2008年05月02日

わが罪、わが魂。

児童ポルノ「単純所持」に1年以下の懲役も…与党チーム

 与党の「児童ポルノ禁止法見直しに関するプロジェクトチーム」(森山真弓座長)は2日、児童ポルノの販売や提供を目的としない「単純所持」に、1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科すことで一致した。

 単純所持はこれまで禁止されていなかったが、インターネットなどでの流出に歯止めをかけるため、罰金だけでなく懲役を科すこととした。現行法は、児童ポルノの提供者に「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」となっている。
 一方、児童を描写したアニメやコンピューターグラフィックス(CG)の所持禁止や、ネット利用者が児童ポルノサイトに接続できなくなる「ブロッキング」制度の導入については「国が調査、研究を行う」とする付則を盛り込み、今後の検討課題とした。

2008年5月2日 読売新聞


実は「かくれみの」というのもなかなか不便なものらしく、ずうっとこれを着ていると自分が何をやっているのかわからなくなってくるようです。例えば表現の規制を目指す人々は現在のところ「児童ポルノ」を「かくれみの」として使っているわけですが、そもそも「児童ポルノ」とは何か、とか「児童ポルノ」のどこが問題なのか、ということが既にわからなくなっているようです。

「児童ポルノ」というのは児童労働や児童買春の問題を中心とした、経済システムの中に確固たる地位を占めた形の児童への人権侵害の一つのカテゴリーであって、ポルノを政策・販売する業者によって強制的に性労働に従事させられる児童における人権侵害が問題になっています。同じ性労働でも売春に比べると少ない資本で参入することが出来て、巧くすると経験の浅い人でも手広い商売が可能であるという特徴があります。

そこで児童の人権を守るためには、何をおいても薄汚いスタジオを急襲してそこにいる児童を救い出し、業者は処罰するとともに、餓鬼どもがそんなことをしなくても暮らしていけるようにいろいろとやらなければならないことが沢山あるようです。

ところが現状では餓鬼を助けることよりも業者を処罰することが優先され、制作者よりも販売者の摘発に重きが置かれているようです。まあ、イキナリ頂上に達するのは難しいですから川下へ川下へと流れていくのは笹舟や水死体と同様、ある程度は致し方ないようなものですが、ここへ来てついに「単純所持」者を処罰するという倒錯に立ち至りました。

思えば児童の人権が侵害されているのはまず第一に撮影なり何なりをしている現場である一方、「単純所持」というのは自分で持っているだけの人であり、「被害」の終着点であり、定義上「被害」の拡大を止めているポイントでありますから、随分と遠くに来たもんです。そんな人を懲役にしたところでシャシンに映っている女の子には何の関係もありませんし、これ以上の「被害」を未然に防ぐという意味もないばかりか、このような法制は「児童ポルノ」の取引をますます地下に潜行させてルートの解明を困難にし、ひいては保護されるべき女の子にはたどり着けない、ということになるでしょう。

ましてやアニメやマンガやCGなどの創作物の取り締まりを未だに諦められない「児童ポルノ禁止法見直しに関するプロジェクトチーム」は、この法律の目的にいう「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性」への認識が欠如しているようですし、「児童の権利の擁護に資する」という目的も見失ってしまったようです。

むしろ野田聖子さんあたりはこの辺のことがちゃんとわかっているようで、去年だったかには、「児童ポルノ法や児童虐待防止法は現実の児童を対象にしたもので、アニメなどフィクションなものに対応するには、かなりの法改正が必要となり、時間がかかってしまう。個人的には、改正よりも、新法を立てるべきだと思う」と言っています。どうしてわざわざ新法を立ててまでそんなことをしなければならないのかは明らかにされておりませんが、少なくとも森山さんあたりよりも法の目指すところを認識しているようであります。

これは去年の3月29日のことですからいささか旧聞に属しますが、在日スウェーデン大使館で行なわれたシンポジウムでの発言でした。このシンポジウムはあの日本ユニセフ協会とECPAT、ECPATスウェーデンとスウェーデン大使館が開いたもんで、野田さんは主賓だったのです。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/03/30/15252.html

