2008年04月21日

タスポの悲劇

財務省の「思い上がった」官僚がタスポを見限りました。なんと冷たい人たちでしょうか。いつも泣くのは女。所詮男なんてものは

たばこ自販機、運転免許でもOKに…タスポ普及遅れで

 財務省は、たばこ自動販売機で成人かどうかを確認する方式について、顔写真入りICカード「タスポ」だけでなく、運転免許証による識別方法を認めることを決めた。
 タスポは事前に申請が必要なため、普及率が喫煙人口の約2600万人に対して約8%にとどまっており、新たな識別装置の導入で自販機の利便性が高まりそうだ。
 財務省は、未成年者の喫煙を防ぐため、7月以降、たばこ自販機に成人識別装置の設置を義務づける。たばこメーカーで作る日本たばこ協会は7月までに、すべての自販機をタスポによる識別装置を備えた自販機に切り替える。
 ただ、タスポは喫煙者が申請の手間がかかるため、普及が遅れている。
 このため、財務省は、新たに東京都台東区内の企業が開発した免許証を差し込んで生年月日を読み取る識別装置を既存のたばこ自販機に組み込むことを認める。
 財務省はさらに、自販機に設置したカメラで、目の周りのしわやたるみなどから成人かどうかを識別する装置についても認めるかどうか検討している。京都府の自販機メーカーが開発済みで、20歳前後など顔だけで判断しにくい場合は、運転免許証などによる確認方法と併用する。

2008年4月19日 読売新聞


この報道によって現在のところ普及率何と8%(200万人ちょっと)のタスポカードの普及が停止することは必至であります。極めて単純に考えると、売上げのほとんどを自動販売機に頼っている街のたばこ小売業店の売上げは7月1日をもって10分の1程度になる可能性があるのです。

タスポカードの読取機は10万円以上しますし、既存の自動販売機にそれを取り付けられない場合は自動販売機自体を新しいものと買い替えなければなりませんから、さらに数十万かかるというわけで、各小売店所有のたばこ自動販売機における成人識別装置の取り付けが難航していたのに業を煮やした日本たばこ協会は、財務省に働きかけて自動販売機の成人識別装置搭載を義務化してもらったわけです。100万近いコスト負担をお上の御威光で無理強いしたわけですが、財務省もさる者であります。

たばこ自動販売機に成人識別装置を搭載するのは良いとしても、これをある一つのシステムに独占させるのは宜しくありません。実は自動販売機における成人識別については酒の自動販売機が先行しておりまして、この運転免許証による成人識別はかなり以前から酒自動販売機において稼働していたものです。財務省としてはこの方式について遅くとも4月10日付けをもって財務省通達にいうところの「成人識別装置」であることを認めています。

「成人識別装置」を装備したたばこ自動販売機と認められる機種一覧
http://www.mof.go.jp/jouhou/sonota/sio_tbk/kisyu200410.pdf

したがって今回の報道は遅過ぎるくらいです。この間、日本たばこ協会に属する諸団体、殊にたばこメーカーの営業担当者が小売店に対してタスポカード以外の選択があることを適正に案内していたのかどうか、はなはだ疑問とせざるを得ません。このことを隠してタスポカード方式の導入を無理押していたとすれば、特に日本たばこ産業にとってはギョーザに次ぐスキャンダルになりそうです。

小売店としては今後、既にタスポカードの読取装置を搭載したものについてもそれを取り外して運転免許証方式に切り替えるところが出て来そうです。たばこメーカーから自動販売機を借りている店も、資金に余裕がある場合はそれを返上して自ら自販機を購入して運転免許証方式を搭載したり、あるいは財務省の決定を待って「顔認証」方式の機械を購入する場合もあるでしょう。

一方お金がないのに大枚叩いてタスポカードシステムを導入した小売店は悲劇です。老夫婦によって構成される零細な企業が多い業界です。既にこのシステムが稼働している宮崎県や鹿児島県では、廃業する小売店がボロボロと出て来ているようですが、廃業した人たちが今どうしているのか、大変に気がかりであります。日本中に怨念が渦を巻きそうな気もします。

他方で小売店などに自販機を貸与しているたばこメーカーにも大きな損害です。この2、3年以内に製造された自販機は読取装置の取り付けが可能ですが、古い機械は取り付けが出来ませんから、これを引き上げて新しい自販機を提供しなければならなかったわけで、この費用がバカになりません。その他に当然、電子マネーを含むタスポカードシステム全体の構築の費用、カード普及のための広告宣伝費、今のところ200万枚くらいとはいえカード発行に関わる費用など、全てが無駄になるのです。

