2007年12月06日

肥満は親孝行である

メタボ健診の控除見送りへ=08年度改正素案判明−自民税調

 2008年度税制改正要望事項に関する自民党税制調査会(津島雄二会長)の素案が4日、明らかになった。生活習慣病予防策として、40〜74歳を対象にメタボリック症候群(内臓脂肪症候群)を診断する特定健康診査などに掛かる自己負担分の医療費控除や、家庭の教育費負担を軽減する「教育費控除制度」の創設などは見送る方針を示した。同日午後の小委員会で議論した上で、今後の扱いを決める。

2007年12月4日 時事


「教育費控除」てのは教育費に使える金が沢山ある人はいいでしょうが、ビンボー人にはあまり関係のない話しでした。お金持ちは控除がなくたって教育に金かけるんだから、やっぱりあまり関係ありません。ちなみに教育を受ける機会の格差は社会的格差を再生産しますが、教育における格差を解消しても社会的格差はなくなりません。血縁や人脈といったもので格差は固定されますし、そもそも格差を経済活動のインセンティヴとしている資本主義では誰かが不幸にならなければイケナイことになっています。そこで「知足」ということが言われるわけですが、足なんか知っていてもどうなるものでもありません。庄司ゆうこさんの脚には1億円の保険がかかっているそうですが、足に税金をかけると歩けない人が増えます。

「メタボ控除」に至っては自己負担で特定検診を受ける対象者があまり多くないし、「メタボリックシンドローム」自体が相当あやふやなシロモノですから、いつ取りやめになるか分ったものではないばかりか、来年の4月とかいうのも延期になる可能性がないでもありません。そんなイイカゲンなことで税制を決めるのはたしかにちょっと考えものです。

メタボリック症候群:診断基準再検討の動き 内科学会など

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準を決めた日本内科学会など8学会が、基準再検討へ動き出したことが分かった。来年度から、この基準をベースに40〜74歳の全員を対象にした特定健診・保健指導制度が始まるが、基準や制度の妥当性が問われそうだ。
 日本内科学会(永井良三理事長)は10月、「メタボリックシンドロームの診断基準について」と題する文書を各学会に送付。男性85センチ以上、女性90センチ以上とした腹囲の基準などについて「問題点をご指摘いただき、再検討する機会を持ちたい」と訴えた。
 世界の人種別基準を作っている国際糖尿病連合は今年6月、日本人の基準を他のアジア人と同様に男性90センチ、女性80センチとすることを発表した。内科学会はこれを受け、「早急に関係学会の意見を取りまとめて見解を出す必要がある」と再検討を呼びかけたという。
 8学会は05年、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの危険性が高い人を検出するため基準をまとめた。メタボは、危険因子となる脂質(コレステロール)異常や高血圧、高血糖の背景に内臓脂肪の蓄積があるとの考え方で、腹囲は内臓脂肪の量を反映するという。腹囲の基準に該当し、脂質、血圧、血糖のうち二つ以上が基準を上回るとメタボと診断する。
 8学会に加わったある学会の幹部は「基準は最善とはいえない。腹囲だけでなく他の検査数値も議論がある。国民の予防意識を高めた意味は大きいが、科学的な検討を加えることが必要だ」と話している。

2007年12月2日 毎日新聞


日本における「メタボリックシンドローム」の診断基準作成には日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本内科学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会が関わっていますが、腹囲基準「男性85センチ以上、女性90センチ以上」については日本肥満学会によるものだということです。一方国際糖尿病連盟は昨年、日本人にもアジア人の基準値「男性90センチ以上、女性85センチ以上」を適用すべきなんじゃないかとしていましたが、今年はついに日本人のための基準として「男性90センチ以上、女性85センチ以上」を決定しました。

ご存知の通り世界中どの診断基準を見渡しても男性の基準値は女性のそれよりも上回っていまして、これが逆転しているのは日本だけです。もしかすると日本女性はスタイルが悪くて不細工なかわりに太っていても疾病リスクが低いという独特の体質を天から授かっているのかと思いましたが、IDFによるとそんなことはないようです。それだけでなく「他の検査数値も議論がある」そうですから、来年の春までに間に合うのかどうかわかりません。

そればかりか「メタボ」自体が疑問視されているところで、現に毎日新聞においても「メタボリックシンドローム」は「考え方」と説明されています。これは明らかに事実として認められているというわけではない単なる学説の一つにすぎない、ということを意味しています。腹囲についても内臓脂肪の量を反映する「という」という伝聞表現であり、もはや犯罪容疑者の供述程度にしか信用されていません。医学的知識の深まりの表れであると言うべきでしょう。

そんな「メタボ」にはもっと困った点があります。メタボリックシンドローム診断基準該当者が増加または減少することによって、健保組合などが負担する後期高齢者医療制度支援金が減少または増加することになっているのです。これはメタボリックシンドローム診断基準該当者の減少によって医療費が減少するという前提によって、その減少分を後期高齢者医療制度に回せるはずだということだと思われます。ところが診断基準該当者の減少が医療費の減少につながるものなのかどうかが怪しいわけです。最悪の場合診断基準該当者が減少しても医療費の減少にはつながらず、同時に後期高齢者医療制度支援金が減少することになる可能性があるのです。そうならないように、親の臑をかじっていた人は、これからは親に自分の腹をかじらせるのが良いようです。

しかしながら翻って考えてみれば、「男性85センチ」という診断基準そのものが後期高齢者医療制度の原資確保のためにわざと設定されているものなのかもしれません。この値は成人男性の腹囲の平均値ですから、大まかに言って半数が常にこの値を超えるはずですし、多数の男性が特に代謝系および循環器系の疾病に罹患していないこととあわせて考えると、大幅な減少はしないでしょう。健康な人を検査に引っ掛けることが大切です。

日本肥満学会の松沢佑次理事長は10月の19日に「基準値は、日本人の内臓脂肪のデータを基に肥満と診断されるウエストサイズを算出しており、データのない欧米とは設定方法が違う」んだから「当面数値を変える予定はない」と言っています。「代謝症候群」が「デブ病」になったのはこの人のおかげですが、一方では「腹囲の基準を超えたら病気、基準以下なら健康ということではない」と、まあ当然のことも言っています。しかし病気や健康とは関係なく「基準を超えたら」財政的な負担が発生するわけですから、そんな気楽なことも言っていられないというのも事実でしょう。松沢さんが強引に自分の守備範囲に引っ張り込んだ「メタボリックシンドローム」は、厚生労働省によって医学とは無関係な政策的ツールとして使われます。「国民の予防意識を高めた意味は大きい」と言っている人もいるようですが、様々な「健康」商法はすべて「国民の予防意識を高め」ています。「奇跡の水」なんかを飲んでいる人やマイナスイオン発生ドライヤーとか使っている人などはかなり「予防意識」が高いものと思われますので、「メタボリックシンドローム」と併せてご利用頂ければみんなウハウハウハウハ喜ぶよ。めっちゃめちゃ痩せるクスリもあるでよ。



posted by 珍風 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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