ご案内の通りこのキ印邪宗門の信徒たちは、児童への人権侵害の問題の中から特に「児童買春」と「児童ポルノ」と「性的売買」の問題だけに取り組んでいるところです。「特に」そういうこと「だけ」をやる人たちなのです。児童への人権侵害からセックスがらみの要素だけを切り離して取り出してくるのは極めて困難であろうと思われるばかりではなく、有害ですらあるでしょう。特に日本のように餓鬼をタコ部屋に閉じ込めて絨毯を作らせたりしていないところでは、より広範で深刻な人権侵害の「かくれみの」効果を持つものと思われます。なにしろ児童労働で儲かっている人たちはいわゆるエラい人だったりもするわけです。それに対して「児童ポルノ」はチンピラやゴロツキのビジネスなのです。

もっとも邪宗門の教えによれば労働こそ神の恩寵なのですから、餓鬼でも早いうちから恩寵に浴すようにさせて、さっさと天国に召されるのが当人の幸福であろうということになります。それがアガペーというものなのです。愛とは時として迷惑きわまりないものなのです。それに対して邪宗門はセックスがどうも苦手です。はっきり言うとそれは何か天然の「毒」のようなものだとでも思っているようで、ただただ神に祝福された結婚の恩寵のみがそれを無毒化するということになっているようです。したがって連中が「児童ポルノ」や「児童買春」に反対するのも、兄弟たる邪宗門徒がわざわざバンコク辺りまで出掛けていって「毒」に侵されたり、センズリなどをこいて「毒」に触れるのを防ぐためなのですから、どっかのビンボーな汚い街に踏み込んで女の子を助けることよりも、清潔な自分の周りでの「毒」の蔓延を防ぐことに興味が向きがちなのも無理もないことなのです。

そんな能天気な人々によるこのシンポジウムでは、しかしよりぶっ飛んだ意見を伺うことも出来ます。たとえば警察庁総合セキュリティ対策会議委員にしてインターネット・ホットラインセンター副センター長の吉川誠司さんは、「ロリータマニアが集まる掲示板では、普通の子供の画像が貼られただけで、子供ポルノの公然陳列と見なすことも考えている」のだそうです。「ロリータマニア」が何人寄れば「集まる」ことになるのかわかりませんが、1人もいれば充分でしょう。例えば、まあ掲示板でもって誰かが突然、自分は「ロリータマニア」であることを表明する。そうすると別の人がかなり以前にその掲示板に自分の餓鬼の入学式の写真とか貼っていたりすると、それは吉川さんによれば「子供ポルノの公然陳列」だということになるんだそうです。

で、その餓鬼の写真を削除させるのかというと、そんな生易しいものではありません。上記の記事によれば「違法なコンテンツが置かれていたサーバー事業者が削除要請に応じなかったとき、そこに回線を提供している上位事業者に相談し、契約違反として回線提供を止めさせた事例があるという」のです。サーバーが接続している回線を止めちゃったそうです。そこに繋がって何か書き込んでる誰かが「「ロリータマニア」である」というだけでサーバーが繋がらなくなってしまうということです。そして吉川さんは「回線を止めたとこで、違法なコンテンツを置いていないユーザーにまで影響は出てしまうが、それは契約違反したサーバー事業者の責任になる」と言い放ちます。

このようにして「児童ポルノ」というものを使うだけで、警察は「違法」でないコンテンツの発信を妨げることが出来るのです。潰したいサイトや不都合なコンテンツがあったら、同じプロバイダにある全然無関係な掲示板に「普通の子供の画像」を貼付け、いきなり「ロリータマニア」宣言をすればそれで準備万端オッケーです。実にビックリする程簡単です。そこで僕も早速やってみましょう。これが「児童ポルノ」の「画像」です。そうに違いない。誘ってるし。
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posted by 珍風 at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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