これが直ちにたばこの値上げに結びつくかどうかは不明です。たばこの定価は財務大臣の認可によって決まりますが、一昨年の値上げの際に、既に「未成年者喫煙防止を目的とした成人識別自動販売機の全国導入などの、たばこ業界の取り組み推進には相当のコスト上昇が見込まれることから、増税分以上の価格改定」を認めています。国産たばこで270円のものが300円になったのがそれです。

財務省としてはたばこの消費減少による税収の減少分を増税で補うかたちで価格改定を進めています。たばこ離れに値上げで追い討ちをかけることによって税収の極端な減少を防ぎながらソフトに喫煙率の減少を図っているように見えます。現在までのたばこ売上額の減少のしかたからして、おそらく来年にも価格改定が行なわれると思いますが、そのときに「成人識別自動販売機の全国導入などの、たばこ業界の取り組み」の失敗による損失の補填として「増税分以上の価格改定」を認めるのかどうかが大いに興味のあるところです。幸いなことに、たばこメーカーを救うための言い訳なら、あります。

日本、たばこ安く喫煙率高く・WHO報告、先進国で突出

 世界保健機関(WHO)は7日、世界各国のたばこ規制に関する包括的な報告書をまとめた。報告は喫煙による健康被害を防ぐ方法の一つとしてたばこ価格を引き上げるのも有効と指摘。日本ではたばこの値段が他の先進国に比べて安いことが高い喫煙率につながる一因という見方を裏付ける結果を示している。
 WHOが主導した2005年2月の「たばこ規制枠組み条約」発効から約3年。締約国は152カ国に上ったが、報告は「規制が十分整った国の人口は世界の5%にすぎない。このままでは30年までに毎年800万人がたばこ被害で死亡する」と警告、各国に規制強化を求めている。
 主要先進国の人気銘柄の価格を06年時点の為替相場でドルに換算すると、日本の2ドル58セント(300円)は英国の9ドル69セント、ノルウェーの10ドル14セントなどと比べ格段に安い。日本のたばこ税率は約58%(国と地方のたばこ税、たばこ特別税の合計)で欧州主要国に近い水準にあるが、消費税も含めた小売価格の低さが目立つ。(ジュネーブ=市村孝二巳)

2008年2月28日 NIKKEI NET


この他にも「喫煙率を10年間でゼロにすれば、癌による死亡が20年間で24万人減る」という話しもありましたが、これじゃタスポの普及率にも及ばない数字ですし、現在の喫煙者の1%にも満たないのであまり迫力がありません。癌に罹らなくてもいずれは他の原因で死ななければならない点も気になります。やはり「先進国」のプライドをくすぐるのが賢明でしょう。特に「英国」、いいですね。紳士の国、探偵小説、王室、浮気、ファッション、ロック…先進国ですよ、きっと。アメリカじゃダメですね、やっぱり。むしろノルウェーの方が先進国だと思われています。特に教育制度などにおいて。そういうところではたばこの値段が日本の3倍から4倍くらいするそうです。こういう場合、日本では「たばこの値段を上げれば先進国の仲間入り」というふうに逆の考え方をしがちですから、わけはないでしょう。

もっとも、あまり値段を上げすぎると税収減となってしまいますから注意が必要です。喫煙率が減っても税収を維持するにはどのくらい値上げしてよいのか、そこを決めるのは政府が国民の懐具合を実際のところどのくらいに見積もっているのかという、極めて真剣な判断です。いつもの見せかけの数字ではなく、ちゃんと考えなくちゃダメです。できるかな。ちなみに「後進国」ではたばこを止めて長生きした人にはとんでもない特典がついているのですが、その時になって喫煙を始めても手遅れですよ。普段からの心がけが大事です。




posted by 珍風 at 21:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>喫煙率を10年間でゼロにすれば、癌による死亡が20年間で24万人減る

私は喫煙者でありまして、これからもどんどんタバコを吸って早く死んで、我が国が高齢化するのをホンのわずかでも遅らせる努力を日々いたしております。お国のために早く死のう! つまり私を含む喫煙者はすなわち愛国者なのであります。
Posted by やきとり at 2008年04月22日 00:52
僕の愛国心は短い希望です。やっぱこれが最高です。今日も20本以上国を愛してしまった。
Posted by 珍風 at 2008年04月25日 05:18
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