですが。

しかしながら実際のところ「学校や教育委員会」に、「いじめ」を防止したり、発生した「いじめ」を解決したりする能力があるものなのかどうか、実はアヤシイものであったりもします。このようなことは司法プロセスでは問われることがありませんが、もしかすると学校は餓鬼を集めて調教するかわりに、負えない責任を負うフリをしているのではないか、と思われるフシもあります。てゆーか、仮に餓鬼を一つところに集めていること自体に「いじめ」が発生する契機があるものだとすると、ある場所が「学校」であることと、その場所が「世界中で一番安心で安全な場所であり、いじめのない、子供が心と体を成長させられる場所」であることは矛盾することになるでしょう。

このような場合に「学校や教育委員会」の「責任」が果たされるのは、むしろ内部に対する「隠蔽体質」が徹底される場合でしょう。仙台育英高校や青山学院中等部では被害生徒をも処分することによって現象としての「いじめ」そのものの存在を否認し、「隠蔽」しようとしているのがその例です。あるいはむしろ、「いじめ」が学校の責任範囲内で対人行動として目に見える形で顕在するのを未然に防止することが出来れば大丈夫オッケーなのではないか。「安心で安全な場所」には監視カメラがつきものです。

大津市教育長襲撃:1週間 警備、本格強化へ カメラ設置、入室者記名も /滋賀


 大津市の沢村憲次教育長(65)が15日朝、教育長室で私立大の男子学生(19)=殺人未遂容疑で逮捕=にハンマーで頭を殴られ負傷した事件から21日で1週間。市教委に対する不穏な電話やメールは依然続いており、市は襲撃があった市教委や市長室の出入り口に防犯カメラを設置するなど、警備体制の本格的な強化に乗り出した。【千葉紀和】

 襲撃事件後、市は庁舎内の警備員を3人増員。市教委事務局への通路と市長室前に警備員を配置した。だが、その後も沢村教育長や中学の校長を名指しして「爆弾を仕掛ける」などとした脅迫電話が続発。市教委の姿勢を批判する電話やメールも15〜20日で954件あり、その多くが襲撃を擁護したり当然視する内容だったという。

 このため、市は庁舎警備の強化を決定。21日朝、県警の助言も得て、市教委事務局への通路と市長室前に防犯カメラを設置した。20日からは、この2カ所への入室者全員に入口で記名を求めている。

2012年8月22日 毎日新聞


これが「真の解決」である可能性は高いでしょう。それはもしかすると遺族や弁護士の考えていることとは全然違うのかもしれませんが、この件はいずれそのような議論に引っ張られていく様な気がします。すでに海外に前例もあることだし。

監視カメラを小学校全教室に設置  いじめ防止が目的…英国


英中部ブラッドフォードの小学校でこのほど、いじめ防止のため全教室に監視カメラが導入された。地元紙などが伝えた。

ブラッドフォードにあるプリンスビル小学校では、以前から児童や教員の安全、授業の質向上などの目的で一部の教室に試験的に監視カメラが設置されていた。これがいじめ防止に効果があることが分かったとして、全体に広げることを決めた。

全教室に監視カメラを導入したのは英国でも同校が初めてという。 

2005年12月5日 時事


こういうことをすると、虐めがトイレとか更衣室などのカメラのない場所で行なわれるようになるだけで何の解決にもならない、という人がいますが、この分野での一般教職者による研究活動は世間の人が考えている以上に進んでいます。

玉川の中学教諭逮捕 女子トイレにカメラ設置疑い


 福島県中地方の中学校の体育館女子トイレで4月に小型カメラが見つかった事件で、石川署は21日午後5時25分ごろ、建造物侵入の疑いで、玉川村小高字丑久保62の11、玉川村立泉中教諭石井大輔容疑者(38)を逮捕した。

 同署の調べでは、石井容疑者は4月5日ごろから同22日までの間、勤務先の泉中体育館女子トイレに侵入した疑い。同署によると、石井容疑者は盗撮目的で侵入したことを認めているという。同署は石井容疑者が小型カメラを設置したとみて調べている。

 村教委によると、女子生徒が4月22日、女子トイレ和式便器の内側にライターほどの大きさの小型カメラが設置されているのを見つけた。当時、石井容疑者は顧問を務める運動部の指導のため学校にいた。

 石井容疑者は平成18年から泉中で勤務している。英語担当で、3年生のクラス担任を務めている。勤務態度は真面目で生徒にも慕われているという。

 冨岡ケイ子村教育長と佐藤俊久泉中校長は同日夜、保護者説明会を開いた後、村就業改善センターで会見し、謝罪した。県教委は「村教委から詳しい報告を聞き厳正に対処したい」としている。

2012年8月22日 福島民報


盗撮容疑で教諭逮捕 長野・池田町の小学校、更衣室にビデオ


 長野県警は7日、池田町の公立小学校教諭宮沢希以(けい)容疑者(43)=池田町池田=を軽犯罪法違反(のぞき見)と建造物侵入の疑いで逮捕し、発表した。「子どもの裸が見たかった」と容疑を認めているという。

 県警少年課によると、宮沢容疑者は1日午前9時半ごろ、勤務先の小学校のプール用女子更衣室に侵入し、小型ビデオカメラを室内に設置して隠し撮りした疑いがある。

 同課によると、1日にプールを利用しに来た女児がカメラに気付き、発覚。宮沢容疑者がカメラを設置する姿などが映っていたという。

2012年8月8日 朝日新聞


権力とは一般には犯罪と看做される行動を強制力として行ない得ることを言います。つまりトイレや更衣室で生徒がカメラを発見して学校に報告した時に、先生が捕まった場合は個人的研究活動であり、生徒が退学させられた場合は監視カメラです。


posted by 珍風 at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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